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複数回受験で2次試験を突破した合格者座談会

司会・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

【第3回】過去問を徹底的に攻略し、本試験対応力を身につける

出席者(発言順):早坂裕史/岩崎真朗/上品香代/木下和人
司会・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

取材日:2012年8月29日

中小企業診断士2次試験を4回以上受験した経験をお持ちの、4名の合格者の方にお集まりいただいた座談会の最終回。今回も、過去問の使い方や、やってはいけないNGルール、直前期に有効な対策等、貴重なお話をうかがいました。

過去問は、こう使え!

合格者座談会
早坂さん(左)と岩崎さん

司会:受験生の皆さんの中には、過去問の重要性はそれなりに認識しているものの、具体的にどう活用したらいいのかわからないという方も多いようです。そこで、皆さんの豊富な経験から、具体的な過去問の活用方法を教えていただければと思います。

早坂:何度も過去問を解いていると、80分で解くことの意味合いがあまりなくなってしまうので、問題を解く優先度は下げて、設問分析のトレーニングに活用するのはいかがでしょうか。知識の定着度合いによって、設問から内容想定できることが違うので、受かるまでは何度もくり返しやってほしいですね。

岩崎:過去問は、受験生全員に共通のツールなので、さまざまな人の解答と比べることができます。身近に勉強仲間がいなくても、『ふぞろいな合格答案』(同友館)の合格者の再現答案や、受験校のホームページから入手できる再現答案も比較対象にできます。さらに、何度も同じ過去問を解き、自分の解答の変遷を並べて記載することで、前に書いた答案の問題点を見つけ、弱点を克服することができます。なお、受験校の模範解答は80分のリアルな解答ではないので、私は参考にはしませんでした。

上品:各学校の模範解答を比べてみると、全然内容が違うんですよね。ですので、最初は「なぜ、この学校はこの模範解答にしたんだろう?」と分析しました。それだけ、いろいろな解答の可能性があるということですよね。でも、それを追っているとキリがないというのが反省点で、最後のほうは合格者の再現答案を参考に、共通点を見つけにいくようにしていました。「合格者が共通して書いていることは何か?」という視点です。いわば「寄らば大樹の陰」理論で、「大多数の人が書くような解答を書こう、突飛な解答は避けよう」という意識です。学校の模範解答にも共通点を見つけ、それを書けるようにするにはどうすればいいのかを考えました。

合格するためにやってはいけないNGルール

司会:もしも合格までの回り道となってしまうようなNGルールがあれば、教えてください。たとえば、「あれこれ情報収集をして手を広げすぎ、どっちつかずになっている人はまず受からない」と私は考えています。皆さんは何かありますか。

早坂:NGなのは、解答に主観を入れることです。残念ながら、個人的な意見や経験は聞かれていません。つまり、自分の経験則や常識を持ち出しても、得点にならないということです。裏を返せば、「与件文から離れるな」ということです。

木下:「なぜ、あの解答で落ちたんだ?」って思っている時点で、まず受かりませんよね。「いまの私の精一杯の解答はこれです。これで何とか受からせてください」という謙虚な気持ちになることですよね。

早坂:国家試験を不審がってはいけないと思います。試験においては皆平等と考え、「試験問題が不完全でないのか?」、「ちゃんと採点されたのか?」などと疑わないことです。せっかくこれまでやってきたことが、崩れてしまいますから。

岩崎真朗さん
岩崎 真朗さん

岩崎:私が言えるのは、ツールづくりにこだわりすぎないこと、他人と比較しすぎないことですね。どんなに立派なツールを作っても、それで直接的に得点がとれるわけではありませんから。また、人と比較したところで、自分自身が変わらないことにはどうにもなりません。

木下:受験中は、何があってもあきらめてはダメですよね。自分が難しいと感じたら、ほかの人も難しいんだと思える、それくらいの自信を持つことです。特に、複数年受験の場合はそうです。私は自信を持つために、過去に受けた本試験問題や解いた演習問題をすべて、部屋に並べて置いていました。「これだけやったのだから、負けはしない」と思うために、そうしていたんです。

