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実務補習奮闘記―現場の声を聴く

取材・文:鈴木 佳文(中小企業診断士)川崎 亮二中島 慎也(中小企業診断士)

【第3回】実習プロセスには、すべての経験が活きる

文:中島 慎也(中小企業診断士)

本連載の2回目に登場した川崎さんが「想像以上に過酷」と評した実務補習。登録には避けて通れない関門ですが、初めての方は何にどう手をつけてよいか、不安が募るばかりでしょう。田中社長が「想像以上に役立った」と言ってくださった報告書は、どのようなプロセスで作成されたのでしょうか。3回目の実習で中小企業診断士資格を取得した中島さんに、レポートしていただきました。

ヒアリングが報告書の品質を左右する

中島慎也氏

実習が始まると、最初に診断先でヒアリングを行います。

1回目のときは、診断先企業の業種が特殊(きわめてニッチな分野の卸小売業)であり、十分な事前準備ができないままヒアリングに臨みました。その結果、質問がさまざまな方向に分散するばかりで、提案に必要な情報をほとんど聞き出せませんでした。やむなく翌日、2度目のヒアリングを実施し、ようやく提案に必要な情報がそろったのですが、限られた実習の時間の中で、このタイムロスは大きく、後々まで影響しました。

2回目(居宅介護ビジネス)のときは、質問内容を絞ってヒアリングを実施しました。ところが、今度は質問内容を絞りすぎたため、提案に必要な情報が不足してしまいました。

そして今回の3回目(調剤薬局)は、過去2回の失敗を教訓に、ヒアリングでしか得られない情報(たとえば、社長の夢にフォーカスする質問)を聞くことに注力しました。これは、結果として大変うまくいったと思います。

これらの経験から、「ヒアリングが報告書の品質を左右する」ことが言えます。ヒアリング前の事前準備など、臨む姿勢がポイントでしょう。

報告書作成には、経験と知識を総動員

グループワーク

ヒアリングを終え、課題の抽出等のプロセスを経て、担当分けが行われます。担当分けでひとつ言えるのは、「3回とも違う分野を担当したほうがよい」ということです。せっかく、実習という将来に活かせる経験ができる機会なのですから、なるべく多くの分野を体験したほうが面白いと思います。

そして、担当も決まり、いざ提案書をつくり始めようとすると、さまざまな問題に直面します。

1回目は財務分析を担当しましたが、このときは、何よりも知識で苦労しました。受験生のときには覚えていたはずの財務会計知識がすっかり抜けてしまっていて、まずは知識の補完からスタートしました。

2回目は専門分野の人事労務担当だったので、提案書作成自体はあまり苦労しませんでした。しかし、実際に書き上がった提案書を読み返してみると、「内容が一般的で、独自性に欠ける提案」という大きな問題に気づきました。得意分野を担当すると、知識偏重になりやすく、相手には響かない内容になるというリスクがあります。その一方で、独りよがりな提案内容は、いつの間にか社長の思いから乖離し、「社長は正しい」というコンサルタント本来のあるべき姿を見失うことにつながりかねません。どんなに優れた提案だったとしても、社長の思いと乖離しては、「何の意味もない」のです。

3回目の提案書作成は、アイデア出しに苦労しました。このような場合は、他のメンバーの経験や知識に頼ることも重要になります。せっかく異なる経験や知識を持つ「仲間」がいるのですから、お互いに協力し合うことが重要だと思います。私も他のメンバーから多くの助言を受け、逆に専門である人事労務について多くの助言をしました。そうしているうちに、自ずとアイデアが生まれてきます。たとえば、誰かが職場で経験した業務改善のプロセスが、提案のヒントになったこともありました。

結論として、提案書をつくるプロセスでは、あらゆる経験や知識を総動員する必要があります。そして、何よりも重要なことは、「絶対に実習を成功させたい」という強い思いを持ち続け、提案書に取り組む姿勢だと思います。

実務補習を控えている方へのメッセージ

プレゼンは、実習とはいえ、本当に診断先に提案するわけですから、やはり緊張します。しかし、提案に至るプロセスで苦労していればいるほど、不思議と自信を持って臨むことができるものです。そして、そういうプレゼンができれば実習は成功である、と私は思います。

実習を通して得られるものは人それぞれだと思いますが、私は「気づき」だと思います。実習プロセスにおいては、一見関連性のなさそうな知識や経験、そのすべてが活かせる場であることに「気づく」ことができます。さらに、実習で培ったプロセスや経験が、日々の業務に活かせることにも「気づく」ことができるのです。

実習は、さまざまな経験やスキルを活かせる非常に有意義な場です。私の実習経験が、これから実習を受ける方、そして現在、中小企業診断士資格を勉強中の方に少しでも伝われば幸甚です。

(おわり)

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実習先企業のプロフィール

会社名 株式会社トラストファーマシー
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