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診断士資格の勉強内容を企業経営に活かす 株式会社DMR代表取締役 岡本 浩さん

取材・文:大石 幸紀(中小企業診断士)

【第2回】経営者が診断士資格の勉強をする意味

取材日:2012年2月15日

株式会社DMR代表取締役の岡本浩さんにおうかがいする第2回目です。今回は、同社がいかにして学習する経営体へと変革していったのか、また岡本さん自身が考える、経営者が診断士資格の勉強をする必要性についてうかがいました。

社員が会社の数字にも関心を持つように

社内には参考になる図書が共有されている
社内には参考になる図書が共有されている

- それほどまでに、経営観が変わるものですか。うかがっていて嬉しくなります。

あとは、経営法務もとても役に立ちました。ただ、この科目のために、まだ1次試験に合格できていないのですが。

たとえば、少人数私募債を学びました。そこには、中小企業に適した資金調達の方法と書かれています。少人数私募債という言葉を知ってから周りを見てみると、発行の方法を教えてくれるセミナーもありました。しかし私には、財務会計や経営法務の知識がベースにありましたので、実務面で社員が発行の手配を行ったものを高所からアドバイスすることで、独力で発行することができました。そして少人数私募債を、希望する社員全員に購入してもらいました。

これには、予測していなかった効果がありました。社員が、会社のお金の使い方に敏感になったのです。以前は、高額な仕入や備品の購入に無関心だった社員が、本当にその投資は利益を生むのかと、長期的な視点を持って議論するようになったのです。これは、資金調達以上のメリットでした。

こうして、社員が会社の数字にも関心を持つようになってからは毎月、顧問税理士の先生から財務的な話を社員にしてもらい、関連する問題を話し合う習慣が定着しました。これはもう、3年ほど続いています。

最近では、ファイナンス的な視点からも、社内で話ができるようになってきました。投資については機会費用も考えながら、その是非を判断するようになりました。そのような議論を聞いていると、本当に嬉しくなります。

ファイナンスは、簿記では学べません。これからのビジネスは、よりファイナンスが重要になると思っています。そこが学べるようになっている試験体系は、素晴らしいと思います。

学習する組織体

全社員が学習計画を持つ
全社員が学習計画を持つ

- 社長さんが診断士資格の勉強をされた成果が、全社員に波及したのですね。

私はもともとプライドが高いほうで、創業してすぐの20代の頃は、自分が知らないことを社員が話しているのを聞くと、「そんなことは考えなくていい」と言っていたほどです。でも、自分が勉強して知識を深め、その有用性に深く気づいたうえで社員に話をすると、社員もだんだん同じ視線を持ってくれるようになりました。階段の踊り場を見てください。社員がどのような資格にチャレンジしているのか、学習計画表が張り出してありますから。

いまでは、社員も普段から学習しているので、私も彼らの意見に素直に耳を傾けられるようになりました。そうしたことが定着してくると、業績が悪くなってから社内を漂っていた停滞的な雰囲気が、なくなっていったのです。

- まさに、学習する組織体に変革したのですね。

はい。学習する姿勢が形になっているものとしては、業務マニュアルをグループウェアで誰もが学べるようになっていることもあげられます。マニュアルの最後にテストがあり、理解しているかどうかを確かめられるようになっているのは、資格の勉強に社員が取り組んでいることの影響ですね。

最初は私が作っていたのですが、いまでは社員が更新を重ねていますから、私が作った部分はもう、残っていないのではないですかね。これも嬉しいことです。

- 最後になりましたが、あらためて経営者が診断士資格の勉強をすることの意味とは何でしょう。

経営者でいるといつの間にか、知らないことを素直に知らないと言えなくなっている方が、結構いらっしゃると思います。そういった方は、自分で勉強するしかないんですね。

きっとMBAでも中小企業診断士と同様に、ビジネスについて学べると思います。でも、多忙な経営者で MBAに行く時間を確保できる方は、まれです。多忙な経営者が勉強するには、診断士資格はぴったりの資格だと思います。年間18万社が起業するうち、20年続く会社は540社で、全体の0.3%だといいます。弊社は今年で25年目ですが、残念ながら同業他社は、ほとんどが廃業してしまいました。当社の永続性に大きく貢献した要因は、診断士資格の勉強で学んださまざまな知識でした。もっともっと、経営者にその存在や学ぶ内容について、知っていただきたいですね。

自分の得意なことだけに偏らず、7つの科目を学ばなければならない試験制度は、実務の視点からもよくできていると思います。たしかに、たくさんの情報を整理し、マスターしなければなりませんから、大変ですよ。でも経営者であれば、大量に情報を集め、それを処理しなければならないのは、実務でも同じです。ですから、診断士資格は、経営者の方向けの資格だとも思っています。

まだ私も合格はできていませんが、この5年間、受験勉強を通して、業務改善に活かせるヒントをたくさん学べました。経営者はもちろんですが、幅広いビジネスパーソンがこの資格にチャレンジすれば、日本経済全体がもっともっと良くなるはずです。

- 本日は貴重なお話を、ありがとうございました。

(おわり)

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プロフィール・会社概要

岡本 浩(おかもと ひろし)
株式会社DMR代表取締役。1988年、25歳の時に、ダンス・ミュージック・レコード(現・株式会社DMR)を創業。2004年法人所得ランキング楽器・音楽映像ソフト小売部門全国4位。2005年中小企業経営革新支援法認定、2006年グッドデザイン賞受賞。

会社名 株式会社DMR
設立 1998年6月1日
所在地 東京都渋谷区宇田川町36-2 ノア渋谷
TEL 03-3477-1588
FAX 03-3477-1805
ホームページ http://www.dmr.co.jp/