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「中小企業診断士1年目の会」幹事OB座談会―アンケート結果からみえたもの

司会・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第3回】中小企業診断士合格後の実像

参加者:丸山芳子高橋芸臣岡田憲政(以上、中小企業診断士)
司会・文:福島 正人(中小企業診断士)

取材日:2010年12月1日

努力をしてつかみ取った中小企業診断士資格。その取得後には、どのような世界が待っているのでしょうか。第3回の今回は、合格後の実像に迫ります。

「目の前にきたものは全部、捕まえなさい」

司会:今度は、中小企業診断士資格取得後の活動について、お話をうかがいたいと思います。アンケート結果では、「研究会参加」、「企業コンサル」が多いようです。皆さんはいかがでしたか。

診断士登録後の活動内容
<出典:(社)中小企業診断協会東京支部2010年2月11日「中小企業診断士1年目の会」事前アンケートより>

丸山:私は企業内診断士のうちに、登録1、2年目でマスターコースや研究会に参加しました。マスターコースとは、中小企業診断協会東京支部やその下部の支会などで開催されている、言ってみれば1年間のカリキュラムを組んだスキルアップコースです。執筆も、マスターコース絡みで行うなど、さまざまな活動をさせていただきました。

司会:アンケートで言う、研究会参加をしたわけですね。企業コンサルもやりましたか。

丸山:どのレベルで、でしょうか。たとえば、実務従事なども入るのであれば、やりましたね。実務ポイント(中小企業診断士の更新要件)は足りていたんですが、1年に1回はやらないと腕が鈍るといけないと思ったので...。

司会:最初の頃は、いろいろやるという感じですかね。研究会もコンサルも、執筆も...。

丸山:そうですね。

司会:ちなみに、講演はやりましたか。

丸山:企業内だった頃は、ちゃんとした講演はやっていません。でも、私が登録してから5年しか経っていないのですが、いまはもっと活躍の場があるようで、お金をもらって活動している人もいっぱいいて、すごいなと思います。この5年くらいで随分、状況が変わっていると思います。

司会:わかりました。では高橋さん、お願いします。

高橋:私もこの結果に沿って言うと、研究会参加、企業コンサルで、支会の部への参加ですね。

司会:やはり皆さん、研究会には入るんですね。

高橋:ただ、私はあまり研究会には入っていません。企業内診断士フォーラムという、企業内の方々が、どうやって年間6ポイントを取得していくかを目的とした研究会には入っていますが...。

丸山:あと戻りますが、受験指導もやりましたね。

司会:受験指導ですか。

丸山:でも、そのときに向いていないことがわかったので、私としては独立してからは絶対やらないと決めました。中小企業診断士2次試験の指導だったんですが、私が受験指導校で教えてもらっていないので、どう教えたらいいかよくわからなくて、これはできないと思ったんです。

司会:そういう意味では、ある程度受験指導校で勉強した人のほうが有利だと。

丸山:作問も、すごく苦労しました。

岡田:潔さがすごいですよね、受験生時代から。違うことは違うと、効率よく人生を謳歌されていらっしゃる(笑)。

丸山:とんでもない。試行錯誤ですよ(笑)。何でもひと通り、全部やってみるんです。

司会:岡田さんはいかがでしょうか。

岡田:私は4つの研究会に入っていました。比較的多いほうだと思います。企業コンサルは、実務従事と、雑貨店へのコンサルテーションを経験しました。登録2年目からは、各区の診断士会に入会し、5号認定業務に従事しました。受験指導の仕事は、まったくしていません。執筆は雑誌2本、講演は研究発表くらいですね。商店街・団体等のコンサルテーション、これはありません。あと、支会の部には2つ入ってます。支部・支会へのイベントには、積極的に参加していました。企業にいた頃は、中小企業診断士の知識を活かした仕事をしていたつもりです。実務従事の指導をしてくださった先生に、「目の前にきたものは、全部捕まえなさい」と言われていたので、会社の仕事も中小企業診断士としての活動も、何でもやりました。その先生にお会いすると、「岡田さん、これやるんでしょ。勉強になるわよ」と断れない状況で、仕方なくやっていた経験から、だんだんと活動が広がっていきました。いま考えると、非常によかったと思います。

