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中小企業診断士&受験生女子会・Vividyの取組み

取材・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

【第4回】スキルアップへの努力を惜しまない企業内診断士

― Vividyスターティングメンバー・荻原文子さん

取材日:2011年4月26日

メンバーインタビュー3人目のアンカーを務めるのは、IT系企業にお勤めの荻原文子さんです。一見、やわらかく控え目な女性らしい雰囲気を醸し出す彼女ですが、芯のしっかり通った素敵な女性です。Vividyの運営にも積極的にかかわり、いつも支えてくれる頼もしい仲間です。

すべての「事例」の世界を経験

荻原文子さん

渡辺:さっそくですが、自己紹介をお願いします。

荻原:荻原文子です。新卒で情報通信関連事業の会社に就職し、購買部門で製品の調達や生産管理、輸入事務に携わっていました。国内外の工場視察に行くこともありましたので、生産現場は身近な世界でした。その後、営業企画部門での販売支援業務を経て、3年前より経営企画部門に異動になり、業績管理を担当するようになりました。全社のルール策定や部門間調整などもやっています。大会社ではないので、営業企画も兼務しながらで大変な部分もありますが、両方の部門の状況を知っているとスムーズに行くことも多いです。

渡辺:ある意味、生産事例の世界やマーケティング事例の世界、組織人事事例や財務事例の世界まで、すべてを経験してきたということですよね。経営企画部門って、まさに診断士資格に直結する部分が多いと思うのですが、学んだことをそのまま実務に活かせるという実感はありますか。

荻原:2次試験で学んだことをそのまま実務に活かすのは難しいです。試験では、出題者が望む回答を作成しなければならないですし。たとえば生産事例では、営業部門と製造部門で連携をとるようにしようという話になる。でも実務だと、すでにそれは実施していて、もっと掘り下げた課題抽出や改善のための具体的な仕組みづくりをする必要があります。ただ私の場合は、財務会計や法務、経済などを勉強したことがなかったので、そうした知識のベースをつくることができたのはよかったなと思います。

渡辺:ということは、2次試験で学んだことは実務では活かしきれなかったけれど、1次試験の知識は活かせたということですか。

荻原:そうですね。もちろん、2次試験対策でも活かせていることはあります。論理的思考力や文章化のスキルです。いまでも、自分の考えを他人にわかりやすく表現するのは難しいと感じていますが、そのスキルが少しは身につき、仕事にも役立っていると思います。たとえば受験生時代から、「メールを書くときは、1件も問い合わせがないように、とにかくわかりやすい文章を書こう」という意識を持つようになりました。実際には、メールをしたうえで、すぐにキーマンのところへフォローに行くようにしています。

将来への不安を感じて

荻原文子さん

渡辺:メールでのやりとりだけでなく、リアルでもしっかりコミュニケーションをとることが大事ですよね。ちなみに、中小企業診断士を目指したきっかけは何だったのですか。

荻原:将来に対する不安からですね。いまの社内での将来像が見えなかったんです。社内に同性の先輩がいなくて、イメージできなかった。転職するにしても、自分のスキルが他の会社で通用するかどうかもわかりませんし。それに、成果のある仕事ができたと自分ではなかなか思えなかったので、何かに一生懸命取組んで、達成感を味わいたかったんです。そこで、営業企画部門に異動になった際、経営に関する知識が必要だと感じたのをきっかけに、2007年から勉強を始めて、2008年の1次試験は3科目だけ合格して、2009年に1次試験、2次試験とも合格しました。1年目から受験校に通っていたのですが、得点に結びつく勉強法はよくわかりませんでした。私、うろ覚えが得意なんです(笑)。何となく表面で覚えて、それでやろうとしていたからちゃんと理解できなかったんですよね。一方、苦手科目については危機感を持ってやっていたので、1年目で合格できました。

渡辺:2年目の勝因は、何でしょう。

荻原:受験機関を変えたのが、私にとってはよかったです。講師が、過去問の解き方などの具体的な勉強方法を教えてくれましたし、疲れていても講義に出ると元気になってしまうくらいのモチベーターだったんです。加えて、本気の仲間がいたことですね。1年目は、密に連絡をとる勉強仲間はいなかったのですが、「自分はこれだけ勉強している」とか「一緒に勉強しよう」と積極的に言ってくれる仲間ができ、「自分もやらなきゃ!」という気持ちになったことが大きかったです。

渡辺:合格してすでに1年が経ちました。この1年間はいかがでしたか。

荻原:充実していたので、あっという間でした。最初の実務補習や実務従事では、実際の企業での診断業務に衝撃を覚えました。会社ではずっとスタッフ部門にいたため、お客様のところに行って仕事をする機会があまりなかったので、現場を知る貴重な経験となりました。報告書を書きながらくじけそうになるんですが、社長の顔を思い浮かべながら、「あの人のために、何か1つでも役に立つことをしなきゃ」と思って本気で考えました。また、同期と受験生支援をしたこともあります。何もないところから始めて、他人の「ありがとう」を生み出せたことに感激しました。ブログを始めてセミナーを開催し、受験生にも喜んでもらえたのですが、結局は自分が元気をもらいましたね。来てくださった方に「ありがとう」、仲間に「ありがとう」という気持ちになりました。

