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成長できる企業とできない企業との違い

文:井海 宏通(中小企業診断士)

良書『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』に学ぶ

中小企業に共通したテーマ

中小企業診断士に対する中小企業からの支援ニーズには、資金調達、認証取得、販路開拓、新商品開発、人材育成など、いろいろとあります。ただ、それらは入口に過ぎません。同じ企業を徹底してご支援していくと、各社に共有した大きな経営課題に行きあたります。それは、「その企業をいかにして成長させるか」というテーマです。ここに貢献してこそ、中小企業診断士の存在価値がある、と私は考えています。

中小企業の多くは、創業者の価値観や性格の影響を大きく受けており、それぞれ個性があります。抱えている問題も企業ごとに異なり、教科書を適用するだけでは、実効性のある支援はできません。成長シナリオも企業ごとに異なるはずです。

ただ、そうは言っても、一定の基本型は必要になります。それがあってこそ、柔軟であっても軸がブレない支援が可能になります。その「基本型」の1つが提示されているのが『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』です。中小企業診断士であれば、タイトルくらいはご存知でしょう。この本は、「良好」から「偉大」へと飛躍を遂げた企業を調査し、その共通点をまとめた本です。

本書は2つの点で良書と言えます。1つは、小手先のテクニックやノウハウを解説した本ではなく、内容に普遍性が感じられる点。もう1つは、大企業だけでなく中小零細企業にも適用できる点です。

飛躍するためには何が必要か

本書はページ数が多いにも関わらず、内容は極めてシンプルです。企業が偉大な企業へと飛躍する過程は「準備」と「その後の突破」の過程であり、主要な概念として、(1)第五水準のリーダーショップ、(2)最初に人を選び、その後に目標を選ぶ、(3)厳しい現実を直視する、(4)針鼠の概念、(5)規律の文化、(6)促進剤としての技術、(7)弾み車、の7つが紹介されています。それぞれについて、詳細な解説とともに、飛躍を遂げた企業とそうでない企業との違いが具体的に述べられているため、読者がイメージしやすくなっています。

本書は、理解したつもりになるのは簡単でも、実践するのはそう簡単ではありません。また、取り組み始めてすぐに効果が出るような即効性もありません。しかし、徹底して実践すれば、他社を寄せ付けない偉大な企業へと成長することが可能になるでしょう。それだけの力があります。

中小企業診断士自身にとっても有用

本書は中小企業診断士が、経営コンサルタントとして活動していく際にも、いろいろと参考になる点があります。我が身を振り返れば、自身も事務所または会社を経営する身であり、今後どのように事業を展開していくのか、について無策でいる訳にはいきません。その際、本書は1つの指針として参考になります。特に「針鼠の概念」は、自分の戦略を考える際のフレームワークとして有効です。

『ALWAYS 三丁目の夕日』

『ビジョナリーカンパニー2 飛躍の法則』

ジェームズ・C. コリンズ(著),山岡 洋一(翻訳)
四六判上製・420ページ
定価:2,310円(税込)
日経BP社刊 http://www.nikkeibp.co.jp/