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気持ちよく「YES」を引き出すコミュニケーション

文:住田 俊二(中小企業診断士)

『15秒でツカみ90秒でオトすアサーティブ交渉術』を読んで

年間276日「研修女王」が教える

本書にはこのようなサブタイトルがついています。著者は、ビジネスコミュニケーション全般の企業研修や人材育成コンサルティングを手がける会社の代表で、6年連続で年間250日を超える研修実績を誇っています。

世に「交渉力」ないし「交渉術」というタイトルの書籍は数多くありますが、交渉を「勝ち負け」と考え、いかにして勝つかを説くものが多いなかで、本書はタイトル/サブタイトルの斬新さと「Win-Winを目指す」という基本姿勢のユニークさが光っています。

アサーティブ・コミュニケーション

本書では、コミュニケーションのタイプとして、「アグレッシブ(攻撃的)」「パッシブ(受身的)」「アサーティブ(積極的)」の3タイプを挙げていますが、相手の話を聞き、自分の立場もはっきり主張する「アサーティブ」なコミュニケーションによってWin-Winの交渉が可能になるとしています。

「パッシブ」では自分の意見が相手に通じないのは当然として、「アグレッシブ」でもうまくいきません。交渉には必ず相手があるからです。例えば、著者が日頃からどうも相性が悪いと感じていた取引先企業の研修担当者と、あるとき議論になり、このときとばかり完璧に相手を論破しましたが、翌年からその企業の研修オーダーは来なくなったというエピソードが紹介されています。われわれ中小企業診断士も、仕事の上で自戒すべき点だと共感しました。

言い訳でなく感謝を

本書では次に「初対面で相手をつかむ15秒スピーチ」と「相手を納得させる90秒トーク」の具体例を説明しています。どちらにも共通するポイントとして印象に残ったのは「言い訳をしない」という点です。

「今日はお忙しいところ、すみません」とか「私なんかがこんなことを申し上げるのは心苦しいのですが」など、よく言われる前置きですが、これは無意味であり、例えば「今日はいい機会を与えてもらえて、うれしいです」のような感謝に言い換えるべきだと著者は指摘しています。

さらに本書では、「YES」をもらったときの感謝は当然として、「NO」と言われた場合でも「ご検討いただき有難うございました」というのが良いとしています。これも、とっさにはなかなか言えない言葉ですが、相手の立場になってみれば、なるほどと納得できるアドバイスです。

アサーティブ営業力

なお、著者は続刊として『たったひと言で相手を動かすアサーティブ営業力』を出しています。前著の内容をさらに深め、社外だけでなく社内のコミュニケーションにも重点を置いています。

「社内の人に対しては身内意識が働いて『わかってくれるはず』と大事なひと言を省いてしまっていることが意外と多いものです。......社内こそ自分の考えをハッキリと伝えましょう」という著者の分析には、またも大きくうなずいてしまいました。

『15秒でツカみ90秒でオトすアサーティブ交渉術』

『15秒でツカみ90秒でオトすアサーティブ交渉術』

大串 亜由美(グローバリンク代表)[著]
四六判・232ページ
定価:1,500円(税込)
ダイヤモンド社刊 http://www.diamond.co.jp/