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執筆業務へ活動フィールドを広げるヒント

文:鈴木 佳文(中小企業診断士)

『地域ブランドへの取組み-26のケース』を読む

中小企業診断士が執筆した書籍を単にそのまま読むのではなく、自身の活動とリンクさせることでさまざまなヒントが得られます。本書からいくつかピックアップしてみましょう。

地域ブランド登録支援のテキストとして活用する

「高崎だるま(群馬県)」、「小田原蒲鉾(神奈川県)」、「市田柿(長野県)」など、地域ブランドへの取組み事例が26ケース掲載されており、これらをヒントに診断士としての知見を加えてオリジナルのテキストを作る元ネタとして活用できます。われわれ、中小企業診断士のほか、地域ブランド登録を支援する立場にある方々にとっては、良い参考書と言えます。

もっとも、副題に「先進ブランドに学ぶ地域団体商標登録の進め方」とありながら、商標登録の進め方そのものに関する詳細記述はほとんどないので、地域ブランド登録の支援をする際のテキストとして使うには、工夫が必要でしょう。

「共著+取材」という出版形式の可能性を探る

本書では、取り上げた26事例について、15人の若手診断士が現地に足を運んで取材した内容が主軸となっています。

ここから、診断士資格取得後の活動に際して、「書く」分野に手を広げる1つの方法が見て取れます。つまり、本を1冊執筆するだけのベースとなる情報がない状態でも、「共著」という形であれば、出版できる分量の原稿を揃えられるということです。さらにテーマによっては「取材」という形で、支援実績がなくても本が出版できるということです。

診断士の資格を取っていつかは本を出したいと考えている方も多いと思いますが、行動が結実した事例がここにあるのですから、心強いこと、この上ないでしょう。

中小企業診断協会内の実力養成コースや実践型の研究会に所属すると、共著に関わる機会を得られることが多いようです。

旬のテーマを見つける視点を持つことを心掛ける

地域ブランドは、まさに今が旬であると言えます。J-Net21でも「地域資源活用チャンネル」で、地域資源の活用を大きくクローズアップしています。企画・執筆の取組みを行うにあたっては、出版されるタイミングがポイントということですね。自分の関係する分野のなかで、出版に結びつくような旬のテーマがないかつねに探しておくアンテナが大切であると再認識しました。中小企業診断士として、旬のテーマを見つける視点を養う必要があります。

商店街支援のヒント集として活用する

筆者は、商店街の逸品運動推進に関して支援を行っていますが、逸品運動のヒント集として活用しようと考えています。書籍の形になっているので、商店街の役員にも渡しやすく、診断士としての知見を加える余地も残されています。地域ブランドは、地域としての「逸品」であり、逸品運動の1つの究極の形として結実した成果として見ることもできるでしょう。本書でも指摘されていますが、単に地域ブランドを取得するだけではなく、どのように活用し、息の長い活動を続けていくかが大きな課題です。

地域資源活用の取組みも一過性のブームに終わらないよう、われわれ中小企業診断士が積極的に支援に関わっていきたいものです。

『地域ブランドへの取組み-26のケース』

『地域ブランドへの取組み-26のケース』

安田龍平・板垣利明[編著]
A5版・255ページ
定価:2,520円(税込)
同友館刊 http://www.doyukan.co.jp/