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複数回受験で1次試験を突破した合格者座談会

司会・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

【第3回】モチベーションのコントロール法

出席者(発言順):安藤実彦/上品香代/大森渚/吉成篤
司会・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

取材日:2012年6月11日

中小企業診断士1次試験を3回以上受験した経験をお持ちの、4名の合格者の方にお集まりいただいた座談会の最終回。自信を持てなくなったときや、受験が長期化してしまったとき、どのようにモチベーションをコントロールすればよいのでしょうか。

苦手科目との向き合い方

司会:1次試験は7科目もあるので、苦手科目に悩まされる受験生が少なくありません。皆さんは、苦手科目に対してどのように取組んでいましたか。

上品:「経営法務」は、楽しみながら勉強するようにしていました。ビジネス実務法務のテキストは、わかりやすくてよかったですね。テキストと過去問が領域ごとに紐づけられていて、同時進行でできるので、やりやすかったです。

吉成 篤さん
吉成 篤さん

吉成:私は「経済学」と「財務会計」が苦手だったので、足切りにならない程度であえて低い点数をとりにいき、他の科目で補填するようにしました。

司会:科目合格している状態の受験生は、科目合格の権利を放棄してでも得点の上乗せを狙って、翌年度に得意科目を受けたほうがいいと思いますか。

吉成:何もしないでも、安定的に6割をとれる自信があるなら、受けてもいいのではないでしょうか。

安藤:私はオススメできませんね。私たちは爆弾科目と呼んでいましたが、急に難易度が上がる科目がありますから。

吉成:「情報システム」はトレンド問題も出ますが、知らないと正答できませんので、SEだったとしても、安易に得点稼ぎになるとは考えないほうがいいでしょうね。私も、上乗せを狙って受験した「情報システム」が、たまたま難しい年にあたってしまい、自己採点をしたら44点と、逆に足をひっぱってしまいました。

大森:私も、冒険しない派ですね。合格している科目に多少なりとも時間を使うなんて、もったいないような気がします。その分、受かっていない科目をやったほうがいいと思います。

上品:毎年、どの科目が難しくなるのかが読めませんよね。判断基準がないので、得点の上乗せをする目的で科目合格の権利行使をしないのは、リスキーだと思います。

安藤:試験への取組み方の話になるのですが、「中小企業経営・政策」って、2日目の最終科目ということもあって、途中退室をする受験生が多いですよね。あれは、やめたほうがいいと思います。たとえば、初見であっても穴埋め空欄問題の場合、何度も問題文と解答選択肢を読んでいるうちに、「てにをは」や文脈等から、「この選択肢はあてはまらないだろう」とか、「この選択肢しか入らないだろう」とわかってくる問題が必ずあるんです。私の場合、そうやって時間内にめいっぱい粘ってとれた問題が、5問くらいありました。

吉成:同感です。私も、「中小企業経営・政策」で迷った問題で失点し、56点(あと1マークで合格)だったことがありました。でも翌年は、試験時間をフルに使い、迷った問題で正答することができて、自己採点ではギリギリ60点くらいでした。

安藤:2次試験は論述試験なので、文章を扱いますよね。文章に慣れるという意味でも、読み続けることは大事です。私自身、2点で泣いたり笑ったりしているので、試験時間はフルに使って粘ることにしていました。不合格になって、もう1年学習することに比べれば、合格可能性が少しでも上がるように試験時間を最後まで使うことは、苦労でも何でもありません。「あのとき、もっと見直せばよかった」という後悔だけは、してほしくないですね。

司会:30分粘ることで、合格までの期間を1年間短縮できるのであれば、それに越したことはありませんよね。

受験が長期化した場合のモチベーションコントロール

司会:皆さんは、4年以上の学習期間を経験する中で、モチベーションを保ち続けて、最終的に見事、合格を勝ち取った実績をお持ちです。モチベーションコントロールの秘訣はありますか。

吉成:私の場合は2つあって、まず1つが、勉強仲間と飲みに行くこと。2つ目が、「独立して○千万稼ぐ」というような本を読んで、勝手に夢をふくらませることでした(笑)。仲間と飲みに行き、資格に対する熱い思いを語り合うことで、またやる気が出てきます。

安藤:私は、毎週の受験学校での講義後に、勉強仲間とのインフォーマルの勉強会に参加することで、モチベーションを維持していました。

上品:私も、勉強仲間だった友人から刺激を受けていました。皆、どんどん先に合格してしまったのですが、合格後の楽しそうな様子を見て、「ここでやめてしまったらもったいない。せっかく出会った仲間たちとのネットワークを使いながら、中小企業診断士として活動したい。これまでの努力をムダにしたくない」と思っていました。

司会:合格せずに挫折してしまったら、これまで投資したお金や時間が、サンクコスト(回収できない費用)になってしまうということですね。一方で、診断士試験の学習から学べることはたくさんあるので、受からなくても意味があるとの声を聞くこともあります。

