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複数回受験で2次試験を突破した合格者座談会

司会・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

【第2回】回り道をせず、最短で合格するために必要なこと

出席者(発言順):早坂裕史/岩崎真朗/上品香代/木下和人
司会・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

取材日:2012年8月29日

中小企業診断士2次試験を4回以上受験した経験をお持ちの、4名の合格者の方にお集まりいただいた座談会の2回目。今回は、皆さんが2次試験の学習の進め方や苦労した理由をうかがいました。

2次試験の学習の進め方

合格者座談会

司会:2次試験の攻略法について、まずは、具体的な学習の進め方からお聞かせいただけますか。

早坂:基本的には、演習と過去問に取組んでいました。解いた事例問題に対して、プロセスの復習をしていました。最後の年にやったのは、身の回りにあることについて、「なぜそうなっているんだろう? 改善するにはどうすればいいのか?」を普段から考えることです。たとえば、最近は外国語表示の看板が増えました。理由は、外国人観光客が増えたからですが、その前提としては観光地ができたことや、秋葉原のカルチャーが流行していること、中国からの旅行の規制が外れたこと等があると思います。普段から「考える」習慣を持つことで、事例問題でもきちんと「考える」ようになり、思考スピードも格段に早くなりました。

木下:たしかに、普段から「なぜなぜ」を追求することは大事ですよね。私は、ものが壊れたときに原因分析をします。仕事で必要なので、日常生活でもそうしているんですね。なので、因果関係がつながらないと、すっきりしない。先日は、洗濯機の水が漏れたときに、自分なりにその原因を、仮説を立てながら調べたところ、給水部分から外に水が漏れていたことがわかり、業者を呼ぶことなく自分で直すことができました。また電気系統の故障で、自分では修理できないにしても、故障の原因さえ特定できれば、業者に対して「これくらいの値段で直せるでしょ?」と交渉ができますよね。もともと現状分析は得意でしたけど、助言・アドバイスとなると、途端にわからなくなってしまって。与件文にある根拠を「現状」としてではなく、改善することで得られる効果として、解答すればいいんですよね。

岩崎:私は、勉強会と独学での学習でしたので、仲間たちとのメーリングリストで過去問の答案を投稿し合っていました。最初は、誰かの解答に対してコメントをする程度でしたが、そのうち「自分だったらこう書く」ことを示すために、自分の解答も投稿するようになりました。私の2次試験対策は過去問のみで、模試はプロセス確認の場でした。具体的な学習方法は、財務の計算問題を毎朝解き、夜は毎日過去問を1~2事例解いていました。それも、年度ごとではなく、事例 I ~IVを串刺しでやっていました。過去問題で問われている論点の共通点や傾向を、事例ごとに把握したかったからです。

司会:財務事例(事例IV)の対策としては、どのようなことをしていましたか。

木下:私の場合は、ちょっと問題をひねられると対応できなくなってしまっていたので、違う切り口で出題されても対応できるよう、年金現価係数等の公式の導出過程を理屈で覚えるようにしました。

早坂:複数年受験であれば、それくらいやって理解を深めてもいいかもしれませんね。

2次試験突破に苦労した理由

司会:皆さんが、合格までに多くの苦労を重ねられたのには、理由があるのでしょうか。

早坂:私は「合格したら絶対に、中小企業診断士講座の講師として教壇に立つ」と決めていました。ですので、ただ合格するのではなく、理論をしっかりと理解したうえで合格することが必要だと思っていました。そうでなければ、受かる資格がない。私の場合、そこのレベルに到達するまで4年間の学習が必要だった。合格してやりたいことは人それぞれですが、必要な能力が身についたときに合格するのかなと思っています。

岩崎:私は要領が悪いので、何でもまんべんなくやろうとしてしまうのですが、ストレート合格する方は、きちんと自分の苦手な分野を把握して、そこを徹底的につぶす学習をしていますよね。私がなかなか受からなかった理由は、その不器用さにあるとも思っています。

早坂:割り切る勇気は必要ですよね。80分という限られた時間の中で、時間をかけるべきところを見極めて、そこで確実に得点するという意識が重要です。

岩崎:それって結局は、中小企業診断士に求められている素養ですよね。たとえば、残り数日しか企業診断の報告まで時間がないときには、優先順位をつけて適切な助言をすることが求められます。

木下:事例IVでは、経営指標を選ぶ際、与件文を読んだうえで財務諸表の数値の関係性について仮説を立て、それを確認するというプロセスを踏むことで、解答の精度が上がると考えていました。いわゆる「仮説検証型」ですね。

岩崎:経営分析は試験に出るところは決まっているのに、それを知らずに勉強をはじめてしまうと、簿記試験の勉強にまで手を伸ばしてしまうんですよね。過去問を分析して、試験に出るところを集中的に学習するのが鉄則ですよね。

上品:最初のうちは、解答に盛り込む要素に優先順位をつけ、狙って点数をとりにいくという対応ができていませんでしたが、最後のほうはそれができるぐらいの余裕が生まれました。

