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クレーム対応研修の副読本

文:鈴木 佳文(中小企業診断士)

『どんなクレームもゼッタイ解決できる本』を読む

クレーム対応の重要性を再確認する

お客様からのクレームは、どんな業種・業態でも、また企業規模にかかわらず発生する可能性があります。

クレームへの適切な対応が重要であることは、中小企業診断士であれば今さら言うまでもなく、認識されていると思います。しかし、実際にお客様相談室などでクレーム対応の経験を積んできた方は、そう多くいらっしゃいません。クライアントの要望によっては、クレーム対応の指導や研修を行うことを求められる可能性もありますので、現場レベルの経験から生み出された本書は、その参考として活用できるでしょう。

さて、クレームとはいったい何でしょうか?

コンサルティングの現場でクライアントからこうした質問があったときは、自分自身の言葉でわかりやすく答えたいものです。ここでは、「お客様が抱いていた期待値を下回ったことから、不満を述べられているということ」と定義しています。

このように、言葉の定義を明確に確認しておくことは大切です。あらためてクレームとは何か、なぜ対応が必要なのか、対応する・しないのメリットとデメリットは何かを整理し、クレーム対応の重要性を再認識しておきたいものです。本書では、クレーム対応の実際に主眼が置かれているため、この基本部分の整理でわれわれ中小企業診断士の力が問われます。

中小企業のクレーム対応に活用するために

著者は、自身の経験に基づいてクレームを「一般クレーム」、「こじれたクレーム」、「悪意のクレーム」、「特殊クレーム」の4種類に分類したうえで、それぞれの対応手順を示しています。共通する基本的な対応から各種クレームへの特有の対応まで、マニュアルとして活用できるよう配慮がなされていますが、われわれ中小企業診断士が活用するにはもうひと工夫必要です。クレームへの対応が、汎用的な内容となっているため、業種・業態に特有のポイントをクライアントに合わせて加えていくことが求められるのです。

また、クレーム対応のベースには、コミュニケーション能力が要求されるため、実際には相当の場数を踏んでいないと、種類を判断するなどの実践は難しいと思われます。単に知識やテクニカルな対応になれば、逆効果になる可能性もありますので、クライアント特有の事情も踏まえつつ、ロールプレイングを加えた研修と組み合わせていくことが重要です。

本書の最大のポイントは、最終章で述べられた「クレーム対応が人生の糧になる」というマインドセットの部分です。大切なのは、クレームをどう捉え、どう向き合うかという「姿勢」です。クレーム対応のマニュアル作成や研修を、クライアントとともに検討する際は、助言者である中小企業診断士自身がクレームに対する明確な認識を持ち、自身の「クレームに臨む姿勢」を見せることが必要だと感じました。本書のみではなく、さまざまなクレーム関連書と併せて研究しておきたいものです。

『どんなクレームもゼッタイ解決できる本』

『どんなクレームもゼッタイ解決できる本』

津田卓也[著]
四六判・223ページ
定価:1,470円(税込)
あさ出版刊 http://www.asa21.com/tb2/donna_claimmo_zettai_kaiketsudekiru_hon.html