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診断士試験に必要な「矛盾を溶け合わせるバランス感覚」 書籍『受験生最後の日』×月刊『企業診断』連載「伝説の合格者たち」コラボレーション座談会

司会・文:堀切 研一(中小企業診断士)

【第1回】本質をわかりやすく伝える大切さ [1]

参加者:井上 龍司/小久保 和人/但田 真紀/渡辺 まどか(発言順)
司会・文:堀切 研一(中小企業診断士)

取材日:2010年8月8日

今回は、(株)同友館発行の書籍『受験生最後の日』シリーズ、および月刊『企業診断』の連載「伝説の合格者たち」のコラボレーション企画として、座談会を行いました。難関の中小企業診断士試験をくぐり抜けてきた4名の方々にご登場いただき、診断士活動から感じた実務と試験の共通点や、診断士試験に必要とされるコンピテンシーについて語っていただきました。

実務と診断士試験の共通点

堀切研一さん
堀切 研一 さん

司会:本日、司会をさせていただく堀切と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

月刊『企業診断』では、「伝説の合格者たち」の連載を担当させていただいております。今回は、『受験生最後の日』シリーズとのコラボレーション企画として、執筆メンバーの井上さん、渡辺さんにお越しいただきました。また、「伝説の合格者たち」で以前取材をさせていただいた小久保さん、但田さんにもお集まりいただきました。本日はこの4名で、中小企業診断士の受験生に向けて、合格のために必要なことなどをお話しいただければと思います。まずは、皆さんの自己紹介からお願いいたします。

井上:井上龍司と申します。大学卒業後、コンサルティングファームに就職し、業務設計・業務改革等のコンサルティングに従事してきました。現在は、独立診断士として経営コンサルタント、および研修講師の活動をしています。中小企業診断士を目指したのには、実家が中小小売業を営んでいることが影響しています。コンサルティングの現場で学んできた知識を、一度体系立てて整理したいという思いもありましたね。

司会:井上さんは、中小企業診断士になる前からコンサルタントとして活動されていたのですね。コンサルティングの実務と診断士試験の相関関係なども、お聞きできればと思います。では、次に小久保さん、お願いいたします。

小久保:小久保和人と申します。私は大学で情報処理を学んだ後、日本電気株式会社に入社しました。技術者としてキャリアを積んできましたが、その後、プロジェクトのコーディネート業務やソリューション提案等を中心に行っています。実務でビジネス全体を見渡してまとめ上げる調整能力を磨きたいと思い、中小企業診断士を目指しました。

司会:小久保さんの発揮される部門を越えたコーディネート能力は、診断士試験でも磨かれたんですね。それでは但田さん、お願いいたします。

但田:但田真紀と申します。大学を卒業した後、旅館の仲居さん、牧場での乳牛の世話、葬儀屋など、職を転々としました。診断士試験合格後は、中小企業支援機関に勤務し、中小企業の経営支援等を行っています。小さな会社の現場で働き、社長の右腕的な立場も経験するうちに、経営を理解し、経営者を支援したいと思うようになり、中小企業診断士を目指しました。

司会:以前の取材でもお話しいただきましたが、ユニークな経歴から生まれる面白い視点に期待しています。では、最後に渡辺さん、お願いいたします。

渡辺:渡辺まどかです。化粧品輸入商社にて、東京・大阪・名古屋に多店舗展開するネイルサロンで、店長からマネージャー職まで経験した後、IT企業での経営企画室を経て、独立診断士として活動しています。現在は受験機関の講師のほか、執筆や美容業界のコンサルティングに従事しています。中小企業診断士になったのは、ネイルサロンで働いている頃に他業界への転身にチャレンジし、ステップアップを目指したことがきっかけです。

司会:渡辺さんは、受験機関で講師をされていたり、受験生支援の勉強会を主宰されたりしていますので、そういった視点からもお話をお聞きできればと思います。

ではさっそく、本題に入ります。皆さんは診断士活動で、忙しい日々をお過ごしのことと思います。そんな中、中小企業診断士の受験勉強と、資格取得後の実務では、共通していることも多いと思います。まずは、皆さんが受験生時代から気をつけていること、あるいは中小企業診断士として活動する中で、大切にしているポリシーのようなものがあれば、教えてください。

渡辺:私は、「わかりやすく伝える」ことを重視しています。書くときもそうですし、診断で経営者の方に伝えるときも、気をつけています。そして、それは中小企業診断士の2次試験でも同じです。どんなに自分が正しいことを書いていると思っても、わかりやすく書かないと、採点者には伝わらないですよね。そこを一番、大切にしています。

