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全財産21ドルからの再出発

文:加藤 毅(中小企業診断士)

映画「幸せのちから」に再チャレンジの難しさを考える

インターンシップのせいで家庭は崩壊

「幸せのちから」は学歴もキャリアもない主人公クリス・ガードナー(ウィル・スミス)が、いわば再チャレンジをした実話を描いたものです。

クリスは高校時代の成績は一番、特に数学が得意でしたが大学には進学しませんでした。現在は売れない医療機器のセールスマンです。生活は困窮し、家庭内も暗い雰囲気に包まれています。

クリスは一念発起して、証券会社のインターンシップに応募します。期間は6ヵ月、給料はゼロ。20人の研修生の中から社員に採用されるのは1人だけ。そのような悪条件でも挑戦しようとするクリスに腹を立て、パートナーのリンダは家を出て行ってしまいます。 さらに、家賃滞納でクリスはアパートを追い出され、モーテル暮らしを始めます。しかし貯金が枯渇してしまい、モーテルにも泊まれなくなります。5歳の息子を抱えながらのホームレス生活です。手元にあるお金は21ドルしかありません。

ホームレスをしながらのインターンシップ

その状況でもクリスは研修を続けます。昼は息子を託児所に預けて証券会社に通い、夜はホームレス用の宿泊施設で寝るという生活です。

ホームレス用の宿泊施設を利用できない日もあります。そんな夜は親子ともに駅のトイレで寝るしかありませんでした。トイレで寝る息子を見て、クリスは自分への情けなさから涙を流します。息子をこんな境遇に追い込んだのは、親であるクリスなのです。

しかし努力が実り、クリスはインターンシップ後に証券会社の社員になることができました。現在は投資会社の最高経営責任者にまで昇りつめています。再チャレンジをしたからこそ、才能を開花させることができたのです。

再チャレンジが可能な社会

自由主義経済のなかで、勝ち組と負け組が出るのは仕方がないことです。機会の平等と結果の平等は違います。努力や才能によって結果は異なります。しかし、自分が負け組になってしまったとき、それを受け入れて一生を過ごさなければならないのでしょうか。

安倍首相は所信表明演説で、次のように述べています。

「新たな日本が目指すべきは、努力した人が報われ、勝ち組と負け組が固定化せず、働き方、学び方、暮らし方が多様で複線化している社会、すなわちチャンスにあふれ、誰でも再チャレンジが可能な社会です」

ある分野では負け組にいても、別の分野の職業に就いたら勝ち組となれるかもしれません。再チャレンジをしてみなければ、結果はわかりません。

しかし、クリスのように個人の力だけで再チャレンジをすることは犠牲を伴います。やはり社会的な応援が不可欠です。今後、再チャレンジの制度が整えられ、日本が「勝ち組と負け組が固定化」しない「再チャレンジが可能な社会」となることを願います。

『幸せのちから』

『幸せのちから』

監督:ガブリエレ・ムッチーノ
出演:ウィル・スミス、タンディ・ニュートン、
ジェイデン・クリストファー・サイアスミス ほか
公式サイト:
http://www.sonypictures.jp/movies/thepursuitofhappyness/index.html
配給元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント:
http://www.sonypictures.jp/index.html