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研修を仕事とする中小企業診断士は必見!

文:樋野 昌法(中小企業診断士)

『ムダ!な研修』に学ぶ「研修を成功させるための秘訣」

研修はムダなものだと考えている人は少なくありません。本書では、研修講師として活躍する著者(中小企業診断士)が、原因は「研修に関わるさまざまな人の思惑の違いで生じるギャップ」であると捉えたうえで、そのギャップを埋めて効果の高い研修にする方法を提案しています。講師として研修に関わることの多い中小企業診断士にとっては必見の書です。

「ムダ!な研修」だと思われる原因がわかる

研修講師の仕事は、基本的に単発で発生することが多く、リピート受注につなげるためには、初回の研修でいかに高い満足度を得られるかが重要なポイントになります。しかし、研修の現場では、高い満足度を得るどころか「ムダ!な研修」だと思われ、クレームが発生してしまうことも珍しくありません。

著者は「ムダ!な研修」だと思われる原因について、単なる講師の力量不足だけではなく、研修に関係している6者それぞれの思惑の違いにあるとし、その具体例を挙げています。研修に関係している6者とは、受講生、受講生の上司、経営者層、研修担当事務局、研修講師、研修機関の営業担当者です。そして、研修を成功させるためには、「笑えて、しかもためになる」ことを求める受講生と「即、成果が出ること」を求める受講生の上司、「売上と利益に結びつくこと」を求める経営者層といった3者の満足レベルを満たす必要があると述べています。

研修講師の心得がわかる

研修講師として、どのように前述の3者の満足度を高めるかを考えるうえで、本書の第2章、第3章が非常に役立ちます。

第2章では、研修に参加する人の意識を変える方法が記述されています。なかでも特徴的なのは、参加者に対し、「教わり方を教える」というものです。著者はその具体的な対応策を、新人に対するものと中堅社員に対するものに分けて挙げています。さらに、効果的な研修スタイルにはどのようなものがあるかということにも触れています。

第3章では、研修講師の心得と研修のすすめ方が記述されています。最後の振り返りとフィードバック、コミットメント(約束)の重要性や、気をつけなければいけない講師のあり方など、具体的に守るべきポイントが挙げられています。

研修実施主体側に対するコンサルティングのポイントがわかる

第4章以降では、研修の効果を高めるために経営層や研修担当事務局が果たすべき役割と、その方法について触れられています。具体的には、研修の環境作りや、研修の効果を測定する方法などです。本来、この部分は研修の実施主体側に向けた内容です。しかし、これらを把握することにより、研修の中身のみを担当する講師という役割を超えて、研修を成功に導くための全体的な視点を持てるようになります。つまり、経営層や研修担当事務局に対し、研修効果を高めるためのコンサルティングが可能になるということです。

本書の内容は、少しでも研修の仕事に関わったことのある人なら共感できる部分が非常に多いと思います。また、研修の効果を高める方法も著者の経験に基づいており、説得力があります。研修を成功させるための秘訣を知りたい人に、お薦めの本です。

『ムダ!な研修』

『ムダ!な研修』

福嶋 覚[著]
四六判並製・248ページ
定価:1,470円(税込)
日本実業出版社刊 http://www.njg.co.jp/