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受験機関新人講師座談会

司会・文:堀切研一(中小企業診断士)/笹村博之(中小企業診断士)

【第3回】受験校と講師を使い倒してほしい

出席者(50音順) 影丸裕二×村上知也×矢田木綿子×渡辺まどか×高田裕(受験生・オブザーバー)
司会・文:堀切研一(中小企業診断士)/笹村博之(中小企業診断士)

取材日:2011年2月7日

診断士受験機関で受験講師をされている新人講師4名にご参加いただいた座談会の様子をお届けする最終回。新人講師から見た受講生へのかかわり方、講師の活用法など、しだいに打ち解けてきた講師たちのトークには、受験生の皆さんへのさまざまなヒントが隠されているはずです。

素直に聞き、考え、直す柔軟性が大事

新人講師座談会

笹村:それでは、合格しやすい人、難しい人の特性についての考えをお聞かせください。

渡辺:合格者に共通して言えるのは、バランス感覚に優れている人が多いことだと思います。1次はたくさんの科目をこなさなければいけないし、2次は絶対的な答えがない中で、自分で時間や量を調整しながら勉強していく必要がある試験です。ですから、バランス感覚を持っている人、もしくはこれから身につけられる人は受かりやすいと思います。逆に、頑固な人は難しいですね。

一同:(うなずく)

矢田:頑固な人は、たしかに時間がかかりますね。自分のやり方を変えようとしないので、同じ失敗をくり返しがちです。

影丸:2次に合格するには、「読む、書く、考える」のゆがんだ癖を矯正することが必要だと思います。それぞれの仕事でついた癖を、いかに矯正できるかが大事です。逆に言えば、素直に人の意見を聞き、自分の悪いところを自分なりに分析して矯正できる人は受かりやすいでしょうね。

村上:同感です。でも、「素直」の意味を取り違えると危険な面もあると思います。あくまで素直に人の意見に耳を傾けたうえで、自分で再度考える姿勢が重要です。ただ言われたとおりにやっていると、思考停止に陥って、かえって壁にぶち当たるので、自分なりの分析が大事だと思います。

渡辺:私は、受からないには受からない理由があると思っています。たとえば、模試で常に上位にいて誰からも受かって当然と言われている人が不合格だったとしても、それは理不尽な結果ではなくて、必ず何かしらの理由が存在するはずです。その理由が何かは人それぞれですが、本番対応力や精神力のようなものかもしれません。診断士試験は、そういったものも含めたトータルなスキルが試される試験だと思うので、失敗しても自分を見つめ直し、そのハードルを越える努力をする人が受かっていくのだと思います。

影丸:不思議なことに、模試で成績が1位の人は受からなかったりするんですよね。

村上:自分のやり方が一番正しいと、勘違いしてしまうのかもしれませんね。

影丸:高い得点をとることが大事だと思ってしまって、アバウトでいいのにピンポイントな解答で「当て」にいってしまうんでしょうね。

渡辺:周りに期待された結果、それを目指して「当て」にいく癖がついてしまうのかもしれません。

矢田:一番大切なのは安定感ですよね。

影丸:そうですね。模試で1回1位になるよりも、常に上位10~30%程度に入っているほうが合格しやすいと思います。合格者の傾向を見ると、直前の模試の成績が上位の人はもちろん、下位の人でも受かる場合が少なくないですよね。下位の人は、最後に追い込むんだろうと思いますが。

渡辺:模試は指標になるし、モチベーション維持の材料にもなるけれど、過信はよくないですね。フィードバックは、本試験と同様にABCD判定でいいのかもしれません。そのほうが、リアル感も出るでしょう。

笹村:なるほど。興味深いご意見ですね。そのほかに、合格しにくい人にはどういうタイプがありますか。

矢田:中小企業診断士は、効率性を追い求めて得るような資格ではない気がします。効率性ばかりを重視して、ラクして合格しようという人では難しいと思います。

高田:私は、できれば効率よく合格したいですが、苦労しても得る価値のある資格だと思います。この資格をとるために勉強したことは、ビジネスシーンでいろいろ使えますので。

矢田:そうですね。会社の命令で診断士試験を受ける方たちは、業務命令であるにもかかわらず合格率が低い場合があります。話を聞いてみると、「勉強している途中で業務に役立ったので、もういいかと思った」って(笑)。それなら役に立っているわけですから、いいのかなと思います。もちろん、せっかくなので受かってほしいですけどね。

影丸:途中でリタイアする人も、勉強が辛くてやめていくケースは少ないですよね。家庭の事情や仕事の都合で、どうしてもという人がほとんどです。

村上:私は合格したとき、何だか寂しかったですけどね(笑)。

影丸:そういう受講生、いますよね。合格して、勉強の場にくる機会がなくなるのが寂しいという人。

矢田:勉強が習慣化しているんでしょうね。中小企業診断士の勉強をしている人は、楽しんでいる人が多くないですか。受講生を見ているといきいきしていて、学校で先生や仲間と話をすることを楽しんでいる感じがします。

渡辺:面白いことに学校の受付には、診断士試験の合格者がやたらと他の講座のパンフレットを見にくるんですよ。

影丸:勉強癖がついたから、次を目指したくなるんでしょうね。そういう点は、大手の受験校はいいですよね。「次はこれでいかがでしょう」とすすめられて。診断士の2次専門校はそうはいかない。合格者に、「もう一度、診断士受験はどうですか」と言っても、意味がないですし(笑)。

