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常磐ハワイアンセンターの成功をSWOT分析で考察する

文:齋藤 民治(中小企業診断士)

映画『フラガール』にみる企業再生と新規事業開発

昨年の秋、全国ロードショー開始早々に「スパリゾートハワイアンズ」のある福島県いわき市出身の妻と二人で「フラガール」を観にいきました。観にいく前は一般的な娯楽ムービーだと思っていた私ですが、映画の後半では涙が止まらず、ラストも感動的で大雨の後にからっと晴れた空のような爽快な気分になるとてもいい映画でした。

この映画は炭鉱の子女がフランダンスを通して成長する物語ですが、炭鉱という斜陽産業からレジャー産業への変革を遂げた企業再生の姿を描いたという側面もあります。そこで、新米ながら中小企業診断士としての立場からこの「フラガール」及び常磐ハワイアンセンターを運営する常磐興産株式会社について考察してみました。

SWOT分析

常磐ハワイアンセンターのオープン前、昭和30年代後半は石炭から石油へのエネルギーへの転換が進んできていました。ここで温泉レジャー施設構想が生まれるわけですが、この時期にSWOT分析を行ったらどのようになったかを、自分なりに以下のように考察してみました。

S(強み)本州最大の炭鉱、大規模な設備

W(弱み)大量の温泉の汲み出しによる作業効率の悪化、余剰人員

O(機会)高度経済成長、人口の増加、レジャー産業の創出

T(脅威)石炭から石油へのエネルギー転換

以上は炭鉱を営む場合のSWOTですが、このW(弱み)をレジャー産業に置き換えてみると大量の温泉や余剰人員は強みになります。この弱みを強みに変える逆転の発想で日本初の温泉リゾート施設として船出をし、大成功を収めたわけです。

では、レジャー産業に参入するにあたっての弱みは何であったのだろうか? それはノウハウの不足と寒さです。

ノウハウの不足という点では日本初のリゾート施設ということで、手本がなかったのが逆によかったのだと思います。ハード面では南国の雰囲気を感じるヤシの木、バナナの木等の外観、当時行きたくても簡単に行けなかった憧れのハワイを作りあげました。そしてソフト面では映画の主題でもある「フラダンス」を、ダンスを知らない炭鉱の子女たちに一から教えてオープン本番に間に合わせることができました。

寒さについては温泉の熱だけでは上手く育たないヤシの木等を、担当者が炭鉱の人からストーブをたくさん集めて何とか乗り切りました。

企業は「ヒト」

よく会社で大切なものは「ヒト」「モノ」「カネ」といいますが、この中でも特に「ヒト」が重要だと思います。私も日頃、仕事を通じて、また、諸先輩方の話を聞いているとどんなによい計画書を作っても、それを実行する人が行動しなければ絵に描いた餅に終わってしまうということを感じています。本来の事業とは何の関連性もない事業に進出するのはリスクが高く、失敗する場合のほうが多いのですが、この常磐興産株式会社が成功したのは従業員の気持ちが一つとなって現れた結果だと思います。

フラガール

『フラガール』

監督 李相日
出演 松雪泰子、豊川悦司、蒼井優ほか
公式サイト http://www.hula-girl.jp/index2.html
配給元 シネカノンhttp://www.cqn.co.jp/movies/index.html