司会:ほとんどやっているんですね。

岡田:はい。アンケート結果の中でやっていないのは、受験指導だけですね。コンサルテーションも、やっていないに等しいかもしれませんが...。

司会:受験指導は、やろうとは思わなかったのですか。

岡田:受験側ですが、受験指導校で4年間、どっぷりやりましたので、違う世界を見たくて意識的にやりませんでした。経営の現場に出たいという思いが強かったんですね。同じ教育でも、社会人教育には関心がありました。

司会:ポリシーがあるんですね。

岡田:それほどのものじゃないんですが、受験指導校で4年間も、試験オタクになるくらいまでやっていたので、もう見たくないんですよね(笑)。

司会:実力的には、できるわけですよね。

岡田:自信はありますよ。4年間も勉強したので、できない人の気持ちはよくわかりますから(笑)。多くの講師の方の教え方も見てきましたので、たぶん上手に教えられるだろうなと思います。勝手な自信ですけどね...(笑)。

やってきたことは間違っていなかった

司会:次に、中小企業診断士資格取得による変化について、お話をうかがいたいと思います。アンケート結果を見ると、人的ネットワークのつながり・視野の広がり・思考力/判断力向上といった回答が多いようです。皆さんはいかがですか。

資格取得による意識や生活の変化
<出典:(社)中小企業診断協会東京支部2010年2月11日「中小企業診断士1年目の会」事前アンケートより>

岡田:資格取得で変わったことは、先ほど話のあった、30歳前後で感じる漠然とした不安や自分の社会的評価について、気にならなくなったことです。中小企業診断士には、一流企業にお勤めで、いわゆる高学歴のエリートと呼ばれる方もたくさんいますので、そういった方々と一緒に仕事をすることで学びもあります。逆にある部分においては、自分のやってきたことが間違っていなかったことを確認もできました。社会的評価を気にしていたのが無意味だと気づいたこと、そして中小企業診断士の仲間と自分を比較することで、自分の長所・短所に気づけたことは、よかったと感じています。また、本来ならば会うはずのなかった人たちと、何らかの活動を通してかかわりを持てたこと。何に対しても、自分からチャレンジする姿勢を持てたことも、変化した点だと思います。

司会:では、アンケート結果に照らし合わせると、人的ネットワークが確実に広がったと。

岡田:はい。視野も広がりました。行動範囲が広がったこと、仕事に自信を持てたことなど、多くのものが得られたと思います。忙しくもなりましたね。収入にはつながりませんが...(笑)。

高橋:私は、人的ネットワークが拡大した点、思考力/判断力が高まった点、行動範囲が広まった点の3つです。特に、人的ネットワークを通じて、自身の強みと弱みをはっきり認識できたことがよかったと思います。人にあって、自分にない能力がほとんどですので、勉強させていただく機会がものすごく増えましたし、このあたりのことが、思考力/判断力にも関連してくると感じています。日々学ばせていただいていることを実感しています。

丸山:私も、視野が広がったと言えますね。会社員時代は、上司の考えていることが理解できなかったこともありましたが、いまはわかるようになりました。勤務先が倒産してしまったことなどで、仕事に自信を持てなかったんですが、資格取得を通じて自信を持つことができました。人的ネットワークに関しては、1年目に同期合格者のメーリングリストをつくったりもしましたので、すごく拡大しました。これは大きかったと思います。

司会:皆さん、人的ネットワークを挙げられますね。

高橋:人的ネットワークは面白いもので、自分からアクションを起こさないと、どんどん失われていきます。私自身、この1年で活動のペースが若干落ちたんですが、人的ネットワークが少なくなっていくのを実感しています。1年目当時のほうが積極的に活動していましたので、さまざまな方から声をかけていただくことも多く、人的ネットワークが広がっていたように感じます。活動を活発に行っているからこそ、声をかけていただく機会が増えるのだと思います。

(社)中小企業診断協会に入り、積極的に動け!

