どれだけ備えをしても、どれだけ注意を払っても、避けることができないのが文字どおり、「不測の事態」です。ただし、そんなピンチにも、乗り越えるための方法はいくつかあります。最終回となる今回は、皆さんにとっておきのノウハウをお伝えいたします。
80分間の試験時間中には、さまざまなピンチが訪れます。
たとえば、設問で何を聞かれているのかがわからず、何を解答すればよいのかもわからない。もしくは、問われていることはわかるが、何を書けばよいのかがわからない...などなど。書く手は止まり、時間は刻々と過ぎ、焦りだけが増していきます。こうした経験は、ある程度2次試験対策を行った方なら、誰もが経験しているのではないでしょうか(筆者も、このようなピンチは何度も経験し、対処できずに失敗してきました)。
さて、このようなピンチに対して、どのようなことが考えられるのでしょうか。ここでは、「ピンチが訪れないようにする」アプローチと、「ピンチが訪れたときにどうするかを決めておく」アプローチの両面から、考えていきたいと思います。
まず、「ピンチが訪れないようにする」アプローチ。その1つとして、1次試験の知識を徹底的に身につける方法があります。
とは言え、ただ覚えるだけでは、2次試験には対処できません。「使えるレベル」にまで深めておく必要があります。知識は、解答に使うだけでなく、設問・与件を理解するうえでも役に立ちます。理解スピードが早まれば、時間を短縮でき、見直す回数も少なくてすみます。結果として、80分間をより有効に使うことができるでしょう。1次試験の合格に安心せず、自身が知識を使いこなせるレベルにあるかどうか、客観的に判断する必要があるでしょう。
パネルディスカッションでも、知識の重要性について盛り上がりました。1次試験の知識を深めるには、まず、深めるべき知識範囲を見定めなければなりません。これには、受験予備校や出版社の2次試験対策用の知識を抜粋したテキスト・書籍が役に立ちます。
また、事例演習を進める中で、不足していると気づいた知識も、ぜひまとめておきましょう。そして、復習の際に、「この問題は、知識があれば失点せずにすんだのではないか」と、つねに振り返る姿勢が必要です。
知識の深め方については、単語カードやサブノートのほか、テキストへの書き込みなど、さまざまな方法がありますが、1つのツールにまとめる必要があります。分散したままにしておくと、全体像がみえにくく、整理しにくいためです。
次に、「ピンチが訪れたときにどうするかを決めておく」アプローチです。まずは、どのような状況がピンチなのかを定義づけ、その際にどうするかを決めておきましょう。パニックは、どうしていいかわからないために生じます。そこで、ピンチが訪れることはある意味、必然と考え、その対処法を考えておくのです。どんなに実力があっても、パニックを起こしてしまうと、合格は遠のきます。対策を講じておくことで、パニック発生のリスクは、飛躍的に低くなります。
ちなみに、どうしても書くことがないときの対処法としては、
などがあります。皆さんもぜひ、実際に使ってみてください。
以上、3回にわたり、パネルディスカッションを通じて得られた2次試験対策をご紹介しました。1回目では過去問学習の意義、2回目では解答プロセスの構築と実施について、そして3回目の今回は、想定外のピンチへの対処法について述べてきました。筆者がもっとも伝えたかったのは、「事例を解くにあたり、定型化できるものは定型化する」ということです。
もちろん、試験当日の現場対応力も必要ですが、合格に近づくには、一定の「型」が必要です。型が決まれば、事例演習を行う中で、その型が間違っているかどうかもわかります。そして、間違っていれば修正もできるわけです。
「得体が知れない」と言われる2次試験ですが、皆さんは、取組みをそのつど変えていくのではなく、一定の「自分のやり方」を定めておくことが必要だと再度強調して、最後の言葉にしたいと思います。
(おわり)