上品:自分をほめちぎることも、時には必要ですよね。絶対に合格するという気分で、自分自身の意識を本試験まで持っていくことですね。

模試の成績と本試験の合否の関係

司会:早坂さんや上品さんがそうだったように、学校の模試で上位にランクインしたとしても、合格するとは限らないのが2次試験です。合格したいまだからこそ言える、模試の成績と本試験の合否の関係について、思うことがあれば聞かせてください。

早坂:本試験で落ちたときの模試の順位と、受かったときの順位はほぼ同じでしたが、中身が違いました。落ちた年は、事例IVで高得点をとって他事例をカバーしていましたが、合格した年は事例 I からIVまで、すべてバランスよく得点できていました。

岩崎:私の場合、模試はプロセス確認にすぎなかったので、受験最後の年は受けなかったくらいです。模試は所詮、模試ですし、学校によってスタイルが大きく違いますから。

上品:模試で上位だったのに本試験で不合格だったときは、ショックでした。ただ、他校の友人から文章が読みにくいと言われていましたので、その後は誰にでも伝わる助言を解答しようと心がけ、修正しました。複数年受験の場合は、通っている学校の模試の結果にあぐらをかいていては良くないと感じました。

直前期に有効な対策

合格者座談会
上品さん(左)と木下さん

司会:では、試験までの時間が限られた直前期に有効な対策があれば、教えてください。

上品:本番はすごく緊張してしまう可能性があるので、初見の問題を試験直前に解いて、本番同様の状況に慣れることをおすすめします。まだ解いていない問題を、事前に調達しておくのです。

早坂:本試験のタイムスケジュールどおりにやるリハーサルは、必要ですよね。その際には、初見の問題が有効です。ただし、知識の定着や確認が目的の場合は、これまでと同じツールがいいですね。

岩崎:苦手な事例問題は、集中的に解くのもいいですね。たとえば事例 I が苦手だったら、集中して何事例も解くとか。自分が犯してしまいがちなミスを書き出しておくのも、おすすめです。

木下:各事例の取組み方をメモしておいて、直前に見られるようにしておくのもいいと思います。

早坂:たとえ当日にそれを見なくても、まとめているだけで力になりますしね。

2次試験をひと言で表現すると

司会:2次試験をひと言で表現すると、どのような試験でしょうか。

早坂:「考える試験」です。

岩崎:「自分を高める試験」でしょうか。

木下:「単位時間あたりのエネルギーを最高に使う試験」です。本試験のときは、80分間ずっとフルパワーで取組んでいました。私にとっては、人生で一番エネルギーを使った時間です。試験を受けて自宅に帰って体重を測ったら、2キロくらい落ちていました(笑)。

上品:「ロジックを鍛えて、試され、身についたときに受かる試験」ですね。

木下:落ちたときは、ものすごく悔しい思いをしましたが、このような経験はめったにないので、人生の中でも貴重です。私は「仲間が受かって、自分だけ落ちたらどうしよう?」と思うことで、自分を追い詰めていました。

与件文にしがみつけ!

司会:お話は尽きず、もっといろいろとおうかがいしたいところですが、そろそろお時間が迫ってきましたので、最後に診断士受験生へのメッセージをお願いします。

木下:試験中は、最後の0秒までペンを下ろさず、粘ってください。

早坂:何があっても与件文から絶対に離れず、しがみつけ!

岩崎:他人と比べず、徹底的に自分を高めてください。

上品:定期的に自分自身を、客観視してください。「皆と同じ解答が書けているか?」とか、「わかりやすい解答が書けているか?」と自問自答してください。2次試験で経験したことは、仕事でも使えます。私も、ロジカルな発言ができるようになったことで、経営者を説得できた成功体験があります。2次試験で学ぶことはビジネスで活かせるので、合格するまでスキルを高めてください。

司会:2次試験合格までに苦労した皆さんだからこその説得力のあるお話が聞けて、受験生読者の皆さんにとっても、大変参考になる内容だったと思います。皆さんに共通する見解が、数多くありましたね。私も合格者の1人として、とても共感しました。本日は、大変ためになるお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

(おわり)

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