司会:では、中小企業診断士登録1、2年目くらいの頃は、どのように活動したらよいのでしょうか。

岡田:とにかく積極的に動くことが大事だと思います。たとえば、自分が先輩になったら、1年目や2年目の人に対しては、きっと何もわからないだろうし、手を差し伸べようという気持ちになると思います。1、2年目であれば、「経験が浅くて何もわからないので、教えてください」と素直に言えますからね。

司会:資格を取りたてのときに、動かなければいけないということですね。

岡田:はい、そう思います。独立して感じるのが、人とのご縁をもっと大切にしないといけないということです。仕事のきっかけは、人とのご縁からしか生まれないんですよね。自分のコミュニケーションのとり方しだいで、人とのご縁が生まれるか、生まれないかが決まってしまうことを実感しています。

司会:たとえば、言葉遣いなどの対人スキルがとても大事だということですね。

丸山:人的ネットワークという点では、中小企業診断士どうしではあっという間に広がるんですが、独立して飛躍しようと考えたとき、中小企業診断士以外とのネットワークも広げていく必要があると感じています。いまは、この課題に取り組んでいます。中小企業診断士の人的ネットワークの話に戻すと、まずはさまざまな活動や実務を通して仕事の依頼をいただき、その仕事を通して自分のスキルや人柄を評価していただくことで、さらに人的ネットワークの拡大につながると感じています。

福島正人さん
福島 正人 さん

司会:人的ネットワークは単なる名刺交換ではなく、もっと深い付き合いの中から生まれるものなのでしょうか。

丸山:そのほうが、本当の人的ネットワークにつながると思います。ただ、実務だけで人的ネットワークを広げるのも大変なので、(社)中小企業診断協会に入り、支部・支会の活動にも参加したほうがよいと思います。

高橋:私は人的ネットワークを、学びを得る場として考えています。意識しているのは、学びを得ているわけですから、その分のお返しをするということです。自分のできることを精一杯提供することで、ネットワークの関係が維持されると思います。

司会:たとえば研究会に参加するにしても、ただ受け身で聞いているだけでなく、自分のできることを提供しようとする姿勢が大切なんですね。

(つづく)

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プロフィール

丸山芳子

丸山 芳子(まるやま よしこ)

2005年中小企業診断士登録。デジタル放送、マーケティング会社での勤務経験を活かし、中小企業向けに新規事業支援、CRM、販路開拓支援、商圏分析支援等を行っている。そのほか、海外事業支援(アジア)、事業再生、アグリビジネス支援なども手がけている。著書に『女流経営』(共著・メディア総合研究所)。その他保有資格:システムアナリスト、中小企業事業再生マネージャー(ターンアラウンドマネージャー)、キャリアコンサルタント、農業経営アドバイザー。NPO法人アジア女性経済会議理事。


高橋芸臣

高橋 芸臣(たかはし まさおみ)

1975年生まれ。龍谷大学経済学部卒業後、求人広告代理店に入社、求人広告営業を行う。その後、戦略子会社立ち上げメンバーとして、WEB求人メディアの営業を行う。 現在はHR関連企業(研修会社、人事コンサルティング会社等)のビジネス機会を提供・支援する、HRビジネスパートナー。 2008年中小企業診断士登録。東京支部城北支会所属。


岡田憲政

岡田 憲政(おかだ のりまさ)

中小企業診断士。GSSコンサルティング代表。1973年生まれ。 アパレルメーカーで営業・商品企画・生産管理に従事した後、2010年独立。サプライチェーンマネジメント、マーケティング、店舗開発・運営に関するコンサルティング事業、企業・自治体向けの研修事業を展開中。現場に入り込み、実行・定着までを支援するハンズオン型のコンサルティングを行う。