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脳をだましてやる気を出す

文:村橋 保春

『のうだま やる気の秘密』

「やる気」を出すにはコツがある

中小企業診断士は受験の段階でも、資格取得後の業務実施にあたっても、資料調査、実態把握、理論研究、文書作成など、精神的にも肉体的にも切磋琢磨が求められる。つまり「やる気」を持って、常に努力し続けることが必要となる。とはいえ、そこは生身の人間である。やる気を一定水準で維持することはなかなか難しい。
 それではどうすればよいのか。本書は「脳をだますこと」であると答える。とても興味深い答である。

本書は、イラストレーターの上大岡トメ氏と脳科学者の池谷裕二氏の共著である。上大岡氏はミリオンセラー『きっぱり!』を著し、「たった5分間で自分を変える方法」を世に問うたことで有名である。池谷氏は新進気鋭の学者として、「脳の可能性」をわかりやすく、かつ応用しやすく解説してくれる。『海馬』をはじめ多くの著書に著している。この二人の共著であれば、それだけで十分に注目に値する。

やる気がなくなること、あきっぽいことは、脳が「馴化(じゅんか)」することによる。新しい発見や経験では素直に感動するものの、繰り返されることにより脳は馴化しその状態を当たり前のこととして捉えてしまう。このマンネリ化をやめる方向と習慣化する方向のいずれの方向に展開することができるかが、「やる気」を維持するコツであるとする。めんどうくさいと感じる歯磨きを習慣化することにより、磨かないと気持ち悪いと感じる例をあげ、脳の馴化の進め方を示している。

脳をどのようにだますか

脳がやる気になっているときには「淡蒼球(たんそうきゅう)」という部分が働いている。淡蒼球は外部からの刺激を受けて活動し、脳にやる気を起こさせる。そのため、淡蒼球をいかに刺激するかが大切になる。淡蒼球はあくまで受動的に反応する。淡蒼球を刺激する具体的な方法とは脳のだまし方であり、やる気のスイッチの入れ方である。
 脳をだますため、本書は以下の4つのスイッチを示している。

  1. カラダを動かすこと
  2. いつもと違うことをすること
  3. ごほうびを与えること
  4. なりきること

なかなか資料調査を着手する気にならないとき、とりあえず机につきページをめくり書き出しを行っていると、なんとなくやる気が湧いてくることがないだろうか。これがカラダを動かすことによるやる気起こしである。
 いつもと違うことをすることで、馴化(マンネリ化)に変化を与え、新たなやる気を起こさせる。近くの喫茶店で書き物をすると、なんとなく筆が進むなどはこのスイッチによる。
 ごほうびを与えることがスイッチになるのはわかりやすい。自分自身からのごほうびでも効果は変わらない。自分自身がだまされる(やる気が出る)ごほうびをうまく設定することが大切である。
 中小企業診断士を目指している人にとっては、時々診断士になったつもりで勉強してみるのも一考だろう。どのような中小企業診断士になりたいかを想定しながら勉強すると、モチベーションもあがるものと考える。

本書はスイッチの入れ方を「からくり編」でまとめたのち、より具体的なお助けコンテンツを示している。全部で16あり、まずは20回続けてみることを勧めている。お助けコンテンツの一部を示してみる。

  1. 最初の目標は小さくする
  2. 同じ時間にやる
  3. カタチからはいる
  4. 友達を巻き込む
  5. 身銭を切る

どうだろうか。なるほどと思えるお助けコンテンツだと思い、少しにやっとした人が多いのではないだろうか。

やる気が湧いてこないときには、読み始めるのに気合が必要なしっかりした本は読みにくい。この点、本書はイラストがふんだんで、漫画となっている部分もあり、すこぶる読みやすい。萎えかけたやる気に活を入れるには最適の本である。勉強や業務に行き詰ったら、ぜひ一度読んでもらいたい。

『のうだま やる気の秘密』

『のうだま やる気の秘密』

上大岡トメ 池谷裕二[共著]
単行本・142ページ
定価:1260円(税込)
株式会社幻冬舎 http://www.gentosha.co.jp/