情報は取捨選択が大切

村上知也さん
村上知也 さん

笹村:新人講師として、受講生にアドバイスはありますか。

村上:2次は講師によって教え方が違う場合が多いので、1人の先生の話だけで突っ走り続けるのは危険かもしれません。初年度はその先生を信頼してとことんやるのも1つの方法ですが、それでダメなら、翌年度は他の先生も見て判断したほうがいい気がします。

渡辺:1年目で消化不良だと感じたら2年目も同じ先生でいいと思いますが、3年目で切り替えるのはありだと思います。もちろん人によりますが、自分が納得いくところまでやって、それでダメだったら、潔く他の先生に切り替えるのも有効な手段です。

矢田:現実には、単純に1人の先生の教えを信じて合格していく人も多いですよね。だから、1人の先生についていくか、いろいろな先生から情報をとるかは、意見の分かれるところだと思います。

渡辺:結局、その人の情報処理能力によると思います。ちゃんと取捨選択ができる人と、そうでない人がいますからね。情報の使い方をコントロールできない人は、複数の先生を見ると混乱してしまうでしょう。

矢田:出会った先生のやり方を全部使おうとすると、何人もの先生の考え方が混ざってしまい、よい結果につながらないことが多いですよね。情報を集めるには、自分に合っているか合っていないかの判断が重要です。1人の先生だと、それがすでに取捨選択されている状態ですから、言われるままに勉強して受かる方もいますよね。

村上:他の先生をみたうえで、元の先生に戻るのもありでしょうね。広い視野で、総合的に判断したほうがいいかと思います。その意味で、受験校の無料体験講座などは、積極的に活用すべきです。やはり、相性や雰囲気の合う、合わないはありますから。

渡辺:結局は、どれだけその先生のやり方を信じられるかにかかってきます。各々の選択については、どの選択が正しく、どの選択が間違っているということではなくて、失敗してもそれはそれで意味があることなのだと思います。

影丸:私のところには、ほかで2次の勉強をやって受からなかった人がたくさんきます。そういう人たちには、自分のどこがダメで、どこがよいのかがわかっていない人が多いですね。それぞれによい点、悪い点は違うので、一概にこのやり方がいいというのはあり得ません。だから自己分析がなかなかできない人は、早い段階で講師に分析してもらったほうがいいと思いますね。早く自分の「読み方、書き方、考え方」の癖を見つけて矯正していくんです。

矢田:とにかく早く、自分に合った勉強方法をつくることが大切です。1次もそうですけれど、人それぞれに勉強法は違いますから。そのつくり方がわからない場合は、受験校の講師に気軽に相談してほしいですね。講師は多くの受講生を見てきているので、的確に学習アドバイスができます。どんどん活用してほしいと思います。

講師は質問を待っている

渡辺まどかさん
渡辺まどか さん

笹村:講師の活用は大事ですよね。皆さんの「取扱説明書」を教えてください。

渡辺:まず、質問の仕方で悩まないでほしいですね。「質問を、講師にわかりやすく伝えなきゃいけない」なんて思う必要はありません。何がわからないかがわからないなら、それでもいいんです。そのモヤモヤ感を伝えてもらえれば、こちらから質問して、わからないところを明確にします。もっとも、最初は質問しにくいと思うので、そのハードルは下げたいですね。

村上:自分が受講生だったときのことを思い出すと、講師に近い受講生には、ちょっとうらやましい感じと、少しは周りにも気を遣えよという感じが同時にありましたね。いつまでも1人で質問し続けている人もいましたから、ずっと待っていて結局、質問できないで帰ったこともありました(苦笑)。

渡辺:私は、質問の列ができたときは、皆で私を囲んでもらいます。皆で聞いて、共有してもらったほうが絶対にいいですからね。そこから質問が広がることもありますし。

村上:そうですね。共有は大事ですよね。私もいい質問は、次回の講義の際に、「こういう質問を受けました」と受講生全員に伝えるようにしています。

影丸:お昼に一緒に行くのもいいですし、授業前でもいいので、自分からどんどん近づいて、質問や相談をしてほしいと思います。「やってきた課題を見てもらえませんか」でもいいんです。講師はコミュニケーションをとりたがっているので、受講生も遠慮しないでほしいですね。その人なりのやり方でいいと思います。話しかけるのが苦手なら、メールでもいいし、手紙を書いてくれてもいい。

渡辺:たまに、「いっぱい聞いちゃってすみません」と謝る人がいますが、どうして謝るんだろうって思いますね。もっとどんどん聞いてくれればいいのに。講師からすると、そのほうがうれしいんです。

影丸:勉強以外のことでも、どんどん話をすればいいですよね。

一同:(うなずく)

高田:教室での講義が終わって質問したくても、遅くなって聞けなかった場合、別の関係ない時間に控室まで行って聞いてもいいものでしょうか。そういう人も、たまにいますよね。

渡辺:そうですね。私は、他の曜日も含めて自分が学校にいる時間を伝えておいて、「いつでもきてください」と言っています。部屋にいても、呼び出してもらえれば対応します。その環境を活かすかどうかは受講生しだいで、私たち講師はそういう機会を提供することしかできませんから。

矢田:同感です。講師は、話しかけてもらえないのが一番寂しいんです。授業が終わった後に質問にきてくれないと、ちょっと微妙な時間が流れるので(笑)。受講生の皆さんには、自分の好きな講師をどんどんつかまえて相談するように言っています。また、メールでの質問やカウンセリングサービスもどんどん使ってほしいと思います。その辺は、まったく遠慮する必要はありません。

笹村:さて、残念ながら、そろそろお時間がきたようです。皆さんそれぞれ、受験機関は違いますが、いろいろな思いを本音でぶつけていただき、大変楽しい座談会になりました。本日はどうもありがとうございました。

(おわり)

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