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目指せ! 中小企業診断士

「目指せ!中小企業診断士」×月刊『企業診断』「伝説の合格者たち」 コラボレーション企画・座談会 合格の鉄則は自らの診断士像を描き、信じ抜くこと

取材・文:堀切 研一(中小企業診断士)

【第4回】「気づき」を克服するごとに、合格へ近づく [2]

参加者:鈴木孝史/黒澤元国/斉藤初和/中尾桂子(第1回発言順)
取材・文:堀切 研一(中小企業診断士)

取材日:2009年10月4日

与件の言葉を縮小コピーする

鈴木:皆さんにお聞きしたいのですが、ふだんと本番では、どちらのほうが時間がかかりましたか。ちなみに私は、本番のほうが格段に早く解けました。

黒澤:私もそうですね。丁寧にゆっくり書けるぐらい、時間が余りました。

司会:ということは、考える時間が減っているんでしょうか。

鈴木:集中度が違うんだと思います。

黒澤:時間が余ったのは、やっぱり合格した年ですね。すべての事例で、最後の5分はじっくり見直す時間にあてられました。

鈴木:結果的に、集中して取り組めたということでしょうね。私は、ファイナルペーパーに30分間は考える、と書いていたんですが、実際には20分経過してから書き始めました。私の場合、60点が目標だったので、それ以上考えていろいろ盛り込もうとしたら、ふだんの解答プロセスが破たんすると思って......。

中尾:ファイナルペーパーにも、「悩むと想像力が働いてくる」って書かれていますね。

鈴木:早く終わったので、30分間反省会をしていたんです。いったん自分の決めたルーティンで書いた答案を、もっとよくしようと書き直すことは、100点を目指すことなんですよ。だから、時間が余っても書き直さなかった。胃は痛みましたけどね(笑)。

黒澤:「迷ったら結論を具体的に過度に書かない。適当にごまかせ」とありますが、そのとおりですね。「ここは6割でいいんだ」と割り切って、適当にごまかせばいいんです。

鈴木:8割取らなければいけない設問もありますが、何を聞いているかわからない設問などは、5割も取れれば御の字です。

司会:そうした設問の切り分けは、どのようにされていましたか。

斉藤:題意がわかりやすいものは、8割取るべきですが、題意がわからない設問は、キーワードをたくさん入れて、少しでも点を取れたらいいな、と思いながらやっていました。

黒澤:「少しでも」という意識でいいんですよね。

司会:8割取る設問とは、具体的にはどんなものですか。

斉藤:強み・弱みは、8割取るべき設問ですね。

鈴木:与件から抜き出して解答する設問は、8割取るべきです。そのままマル写しでもいいんです。私は漢字に自信がないので、与件に書かれている漢字しか使わないように決めていました。

黒澤:そうですね。ひらがなで減点されることは、まずないでしょうから。

鈴木:誤字脱字をするぐらいなら、与件の漢字しか使わないように決めておくほうがラクなんです。

中尾:いちいちほかの単語に置き換える意味も、わからないですよね。

黒澤:そうですね。それから、キーワードで書く、というのも難しい。キーワードって何かが曖昧ですし。

中尾:そこを教えてくれる人がいないんですよね。

黒澤:キーワードって、人によって解釈が違うと思いますが、私の場合、「与件で言えることをコンパクトにまとめた言葉」と理解しています。

中尾:いずれにしても、与件の言葉ですよね。

鈴木:コンパクトにまとめられないのであれば、与件の言葉をそのまま使うべきです。意味が通じなくなるぐらいなら、無理にまとめる必要はないと思います。

黒澤:縮めすぎて日本語としておかしくなったり、ただの羅列になってしまう人もいますが、それはやめたほうがいいですね。採点者に、与件のどの部分を指しているかがわからないとダメです。

鈴木:私は、「縮小コピー」をすればいいと思っています。

司会:小さくなっても、元の形が変わっていなければいいんですね。

抜き出し系の設問を確実に取る

鈴木:受験生によく、「取らなければいけない設問はどれだと思う?」と聞くことがあります。彼らは、「配点の高い設問です」と答えるんですが、それは違うんですね。

司会:では、どういう設問なのでしょうか。

鈴木:与件から引っぱり出せる設問をおさえるべきなんです。それだけで、3~4割は取れますから。配点の高い設問から取ろうとして一生懸命頭を使い、抜き出し系の設問を雑にしてしまっている人が多い。

中尾:もったいないですね。

鈴木:まずは、抜き出し系の設問をおさえたうえで、頭を悩ます設問に取り組むべきです。まとまらなければ、自分が信じたとおりを書けばいいんです。そうでないと、落ちたときに悔やみ切れない。こう習ったから、こう言っていた人がいたから、というだけで書いて落ちてしまうと、絶対に後悔すると思います。

公式問題も確実におさえるべき

司会:抜き出し系の設問が最優先というのは、皆さん、共通されているようですが、ほかに優先すべき設問はありますか。

座談会の様子

黒澤:毎年聞かれるような設問ですね。

司会:たとえば、どういった設問でしょうか。

黒澤:経営分析であれば、記述部分です。指標はどうでもいいんですが、記述部分は公式化できます。たとえば、「問題点は○○で、原因は○○なので、収益性が悪化している」といったキーフレーズを覚えておけば、時間をかけずに解ける。

司会:黒澤さんの公式に、○○の部分は、鈴木さんが言われるように与件から引っぱってくれば、答えになるわけですね。

黒澤:そうですね。記述がきちんと書けていれば、なぜその指標を選んだか、納得性も高まりますから。

鈴木:全体は解決策を考えなければならないとしても、「○○で、○○だから、△△である」の○○の部分は、与件から引っぱってこれるんです。そこで点を取って、あとはそれに相反しない程度に何か書いておけば、それなりに点はくれると思います。とにかく、悩みすぎないことです。経営に正解はないんですから、ベターなことをスピーディーにやること。今からできることを提案していければ、それでいいんです。

司会:分解していけば、かなり作業的なレベルに落としていけそうですね。このように作業の部分を増やしていかないと、80分間で解くのは難しいのでしょうか。

黒澤:キーワードを与件の言葉と捉えていれば作業はしやすくなりますが、「1次試験のキーワードに置き換える」と定義して、その場で考えてしまうようだと厳しいですね。

鈴木:たしかに、キーワードを、1次試験の知識である経営用語と捉えている人も多いですね。

黒澤:私は、ふだんの経営支援の実務では、カタカナやアルファベットを会話に使わないようにしています。社長に対して、コンカレント・エンジニアリングって言ったって、「そんなの知るか」って感じですよ(笑)。

鈴木:経営用語には、定義の決まっていない言葉が多いんです。法律用語と違い、経営系のアルファベット3文字の言葉には、本人の意図している以外にもいろいろな意味があって、誤解を招きかねないですよね。