経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

目指せ! 中小企業診断士

新人中小企業診断士座談会―資格取得で人生の新しいステージへ

司会:福島 正人
参加者:穐本 仁 /  金井 啓 /  新木 啓弘 /  毛利 真希子

【第5回】中小企業大学校の養成課程で学んだこと

仲間と真剣に学んだ半年間

司会:穐本さんは1次試験合格後、中小企業大学校で養成課程を受講するというコースに行かれるのですけれども、その仕組みを簡単に説明してもらっていいですか。

[中小企業大学校東京校] http://www.smrj.go.jp/inst/tokyo/index.html

穐本仁さん

穐本:平成18年の、たしか1月か2月に募集が始まったかたちで、とりあえずそのときの制度でいうと、応募資格が1次試験の合格者で、応募者の中から公開抽選で人数を決めて40名が決まるということでした(注:現在は、書類審査および面接審査により選考が行われています。)。約200名の応募があったと思います。とりあえず応募はただなので応募したところ、その40人の中に入りまして、「本当に受かってしまった。どうしようか」と、そのときにはじめて行くか行かないかを真剣に考えた。やはり半年、仕事を離れてやらなければいけないわけですから...。

司会:とりあえず応募して、5倍ぐらいの確率だったのが無事抽選に通って、それで申し込もうとなったわけですね。わかりました。大学校ではどんなことをやられたのですか。

穐本:4月25日が開校だったのですが、一般的な受験校の講座とはちょっと違った、実務的なものをベースにしたテキストが入学前に送られてきた。それを読んでから来いというのですけれども、直前だったものですから読み終わらずに授業がはじまっていくのです。

実務的ということでは、先生がおっしゃるには、「中小企業は財務諸表をきちんと保管していない。まずそれを探すところからはじまる」。あと、「勘定科目なんかもう適当だから、それの裏を取るところからはじめるんだ」ということで、えらくびっくりした記憶があります。

逆に理論と現場との乖離というものは受験勉強中から感じていたのですけれども、そういった面で、ここは本当に実務的にやってくれるのだなということで安心して、全力で取り組めるという感じでしたね。

司会:では2次試験の財務みたいな感じで、決算のデータが与件としてあってというものとは違って、本当の実務のところからはじまるわけですね。

穐本:たとえば財務諸表についても、自分が診断士として行って見せられたときに、まず信じるのではなくてちゃんと裏を取る。そういうところからやらなくては、数字をたたいても意味がない。「じゃあいままで勉強してきたことは?」というようなことがいろいろ出てくるので、そういう意味ではよかったと思っています。

司会:それはすばらしいですね。

穐本:もう1つは、教わる内容がすごいボリュームなのです。課題もテキスト以外にどっとありますし、参考図書もたくさん提示されます。ですから、ずっと余裕なく、交流会なども3回できたかどうかですね。

司会:半年間で3回ですか。少ないですね。

穐本:ええ。本当に真剣にやらないと追いつかないし、みんな真剣だから自分も真剣になってしまうのですけれど...。また、かなりハードな先生方がいらっしゃって、刺激をいっぱい受けました。

司会:一緒に受講した40名の方というのは、どういう人が多かったのですか。

穐本:年齢でいうと20代から60代後半まで。60代の方が4名いらっしゃいました。平均年齢が40の前半ということでした。女性は2人だけでした。

定年退職された方も、その60代の4名には含まれていますし、自分もそうなのですけれど、会社を辞めてくる方が多かったという印象ですね。そういった覚悟をもって来ているという仲間が多かったのが、真剣な雰囲気の理由かなとは思います。

司会:支援機関や金融機関などからの派遣ではなくて、自らの意思で参加する人が多かったんですね。そのメンバーとは、今でも交流があるのですか。

穐本:ええ。ネット上にもありますし、東京では時々会って情報交換をするメンバーがいます。そういう仲間ができたことも、大学校を選んでよかったことの1つですね。

貴重な実務経験が積めるカリキュラム

司会:養成課程の内容についてはいかがですか。主に実習形式になるのでしょうか。

穐本:経営診断の実習が5社。流通業1社、製造業2社、戦略策定が2社、それにトータルソリューションが1社という5つです。その実習が始まりましても、みんな真剣に入り込んでしまうので、もう5時では終わらない。9時、10時、終電になってしまうことも何度もありました。ときにはそれでも終わらないものですから、夜中にメーリングリストでやりとりしていると、ぐるぐる朝までに二転三転してしまうということもありました。そういう意味では大学校の事務局の方も、かなり苦労されたのではないでしょうか。

司会:かなり濃密だったわけですね。「1次試験が受かったら大学校に行けばいいや」ぐらいの軽い気持ちで行くような場ではない。結構ハードだと。ただ、そこで学んだことは相当実務に生かせる。

穐本:はい、そう思います。実際はまだまだこれからで、まだあまり使ってはいませんけれども...。  あと、実務ということでは、プレゼンの仕方などもありました。

司会:そういうのも講義の中にあるのですか。

穐本:はい。ヒアリングの仕方とかプレゼン、発表の仕方について先生から、「もっとこうしろ」とかアドバイスをいただくようなかたちです。私は中小企業にいたこともあって、これまでパソコンでプレゼンする機会がなくはじめてパワーポイントを使いました。それがなければ、資格を取るのとは無縁のものだと思っていましたので、プラスアルファなものとして参考になりました。

司会:なるほど。そうすると、本当に実務的で、たとえば「コンサルとして独立したい」という人に向いている内容なのですね。これから資格を目指す人にとって、大学校に行くコースと2次試験コースと2つあると思うのですけれども、どうですか。大学校はお勧めですか。

穐本:受け手の事情によって違うと思いますけれども、受講料の110万円を払って6ヵ月の期間を費やしても、得るものはあるとは思います。

司会:やはり濃密な勉強もできるし、ある意味、診断士といっても変な話、試験に受かっただけでは即戦力とは言えない部分もあるかもしれないけれども、大学校の場合は即戦力なわけですね。

穐本:別に大学校を出たから即戦力かというと、また違うところもあると思うのですけれども、やはり実務に即したということでは、テキストだけではできない勉強もできるのかなと思います。試験のあとの実務補習は3回。それに対して5回できるチャンスがあって、そのほかにもゼミということで、先生によっては1社なり2社なり診断に入る機会があるということで、とても貴重な経験ができると思います。

司会:最低5社は実習で見られるし、それ以外にも何社か見られるような感じでしょうか。そうすると結構、いい経験になりますね。ありがとうございます。

(つづく)