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中小企業診断士&受験生女子会・Vividyの取組み

取材・文:渡辺 まどか(中小企業診断士)

【第3回】念願の合格で、独立診断士としての第一歩を

― 2010年度合格メンバー・大森渚さん

取材日:2011年4月26日

メンバーインタビューの2人目は、2010年度の試験に合格した大森渚さんです。彼女との出会いは、診断士2次試験の会場前でした。私が講師を務める受験校とは違う受験機関に通っていたにもかかわらず、握手を求めて声をかけてくれたのがきっかけです。いつも明るい彼女に出会うと、いまでも見とれてしまいます。

学んだことがすぐに活かせる資格

大森渚さん

渡辺:それでは、自己紹介をお願いします。

大森:大森渚です。大学院を卒業してから、通信販売の会社に5年間勤めていました。そこでは、商品企画や仕入れ・在庫管理、ウェブディレクターとしてのコンテンツ企画など、幅広い仕事を経験しました。2年半前に結婚退職して、神戸から東京に引っ越してきました。受験期間が長く、4年間勉強していたのですが、最初の2年間は独学です。でも、結婚して東京に来たのをきっかけに、受験校に通いました。仕事は、塾の講師をしていました。もともと話すのがあまり得意じゃなかったのですが、中小企業診断士になったら、プレゼンテーションなど人前で話すスキルが必要だと考え、講師業を始めたんです。試験で合格したばかりですが、初めから中小企業診断士として独立する予定でした。2010年末から、中小企業診断士としての講師業を視野に入れて受験校の内勤を始め、最近、販売士の講師としてデビューしました。

渡辺:講師デビューはいかがでしたか。

大森:すごく楽しかったですね。もともと勉強は嫌いじゃないんです。受験生であれば、合格するために必要な分だけ勉強すればいいじゃないですか。ところが講師は、もっと掘り下げて勉強する必要がありますよね。その作業が、すごく面白いんです。生徒とコミュニケーションをとるのも楽しいですね。講師業は、準備の時間を考えると大変な仕事です。でも、受験生のときはお金を払って勉強をしていたのだから、いまは講師としてお金をもらって勉強していると考えると、ありがたいことだと思います。講師になってみると、生徒だったときには講師にバレていないだろうと思っていたことが、意外とバレていることに気づきますね。たとえば、当ててほしくなくて目をそらす人とか、ウトウトしちゃっている人とか(笑)。

渡辺:一番後ろの席の人まで、意外と見えますよね。寝ている人なんて、一発でわかる(笑)。そもそも、大森さんが中小企業診断士を目指したきっかけを教えていただけますか。

大森:最初に勤めていた通販会社で奨励している資格だったんです。それなのに、社内には資格を持っている人がいなかった。それで勉強を始めてみたら、楽しくなっちゃったんです。中小企業診断士の勉強って、学んだことが次の日の仕事に即活かせる場合も多いと思うんですよ。新聞の内容がわかるとか、会議の中に出てくる専門用語がわかるとか。

渡辺:最初は独学だったとおっしゃっていましたが、それはなぜですか。

大森:販売士資格は独学で取れたので、中小企業診断士もいけるんじゃないかって思ったんです。でも2年やってみて、難しいと思いました。特に私の場合は、経済学と財務会計がさっぱり理解できませんでした。大学のときは教育学部、大学院も文学部で日本文化を学んでいて、根っからの文系なんです。そんなわけで、独学のときは1次試験対策でいっぱいいっぱいでした。1年目は全科目不合格、2年目は2科目合格、3年目から受験校に通い始めて1次試験合格、4年目で2次試験合格でした。

渡辺:大変な受験生活でしたね。でも、あきらめずに続けられたんですね。

大森:あきらめることは、まったく考えませんでしたね。当時、仕事で新規のプロジェクトにかかわっていたのですが、そのとき中小企業の経営の苦しさを目の当たりして、力になりたいと思ったんです。また、これは個人的な事情なのですが、親戚が30年前から経営していたブティックが、5~6年前に廃業してしまったんです。私も小売業だったので、いろいろとアドバイスをしてみたのですが、なかなか聞いてもらえなくて。そういった背景も原動力になっています。

勉強会と過去問のススメ

大森渚さん

渡辺:受験生の皆さんの大半が、2次試験対策で苦労されていますが、何かアドバイスはありますか。

大森:勉強会をつくることができる立場にいるのなら、つくったほうがいいと思います。その中で、誰かがリーダーとなって課題をふるなど、勉強しなくてはいけない環境をつくってしまうんです。勉強会ではほかの人の答案を見られるので、自分の答案を客観視できます。それと、ぜひ過去問をやってほしいと思いますね。

渡辺:具体的に、過去問にはどう取組んだらいいですか。

大森:私の場合は、過去9年分を4回転しました。最初は普通に解いた後、さまざまな受験校の模範解答を見ました。2周目は、きれいな解答をつくることにこだわって解きました。3周目は、因果関係を意識して取組み、4周目はスピードを意識して70分で解きました。こんなふうに、1回1回テーマを決めてやってみるといいのかなって思います。年度ごとではなく事例ごとに解くと、傾向がわかります。毎年出ている問題などのトレンドもつかみやすいですし、そういった意味でもおすすめです。

