経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

目指せ! 中小企業診断士

診断してみました!・シリーズ1:【診断テーマ】「先生」から「経営者」へ ―経験ゼロからの学習塾経営を支援

文:山田 かすみ(中小企業診断士)松井 淳(中小企業診断士)遠近 浩二(中小企業診断士)原崎 崇(中小企業診断士)守井 浩一(中小企業診断士)

【第4回】課題抽出とドメインの再定義

第1回から第3回で取り上げた、1)オーナーへのヒアリング、2)K塾の見学、3)財務分析、4)商圏分析、5)保護者・生徒へのアンケート――によって得られた情報をもとに、課題の抽出とドメインの絞り込みを行いました。

課題の抽出

まず、オーソドックスにK塾のSWOT分析を試みようとしました。しかし、K塾には明らかな機会はある一方、それを活かす強みはまだ十分に築けていないことは明白でした。また、K塾は立ち上げたばかりのため、課題が山積みで、早く1つずつ解消しなければならないという段階でした。そのため、準備不足で起業した事業ではありがちなことですが、弱みを特定する以前の状態でした。脅威に関しては、潜在的にはあるものの、幸い火急の対応が必要な状況ではありませんでした。

K塾は、未だにA社の個別指導塾時代を引きずった"講師に場所を貸している"状態から脱皮しきれていません。オーナーが急に経営者になったことに加え、日々の忙しさもあり、経営に対する考えと目配りがまだ不十分な状況です。

1)サービス業としての基礎(整理整頓・顧客ニーズ把握)が甘い、2)経営資源の有効活用(空きブース、平日昼間と土日の教室の活用、講師採用・活用)が十分にできていない、3)中長期の戦略・ビジョンをニーズベースで描き切れていない――といった問題を導き出している最大の要因は、具体的な経営目標をきちんと立てられていないことです。

SWOT分析の結果

S 強み
経験豊なTオーナーとプロ講師陣
立地
O 機会
地元児童・学童人口の増加
中学受験熱
補習に対する強いニーズ
W 弱み
経営資源の不足、課題が山積み
T 脅威
競合参入の恐れ

ドメインの絞り込み

多くの課題点は目に付きますが、K塾には魅力的な機会があります。1)学童人口が増加していること、2)中学受験と補習のニーズが強いこと、3)既存の商圏内に競合する塾がないことなどです。地域に根ざして、ニーズをとらえた質の高いきめ細かな指導をいち早く行うことができれば、永続的な経営は可能であると私たちは考えています。

そこでCustomer:地元の小・中学生、Value:質(授業・教室・コミュニケーション)、中学受験と補習、Core Competence:質の高い講師(他の塾に負けない強み)――とドメインを絞り込みました。もちろん、オーナーの人柄と教育への信念も重要な要素であることは言うまでもありません。

以上に述べた状況と私たちの提案した方針をまとめると、次のような診断概略フロー=戦略策定フローとして表せます。

戦略策定フロー

(つづく)