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文:村橋 保春

『バカ社長論』

赤ペンを持って読んでほしい

「バカ社長論」。いかにも、目につき、ちょっと手にとって見たいと思わせる書名である。新書版で、手に取りやすい。金額も千円で百円以上のおつりが来るため、負担感はない。裏表紙に記された要旨は以下のとおり。

『電気代節約で赤字が増えた。デキる社員に仕事を振ったら売上が減った...。会社の不調の原因は、いつだって社長や管理職のデタラメな判断・行動にある。会計士の視点から、会社が犯しがちな間違いを挙げ、「こうすれば、もうかる」シンプルな理論を説く。』

日ごろ、社長や上司に感じている不満をうまくまとめている。その上、良かれと思ったことが、逆の効果となっている事を会計「士」がわかりやすく説明してくれていそうだ。簡単に読めて、いっぱしの経営の薀蓄(うんちく)が語れるネタ本だな。買って読んでみるか。AIDMA理論の具体的事例としてうってつけである。

実際、非常に読みやすい。文章も平易で、展開も引っかかるところがない。さっと読める。そして経営のヒントが、2,3記憶に残る。ビジネスパーソンが通勤時間を使って読むにはふさわしい本である。ぜひ一度読んでいただきたいと考える。

しかし、中小企業診断士、もしくは中小企業診断士を目指す人たちは、赤ペンを持って読んでほしい。同書は5つの章立てからなっている。それぞれの章に対して、以下の3つの選択肢から該当するものを選んで見ていただきたいと考える。

(A)ほとんど新しい知識、考え方が示されている

(B)おおむね既知の内容ではあるが、説明の仕方が参考になった

(C)ほとんど既知の内容であり、自分のほうがよりふさわしい説明ができる

選択肢Aを選んだ場合には1点、Bの場合には2点、Cの場合には3点をつけて合計を出す。最小点数は5点、最大点数は15点となる。

仮に8点未満であれば、中小企業診断士として、過去に学んできたテキスト等を用いて理解している内容を総ざらいされることをお勧めする。8点以上12点未満は中小企業診断士としての基礎力はあるものの、よりクライアントから魅力に感じてもらえるように努力を重ねる必要があると考えるがいかがだろうか。12点以上14点以下の場合には、ぜひご自身で類書を著すことを志していただきたい。15点満点の人は、もう一度謙虚に同書を読み直していただくことがふさわしいと考える。知識でなく、コミュニケーション能力に課題があるとしたら、今後の中小企業診断士活動を見直すいい機会となる。

書き手として読む

中小企業診断士の業務上、本を数多く読むこととなる。そうした場合、本の全内容を余すところなく、隅から隅まで読みきっていては、とても時間が足りない。そんなときは、まず目次を読む。目次は、本の概要を示す地図である。本全体を俯瞰できるとともに、狙った宝物(知りたい情報)のありかを示してくれる。

本書の5つの章立ては以下のとおりである。第1章だけはより細かな目次も示してみる。

  • 第一章 「時は金なり」がわからない社長
    バカ社長が会社を壊す/会社が儲かる単純な仕組み/会社を家計簿の理屈で考える人/安いコピー機はなぜいけないのか/電気代を節約したら赤字になった/高い家賃も「あり」な理由/リストラで落ち込む会社の法則/本当のスピード経営/お客様が喜べばコストも下がる/管理部門がスピード経営の成否を決める/仕事は一回で終わらせる
  • 第二章 社員が働く会社、サボる会社
  • 第三章 ヒット商品の恐怖
  • 第四章 お金をもうける算数・初級編
  • 第五章 もうける社長は、こう考える

目次をしっかり読んだ後、本編を読んでほしい。本編の要点を目次として示したのではなく、目次の内容を少しだけ詳しく書いたのが本編であることがわかる。目次は索引であり、著者は同書を著すに当たり、書きたい要素を抽出し、読み手がスムースに読めるように連想しやすく組み立てていることがわかる。

中小企業診断士、もしくは中小企業診断士を目指す人たちには、こうした本をどんどん読んでいただければと考える。その際、書き手としてどのように考えてその本を構成し、著しているかという視点が大切である。そして、診断の場で、クライアントの理解と意欲を高めるために、自分だったらどのように表現するかについて考えてみることは大変有効ではないだろうか。

『バカ社長論』

『バカ社長論』

山田 咲道[著]
新書版・192ページ
定価:893円(税込)
日本経済新聞出版社刊 http://www.nikkeibook.com/