渡辺:マスターコースにも通っていましたよね。

荻原:はい。そのおかげで、女性のビジネス支援の方法を学ぶことができ、自分の世界を広げることができました。社会起業家について興味を持ったり、起業家を支援している中小企業診断士や他士業の話をうかがったりできたことが、刺激になりました。マスターコースには仕事ができる人が多くて、チームのまとめ方や資料のつくり方、プレゼンテーションの仕方など、皆さんすごいんです。しかも、謙虚な方ばかりなんですよ。ただ、遠い憧れの存在といった印象でした。自分が同じようにはなれませんが、取り入れられるところは少しでも取り入れて、近づこうと思いました。

同じ悩むなら、資格を取ってから悩もう

荻原文子さん

渡辺:では、2年目以降の今後は、どのようなことをやっていきたいですか。

荻原:私は、ストレスで体調が悪いことがあって、ずっと悩んできたんですね。でもいまは、とらえ方は自分しだいで、ストレスともうまく付き合っていくしかないなと思っています。自分と同じような悩みを抱えている女性もいると思うので、女性がハッピーになれるような取組みにはかかわりたいですね。資格を取ったことで、行動を起こせる幅が広がったと思いますし。もともとは、キャリアカウンセラーになりたかったんです。でも、人の相談を受けるには、自分もさまざまな経験を積んでいないと説得力に欠けると思いました。だから、診断士資格を活かして、コンサルティングやセミナーなどいろいろなチャレンジをしたいです。Vividyもそうですが、ネットワークが広がったのでそれを活かしたいですね。

渡辺:荻原さんには、Vividyの運営にもかかわってもらっていますが、これからメンバーとどのようなことをやっていきたいですか。

荻原:Vividyに入ってよかったと思うのは、同世代が多いこともあり、メンバーを身近に感じられて心強いことです。女性同士って、気を遣いすぎて距離を保ってしまうこともありますが、メンバーとは自然と仲良くなれましたね。そういう場を提供してもらえたのはありがたかったです。診断士活動に関する情報交換もできたし、周りがみんな積極的なので、どのような場にいても、「自分に何かできることを見つけなきゃ」という積極的な気持ちを持てるようにもなりました。以前の私だったら、そんなに積極的にはなれませんでしたね。

渡辺:それって、すごい変化ですよね。いい影響を受けているのはよくわかります。Vividyのゆるいつながりの中で、自然と自分の立ち位置がわかってきたから、みんなで集まって話していてもラクですよね。これからは仕事以外に、メンバーと多種多様な趣味を共有するのも面白いですよね。荻原さんの場合は、フラメンコですね。

荻原:そうですね。趣味の面でも、お互いに教え合えたらいいですね。具体的な活動としては、自分たちでオープンセミナーを企画して集客もしたいです。中小企業診断士とは関係ない女性向けのテーマでもいいし、ある業界に特化したものでもいい。経営に関心のわきにくい方に対して、興味を持つきっかけづくりの場を提供できればと思います。たとえば私はいま、産業カウンセラーの資格を取るために通学しているのですが、産業カウンセラーという資格は中小企業診断士以上に、ビジネスに活かせていない人が多いようなのです。そういった方たち向けのセミナーもやってみたいですね。また、学生時代から思い描いていたのですが、特にとりえがないと自分で思っている普通の女性を取材して記事にするようなこともしたいです。本人が気づかない魅力を引き出すことで、勇気を持ってもらうのと同時に、その記事を読んだ人にも、人生の選択肢の広さを知ってもらったり、勇気を持ってもらえたらいいなと思います。今回のインタビューを受けて、その気持ちがいっそう強くなりました。

渡辺:それはよかったです。では最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

荻原:ありがちなセリフかもしれませんが、診断士資格を取ったら、世界は広がります。とにかく、後悔しないようにできることをやってほしいです。先のことを考えて、その日のベストの行動をとってほしい。私の場合は、少しでも自信をつけたいと思って資格を取りましたが、取ったら取ったで周りにできる人がたくさんいて、もっと自信がなくなりました(笑)。 でも、成長した分だけ、合格前と後では不安の種類が違うんです。なので、同じように悩むのだったら、合格してから悩んだほうがいいと思います。世界が広がるとは、そういう意味です。

これまで3人のメンバーにご登場いただきましたが、従来の診断士像とはイメージが異なるという印象を受けられた方も多いのではないでしょうか。難関資格と位置づけられる中小企業診断士の一部は、いたって普通の女子なのです。彼女たちが、これからどのような変化を遂げていくのか、あたたかく見守ってくださると嬉しいです。

(おわり)

【参考サイト】