
取材・文:株式会社同友館編集部
取材日:2010年5月24日
いよいよ、経営革新の女王ティアラこと、渡辺まどかさんにお話を伺う最終回です。2年間の受験勉強の後、晴れて中小企業診断士となった渡辺さんは2010年1月、独立を果たします。大きな一歩を踏み出した彼女に、受験生の皆さんへのメッセージをいただきました。
企業内での資格の活かし方はい。すぐに独立を考えていたわけではないので、IT系の中小企業に勤めていました。
当時、経営企画室で社長のサポートをしていたんですが、資格を取ったことで、ガラリと変わりましたね。社長がご自身のネットワークを使って、さまざまな方に会わせてくれましたし、その人脈を使って、他社のサポートもするようになっていました。資金繰りの相談ばかりでキツかったですが、いきなり泥臭い部分を経験できたのは、とてもラッキーでした。
この頃は、研究会をはじめ、新しいことをいくつか始めていましたが、自分にとって大きかったのは、ブログですね。2009年4月、中小企業診断士登録をした月に始めました。
ブログで情報発信をする中で、さまざまなネットワークが構築されていったんですね。中小企業診断士である自分が、社外で育っていくのを実感できたし、自分に興味を持ってくれる人に出会うこともできた。なかでも、優秀で熱い独立診断士の方々と知り合えたことは、その後の私の決断に、大きな影響を及ぼしました。「私もこうなりたい」と思うようになったんです。
最初は、この業界の中で、自分をどういう位置づけにしたらよいのか、何を目指していけばよいのかが、わかりませんでした。たしかに人脈は増え、少しは目立つ存在にもなれたけど、それを活かす方法がわからない。
でも、多くの方から、元ネイリストという経歴を「面白い」と思っていただいたんですね。「ならば、その経歴と肩書きを活かそう」と考えたとき、自分の得意分野は美容業界だ、と気づいた。
人から「専門は?」と聞かれて、「美容とサービスです」と答えられるようになって初めて、自分の中に「独立」という選択肢ができたんです。実績は何もありませんが、自分の強みを自覚できたので、やっていけるかな、と。それが、2009年の9月頃です。その時点で、12月末の退職願を提出し、2010年1月に独立しました。決まっていた仕事はあまりなく、計画性はゼロでしたけど(笑)。
独立、そして次のステージへはい。自分の強みは、美容の現場で働きながら、マネージャーの経験もしてきたこと。また、自分や他人をきれいにするのが好きなこと。さらに、自分が美容業界のお客さんでもあること、の3つです。つまり美容業界を、現場視点、経営視点、顧客視点でみることができるんですよね。
また、サービス業の観点では当然、顧客満足度やホスピタリティが求められますが、「わかっている」、「知っている」で満足している企業が多い。それではダメです。たとえば、技術者にはおもてなしの心を持ちつつ、効率も上げることが求められますが、多くは、おもてなしに気をとられすぎて、お客様に振り回されてしまう。でもホスピタリティにまで言及するには、収益も上げなければならないんです。
私は今、ホスピタリティと効率化という2つの視点から、美容業界をサポートしていきたい、と思っています。この分野にはまだ、コンサルタントがあまり入り込んでいないので、市場は大きいと思っています。
時間配分で言うと、「診る」が7、「書く」が2、「話す」が1といった感じですね。あくまで、時間での割合ですが…(笑)。
仕事の内容について、特に自分で枠を設けることはしません。「診る」、「書く」、「話す」の割合についても、同じですね。とにかく、常に新しいことに挑戦して、新しいものを生み出していきたい、と思っています。
中小企業診断士として、今後もこのキャラクターを活かしながら、自分ならではの活動ができればいいですね。まずは、自分が楽しめることを基準に、自ら動くことを大切にしていきたいです。
自分を"魅せる"こと
まず1つ目は、認知度が上がることです。バーチャルなつながりができる、ということですね。
2つ目は、書く仕事につながること。ブログ経由で、執筆の依頼を受けるケースも多いのではないでしょうか。
そして3つ目が、思考回路を整理して文章に落とすことで、それらが自分のストックになることです。話すうえでも、引き出しが増えます。セミナーの準備にも、それほど時間がかからなくなりましたね。
それはないですね。むしろ、バーチャルの世界で一人歩きしている、「ティアラ」というキャラクターが理想なので、リアルな自分をそこに近づけよう、としています。
私はもともと、人からどう思われているかは、あまり気にしないんです。たとえば私は、顧問先の現場にもミニスカートで行きますが、それは、施術しているネイリストとお友だち感覚になりたいからです。対等でないと、本質の話はできません。彼女たちとわかり合うために、ハードルを下げるのは、1つの手段だと思っています。
とは言え、やっぱり初対面では、あまりいいようにはみられません。でも、深く接していくうちに、「あ、結構、ちゃんとできるんだ」と評価していただけるので、そのあたりのギャップは、自分でも楽しみたいと思っています。
たとえば、ネイル業界にいたら、論理的に話せることが付加価値になります。でも、中小企業診断士の業界では、それが当然なので、今度は、「ティアラ」というキャラクターが売りになる。つまりは、ステージごとに、自分の強みを出し入れするだけなんです。
中小企業診断士の勉強は、体系的な知識が学べるとともに、ビジネススキルも上げることができます。これは、合否に関係なく、学ぶ過程で得られるものです。
たとえば、勉強時間を捻出するにあたっては、自然とタイムマネジメントやセルフマネジメントが身につきますが、これはすぐにでも、今の仕事に活かせますよね。2次試験の勉強で言えば、限られた時間で、与えられた材料を加工して解答に落とし込んだり、一連のプロセスを自分の中で確立するために、トライアンドエラーでスキルアップしていったりすることが、可能なんです。先日、2次試験用の書籍を執筆させていただいたのですが、その執筆中、中小企業診断士の勉強で得られるものがどれだけ大きいかを再確認しました。
受験勉強はとても大変ですが、先がみえる瞬間が必ずあります。人それぞれ、みえるものは違うと思いますが、その瞬間を楽しみに進んでいただきたい、と思います。
私は、皆さんが中小企業診断士になったときに、何かを与えられる人になりたい、と思っています。それは、先に走っている者の義務だと思うんです。後輩の皆さんに恥じない自分でいられるよう、私も頑張ります。
(おわり)
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渡辺 まどか(わたなべ まどか)
元ネイリスト。化粧品輸入商社にて、チェーン展開するネイルサロンの店長からマネージャーまで幅広く経験後、IT系企業の経営企画室室長などを経て2010年1月に独立。現在は、美容業界を中心としたコンサルティングや創業支援、執筆業、講師業などに従事。著書に、『事例80分料理法―受験生最後の日 2つのドキュメント』(共著・同友館)。
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