早坂:私が合格したときは、事例IVで「営業レバレッジがどのように変化しますか?」という論述問題が出題されました。そのときは適切に対応できたのですが、その前年には、「経営状況がどうなるか?」と聞かれたときに、何を聞かれているのかがわからなくなってしまい、「良くなる」とも「悪くなる」とも書かず、だらだらと関係ないことを書いてしまったんです。そうかと思えば、翌年の営業レバレッジの問題では、計算はできませんでしたが、論述では「営業レバレッジは下がる」と書くことができて、おそらくそこには点数が入っているだろうと思います。診断士試験って、そういった柔軟な対応が必要ですよね。

上品:優先順位がつけられるようになり、そこにスピードが加わって初めて、80分という試験時間の中で適切な対応ができるようになるんでしょうね。

効果的なテクニック

司会:難関の2次試験を突破するために皆さん、試行錯誤をしながらさまざまな対策を積まれたことと思います。診断士試験の特徴を踏まえたうえで、今だから言える効果的なテクニック等があればお聞かせください。

岩崎:診断士試験は経営コンサルタントの試験ですので、経営に必要なことしか聞かれません。たとえば、財務事例であれば財務諸表の分析やCVP分析、キャッシュフロー計算に加え、意思決定会計の領域をしっかり理解しておけばいい。ただ、多面的な問われ方をするので、それに対応できるようになる必要があります。私が実際に使ったツールは、工業簿記の意思決定会計領域の問題集です。その問題集では、1つの論点から10パターンぐらいの問題が収録されていて、木下さんのおっしゃっていた「ひねり」にも対応することができました。

上品:財務会計の計算問題では、自分の間違いパターンをストックするようにしました。投資の経済性計算では、電卓を長時間たたくことが多いのですが、その分間違いやすい。ですので、計算の導出過程で区切りのいいところをメモに残し、後から間違い箇所を特定しやすいようにしていました。

答案作成力を高めるオリジナル学習ツール

司会:もし今から受験生に戻るとして、「これは絶対にやる」という対策があれば、ご紹介ください。

上品:最後の年にやったことは、「連想ゲーム帳」をつけることです。たとえば、「懸念事項」というキーワードから何を連想するか、といったことを単語帳にまとめていました。問題文で同じ質問があったときに、その単語帳の内容を踏まえて対応することが目的です。単語帳の質問は、なるべくオープンクエスチョン(制約を設けず、自由に答えさせるような質問の仕方)にしていました。事例問題に取組むうえで、内容想定を十分にできるようにしたかったのと、解答候補の引き出しを多く持ちたかったので。細切れ時間や歩きながらでも、そのキーワードから連想できるものを思い出すようにすることで、発想力を鍛えていました。また、単純に単語帳的な使い方もしていて、論述でよく使う漢字も書き込み、覚えるようにしていました。

岩崎:中小企業診断士に必要なスキルは、情報を整理して分析し、その結果をわかりやすく伝えることだと考えていました。その対策として、マーカーを使っていたのですが、自分なりにルールを決めて色分けしていました。マーカーを使う目的は、色分けによって視認性を高めることで、事例問題の情報を整理整頓することです。

司会:マーカーの使い方は十人十色だと思いますが、自分なりのルールに基づいて使っているはずです。皆さんは実際に、マーカーは使っていましたか。

早坂:最後の年に使いました。私の目的は、設問ごとに色分けして与件文を塗りつぶすことで、根拠の使い漏れがないようにすることです。マーカーを引いて、「よし、使ったぞ」と認識することで、最後に解く問題ではマーカーを使っていないところを意識的に使うといったように、大事なのは、使用目的をはっきりさせることですよね。

木下和人さん
木下 和人さん

木下:与件文と設問を対応づけるため、与件文の左側に設問番号を書いていました。私の場合は、持ち替える時間がもったいないので、マーカーを使わずにシャープペンで直線や波線を引いたり、キーワードに○をつけたりしていました。

司会:受験生の問題用紙を見ると皆、それぞれ工夫して記号をつけたりチェックをしたりはしているんですよね。にもかかわらず、その工程を解答に反映させられていないことが、非常に多いと思うのですが。

早坂:事例問題を解いた後の問題用紙を見れば、解いた人が合格する人かどうかがわかります。解答を導き出すまでのプロセスは、問題用紙の汚し方に反映されます。その具体的な方法は一概には決められませんが、最終的には、自分自身の解答プロセスを作ることが必須です。

司会:早坂さんは、80分のプロセスをどのように作っていましたか。

早坂:ざっくりとした時間配分でやるべきことを決めて、何が起きても柔軟に対応できるようにしていました。

岩崎:私は、解答の記述にかかる時間から逆算して、前半のプロセスを固めていました。

木下:難問で、自分で導き出した解答要素が制限字数に足りない場合には、それはそれで仕方がないと割り切って、他の問題に注力するようにしていました。初めは無理やりにでも書いていましたが、それはムダなことだと気づいて、途中でやめました。

(つづく)

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