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取材・文:加藤 毅(中小企業診断士)松井 淳(中小企業診断士)

【第3回】コミュニティ・ビジネス

国や行政の公共サービスの多様化、効率化、スリム化が求められている昨今では、住民などのニーズにすべて対応することはできません。そこで期待されているのが、コミュニティ・ビジネスです。

コミュニティ・ビジネスとは

コミュニティ・ビジネスとは、地域の問題へのきめ細やかな対応を地域住民が主体となって行う事業をいいます。地域(コミュニティ)への貢献を、ビジネス手法を用いて解決しようという取り組みです。「中小企業白書(2004年版)」ではコミュニティ・ビジネスの特徴を、以下のように挙げています。

1)地域住民が主体である
2)利益の最大化を目的としない
3)コミュニティの抱える課題や住民のニーズに応えるため財・サービスを提供する
4)地域住民の働く場所を提供する
5)継続的な事業または事業体である
6)行政から人的、資金的に独立した存在である

コミュニティ・ビジネスの事業主体は、NPO法人、株式会社・LLP等の営利法人、任意団体、個人事業者などさまざまです。それぞれが地域内で行政、住民、他の事業主体と協働して地域密着型の事業を推進していきます。

実践者に聞く

NPO法人コミュニティビジネスサポートセンター( http://www.cb-s.net/ )代表理事の永沢映さんにお話を伺いました。永沢さんは全国でコミュニティ・ビジネスに関する講演、コミュニティ・ビジネスの立ち上げ支援を行っていらっしゃいます。

永沢映さん

― コミュニティ・ビジネスと通常のビジネスの違いはどこにあるのでしょうか?

通常のビジネスでは、事業者が「点」(単独)として営利を求めて活動することが基本です。しかしコミュニティ・ビジネスでは、事業者だけではなく、地域の住民、企業、ボランティア団体、行政などあらゆる主体を巻き込みます。連携を取って地域を「面」として事業を実施します。地域ネットワークを構築し、みんなで地域の課題を解決するのです。

行政や地域の団体(商店街や地縁団体)、住民などを引き込むためには、「私益」だけではなく「公益」も求められます。多くの主体が参加しますので、利益をシェアする「共益」という考えが重要なのです。

― ボランティア活動との違いは?

ボランティア活動は、採算は考慮せず地域の課題を解決しようとするものです。一方でコミュニティ・ビジネスは、採算に合う、つまり継続性が見込める事業を取捨選択します。

千葉県の高洲・高浜団地で、団地住民向けの修繕などを行うコミュニティ・ビジネスが立ち上がりました。ところが始めてみると、買い物の代行をして欲しい、移送サービスを実施して欲しい、便利屋のようなサービスをして欲しいなど、多くのニーズが寄せられるようになりました。

通常のボランティアの考えでは、採算性ではなく可能な範囲でニーズのすべてに対応しようとするかもしれません。しかしコミュニティ・ビジネスの考えでは、多くのニーズから事業採算性に適ったものを優先して選択します。採算性の低いものをいかにして採算性のあるビジネスモデルにしていくかを検討します。そのあたりが、ビジネスの手法を取り入れているといわれる所以です。

― コミュニティ・ビジネスが注目されて日は浅いですが、日本に根づくでしょうか?

厚生労働省は、2012年にはコミュニティ・ビジネスの従事者が120万人になると予想しています(雇用創出企画会議)。コミュニティ・ビジネスの指導や視察などで全国をまわっていますが、ニーズが都市から地方に移ってきているのを感じています。

地域ネットワークのプロデュース役も多く引き受けていますが、人口が数千人~数万人程度の小規模の地域のほうが、ネットワークを構築しやすいですね。コミュニティ・ビジネスはいままで都市圏で注目されており、都市部でも広まっていくと思いますが、今後はさらに地方でも発展していくと思います。

コミュニティ・ビジネスは「稼ぐ」だけではありません。自分の夢の実現、他人の喜び、地域の活性化などの多様な成果を目指すことができるものです。そのような働き方を求めるニーズが高まってきていますので、今後は日本にもかなり根づいていくと思います。

取材協力:特定非営利活動法人 コミュニティビジネスサポートセンター
http://www.cb-s.net/
〒101-0054 東京都千代田区神田錦町3-21ちよだプラットフォームスクエアA205
TEL:03-5259-8091 FAX:03-5259-8092