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徹底的に使いこなしたい財務分析の必須アイテム

文:平村 一紀(中小企業診断士)

中小企業庁編『中小企業の財務指標』

圧倒的なデータ数による信用性

中小企業信用リスク情報データベース(CRD)をデータソースとして、82万社のデータを元に策定されています。中小企業信用リスク情報データベース(CRD: Credit Risk Database )とは、全国52の信用保証協会を中心に中小企業の経営データを集積する任意団体CRD運営協議会が発表するデータです。

データ数は平成16年度まで刊行されていた『中小企業の経営指標』と比較しても大幅にアップしており、この母集団の大きさは他の経営指標に関する図書と比較しても圧倒的に多いものとなっています。中小企業診断士が経営分析を行うにあたっては、本書を活用することにより分析結果・提案内容の説得力が増すとともに、クライアント企業からの信頼の獲得につながるでしょう。

多様な角度からの比率分析

多様な角度から比率分析が行われていることも特長です。キャッシュフロー分析の視点から3つの経営指標が導入されています。売上高別・従業員数別などの事業規模による従来型の分類に加えて、全国8エリアに区分した地域別の指標や各指標の過去3ヵ年の推移なども挙げられています。エリア特性や時系列の趨勢を加味することで、より客観的な経営分析を行うことが可能です。

また、経営指標の主要項目である売上高営業利益率や総資本経常利益率の高い順に4つにグループ分けを行って、他の経営指標がどのような数値であるかを示しています。この分析指標を活用すれば、経営全体の良否と各指標との関連を踏まえた経営分析を行うことができます。クライアント企業の経営改善を行うにあたり、どの点から優先して改善していくべきかといった経営活動の指針を得ることにつながります。

経営分析のディファクトスタンダード形成へ

中小企業信用リスク情報データベース(CRD)のデータを活用することにより、優良企業からディフォルト状態にある企業まで幅広い企業を含めた経営指標を打ち出すことを実現しています。定量的にも、定性的にも信頼性・信用性の高い経営数値が盛り込まれた図書です。コンサルタントとして開業している中小企業診断士はもちろん、企業内で財務・経理に関わっている中小企業診断士にも財務分析の必須アイテムとして本書をお薦めします。

今後、中小企業診断士が行うコンサルティング業務において、『中小企業の財務指標』を徹底的に活用することによって、中小企業を対象とした経営分析の分野でディファクトスタンダードとなるスタイルを確立する日もそう遠くないのではないでしょうか。

『中小企業の財務指標』

『中小企業の財務指標』

(平成18年発行版)
中小企業庁[編]
定価2625円(税込)
A4版・648頁
同友館刊 http://www.doyukan.co.jp/