但田:私が、実務と試験に共通して大切だと思うのは、「本質を探す」ことです。枝葉を小ぎれいにするのではなく、もやもやしている部分があったら、何とかして掘り下げられないかと考える姿勢を一番、大切にしています。

小久保:私も渡辺さんと同じで、「わかりやすく伝える」ことにこだわっています。私にとって、「わかりやすく伝える」ことはある意味、快感でもあります。相手によって伝え方を変えるのがポイントですね。「この人はこういうところを気にするので、こういう風に言ってあげたほうが伝わりやすい」とか、人によって対応を変えるようにしています。そこに、自分の工夫やオリジナリティを入れられるんですよね。そうやってうまく伝えられたときには、「いい仕事ができたな」と思いますね。

司会:ありがとうございます。井上さんはいかがですか。

井上:自分はマインド的なことになるのですが、「資格を守る」という姿勢を大切にしています。資格を取ることの目的は、「(身分や収入の)安定」にありますので、多くの方は、「資格に守ってもらう」という姿勢に陥りがちだと思います。しかし、皆がぶら下がって守られているだけだと、いつかはその資格の価値が失われてしまいます。有資格者が一人ひとり、高いレベルで活躍することで、「中小企業診断士って、すごいな」と思われ、資格を守っていくことにつながると思うんです。仕事をするときも、ブログを書いて発信するときも、つねに中小企業診断士として恥ずかしくないレベルにあるかどうかを意識しています。品質にこだわり抜くこと、ですね。

座談会の様子
座談会の様子

司会:なるほど。皆さんは、ふだん生活している中でも、自分が中小企業診断士であることを意識されていますか。たとえば、道を歩いているときなどはどうでしょう。

井上:「中小企業診断士として、知られている」という前提の下では、そうですね。

渡辺:知られていないところでは、いろいろありそうですね(笑)。

司会:そこは、休憩時間に掘り下げていきたいと思います(笑)。まずは、渡辺さんと小久保さんが大切にされている「わかりやすく伝える」ことからお聞きします。渡辺さんがそう思うようになったきっかけについて、教えてください。

渡辺:私は以前、ネイリストで、現場からのたたき上げできたので、中小企業診断士の勉強を始めたときに、とても難しく感じたんですね。独特の言葉に慣れなくて、出てくる言葉の難しさに苦しめられたのが、わかりやすく伝えることの大切さに気づいたきっかけですね。

司会:それは、言葉そのものが難しかったのか、伝えられる過程で難しく感じたのか、どちらでしょう。

渡辺:両方ありましたね。科目によっても違うと思います。でも、それをわかりやすく伝えてくれる講師がいたので、私もそうなりたいと思いました。

司会:中小企業診断士の勉強を始める前に、わかりやすく伝えることの大切さを感じたことはありましたか。

渡辺:あまりなかったですね。昔お世話になっていた上司は、あえて難しく伝えるタイプでしたし...。

司会:どうして、そのようにしていたのでしょう。

渡辺:自分で調べて、勉強させるためだと思います。言われっぱなしで、納得いかないことも多くありましたが、無理やり自分で解決させられたんですね。

司会:なるほど。井上さんは、中小企業診断士の勉強を始める前から、コンサルティング会社で働かれていたんですよね。かなり鍛えられたと思いますが、わかりやすく伝える上司とわかりにくく伝える上司、どちらが多かったですか。

井上:私が新卒で入社したときは、3人のリーダーと1人のマネージャーがいました。3人のリーダーは、「鬼」、「悪魔」、「般若」、マネージャーは「閻魔大王」と呼ばれていました。

但田:井上さんが好きそうな環境ですね(笑)。

井上:コンサルティング会社は、1年で3年分成長できると言われますが、それだけ自分自身で苦しみ抜いて、鍛えられる場所だと思います。一方で、但田さんが言われていた「本質を探す」という点と重なりますが、難しい内容を、本質を突いてわかりやすく伝えられるスキルのある方が多く、受け手が非常に吸収しやすい形で伝えてくださる場合が多かった。言葉をわかりやすく本質的に翻訳するスキルは皆さん、高かったですね。

司会:仕事を通じて、負荷をかけて成長させるときには、あえてわかりにくく伝えることもありますが、意思疎通をスムーズにするには、わかりやすく伝える必要があるということですね。診断士試験ではやはり、わかりやすさが大切なんでしょうか。

渡辺:そうですね。診断士試験は、限られた時間で解いたものを、限られた時間で採点しますから、わかりやすく翻訳する能力が大切になってくると思います。

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