渡辺:過去問って、解くたびに新しい発見がありますよね。

大森:受験校の模試で一喜一憂するくらいだったら、過去問をやったほうが絶対にいいです。演習や模試は、本番対応力を磨くための訓練の場という位置づけです。

渡辺:私もまったく同意見です。そんな苦労のかいあって、4年越しの合格を果たしたわけですが、中小企業診断士になってどのようないいことがありましたか。

大森:呼ばれ方が「大森さん」から「大森先生」になって、立場が変わったなって思いました。だからこそ、頑張らなくてはいけないなと。また、ポジティブでアグレッシブな人と出会う機会が増えたので、刺激をもらえます。一方で、批判されることも増えると思うんですよ。いままでは知らなくても許されたようなことが、「中小企業診断士なのに、こんなことも知らないの」って思われてしまうとか。

渡辺:自己研鑽は、永遠に必要ですよね。では、中小企業診断士としてこれからやりたいことは、何かありますか。

大森:廃業してしまった親戚のお店のような、小規模企業のサポートがしたいですね。特に、販売促進の面から支えたいです。

渡辺:名刺にある「オージュ・コンサルティング」の由来を教えてください。

大森:趣味で三味線を習っているのですが、その師匠からいただいた芸名が「桜寿」と書いて「おうじゅ」なんです。

渡辺:今度ぜひ、Vividyのオフ会で三味線の腕前を披露してください。そういった文化のようなものに触れることも大事ですよね。と同時に、日本文化の周辺知識なども教えてくれると面白いかな。

大森:日本文化でマーケティングにかかわる知識って、いろいろあるんですよ。たとえば、京都で舞妓さんをどのように人材育成しているかとか。そういったネタもちょこちょこあります。

資格へのマイナス評価を覆したい

大森渚さん

渡辺:楽しみにしています。そのほかに、今後やってみたいことがあれば教えてください。

大森:講師として中小企業診断士を育てることで、誰かの役に立てるのではないかと思っています。受験生と同じ目線で、「こんな私でも中小企業診断士になれたんだ」と伝えたい。たとえば財務会計なんて、わからない人の気持ちが誰よりもわかるんです。なので、「こういうふうに説明したら理解できるかな」と意識しながら、どうすれば伝わるかを工夫しています。それから今後は、セミナー講師もやりたいですね。たとえば、新入社員研修や就活生へのアドバイスなどをしたいです。

渡辺:大森さんも、男性ばかりの集団に混じって勉強してきたと思うのですが、Vividyに入ってよかったことはありますか。

大森:早い段階で、お仕事でご一緒させていただく機会をいただけたのが嬉しかったですね。それに、女性診断士と会えてよかったと思える理由の1つは、意外に独立診断士の比率が高いことです。個々が持っているノウハウを共有したいですね。みんなで仕事を受注して、一緒に取組むこともやってみたい。

渡辺:それ、やりたいですね。ちなみに、大森さんの専門性は何ですか。

大森:これから究めていきたいのは、小売業に対するウェブのショップページのコンサルティングですね。いまは、小売業のコンサルタントになることしか頭にないので、その先は走りながら考えていくイメージです。「小売業の社長さんをハッピーにしたい」という意味は、やっぱり自分の経験によるところが大きいですね。親戚のお店が廃業したときもそうでしたが、廃業する前って本当に最悪な雰囲気になるんですよ。家族や周りの人も巻き添えになってしまう。ですから、社長さんたちが幸せな家庭を築いていくためには、どう考えても売上と利益を上げるしかないんです。

渡辺:小売業のコンサルタントとして、大森さんのオンリーワンな部分はどこでしょう。

大森:「ウェブ上で、どのようにお店のコンセプトを表現していくか」というところでは、誰にも負けないようになりたいですね。

渡辺:では、Vividyに期待することは何かありますか。

大森:1つの企業にチームコンサルティングに入るにしても、みんなで専門分野を持って分け合えればいいと思います。みんなの力が合わさって、初めて1つになるといったイメージです。女性だけのチームって、それだけで強みだと思うんです。家計の財布を握っているのも、たいていが女性ですから、女性視点を求められることは多いでしょうからね。

渡辺:私は、仕事はある意味でゲームだと思っているので、ふざけるということではなく、とにかく楽しみたいですね。

大森:そうですよね。あと強く思うのが、中小企業診断士という資格に対するマイナス評価を覆したいです。「取っても食えない」とか「独立なんてするな」とか、そんな悪いイメージを払拭したいんです。自分たちがその証明になれたらいいなと思っています。

渡辺:ぜひなりましょう。では最後に、受験生へのメッセージをお願いします。

大森:資格を取ったら新しい出会いがあり、新しい目標も生まれます。自己実現の欲求を果てしなく追求するのも、幸せなことだと思うんです。中小企業診断士は1年後、2年後の自分を高めたい人にとって、うってつけの資格です。なので、あきらめずに頑張ってほしいですし、その段階で身につくこともたくさんあると思うので、それを日々の仕事に活かしてほしいですね。

(つづく)

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