上品:私の場合は、友人との関係を維持したいと思ったときに、最終的に自分だけ合格できなかったら、自信をなくしてしまいそうだったんです。

大森 渚さん
大森 渚さん

大森:私は、心の中に悔しかったことをストックしておいて、くじけそうになったときにそれらを思い出すようにしていました。たとえば、「中学生のときの失恋」とか(笑)。そうやって、「負けてたまるか!」と自分に言い聞かせていました。「診断士資格なんて、取ってもムダだよ」などといわれたこともありましたが、「資格を取って、必ず見返してやる!」とも思っていましたね。それと、いつでもリセットボタンを押せるようにしておきました。その日はダメでも、次の日には気持ちを切り替える。新しい文房具を買うとか、ちょっとした工夫でモチベーションを高めるようにしていました。「またここから、スタートなんだ」と思えるようにしていたんです。

吉成:マインドセットですね。

安藤:私の場合、勉強会で一緒だった仲間がモチベーションの高いメンバーばかりだったので、それがよかったですね。それと、「なぜ診断士試験を受けようと思ったのか」をメモしておき、読み返すようにしていました。1次試験に落ちたときも、そのときの悔しい気持ちを書き出しておきました。悔しいと思った気持ちは、時間とともに記憶から薄れていきますが、思い出せる記憶のカギを残しておく、そんなイメージです。

司会:初心に返るためのきっかけを、目に見える形で残しておくということですね。

安藤:そのときの気持ちを思い出せるように、心のストックを文字にしておくんです。文字に残すって、すごく大事なことだと思いますよ。ベタですが、「絶対合格!」と書いて部屋に貼り、ずっと見続けるなんていうのもいいかもしれません。

上品:私は、勉強の成果をストックしておきました。答練や演習でいい結果が出せた解答用紙をとっておき、落ち込んだときに見返せるようにしていました。

吉成:私も、答練で上位の成績をとったときには、ランキングの自分の受講番号を写真に撮って残していましたね。

大森:私は、答練の結果や日々の学習の取組み、成果を、ブログに書いていました。それを毎日続けて他人の目を意識することで、モチベーションにつなげていたんです。

いまの投資は、必ず戻ってくる

司会
司会

司会:この記事が掲載される頃には、1次試験の直前期を迎え、ラストスパートという受験生の方も多くいらっしゃることと思います。また、来年の試験に向けて始動される方もいらっしゃいます。最後に、中小企業診断士を目指して学習に取組んでいる受験生の皆さんに、応援メッセージをお願いします。

大森:診断士資格は、あきらめずに頑張れば、必ず受かる資格です。あきらめないで、最後まで頑張ってください。独学で学習を進めていて、思うような結果を出せていない方は、通学スタイルに切り替えるのもありかと思います。独学での学習は、キツいものです。通信生の方なら、他資格でもいいので、一緒に学習できる人を身近に探すとよいですね。Facebook等のSNSで、受験生としての自身の情報を発信して勉強仲間を見つけるのも、いい手段だと思います。

吉成:私は、資格の取得に苦労した分だけ、いまはよかったと思っています。4年の学習期間を経て、いまの自分がいますし、その経験をした分だけいい思いができていると感じています。直前期になると、精神的に不安定になることもありますが、命をとられるわけではないので(笑)、切羽詰まってしまうのではなく、できるだけ気楽に臨んでください。

安藤:かけた時間の分だけ、後からリターンが得られます。今日かけた1時間、2時間が、数年後には別の形になって返ってくるのです。学習時間の確保は、投資です。直前期であれば、多少睡眠時間を削ってでも、勉強したほうがよいと思います。診断士試験は、楽をして受かる試験ではありません。忙しかったとしたら、無理をしてでも学習時間をつくるべきですし、診断士資格にはその価値があると思います。

上品:長く学習したからこそいえるのですが、受験生の方々には、短期決戦で受かるような目標設定をしてほしいです。最初から何年もかけて合格を目指すのではなく、なるべく短い期間での合格を目指してほしい。それと、万が一不合格になってしまったときのために、保険をつくっておいてほしいと思います。私の場合は、「不合格だったとしても、勉強仲間との縁を切りたくないからあきらめない」という理由を、保険として持っていました。いま犠牲にしたものは、後から必ず戻ってくるという意識で、勉強を続けていました。

司会:やはり皆さん、ストイックですよね。1次試験のその先に2次試験があるので、1次試験で何度もつまずいてしまうと、あきらめてしまう方が多いんですよね。本日の座談会では、1次試験で苦労された皆さんならではの、具体的で有益なお話がたくさん聞けましたので、受験生の皆さんにはぜひ、参考にしていただきたいです。

努力を惜しまず、あきらめなければ受かる。それが診断士試験だと、私も思います。本日はお忙しい中、貴重なお話を聞かせていただき、ありがとうございました。

(おわり)

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