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ビジネスチャンスを逃していませんか?

文:福島 正人(中小企業診断士)

『「幸福な偶然」(セレンディピティ)をつかまえる』を読んで

セレンディピティとは?

セレンディピティ(serendipity)という言葉を、聞いたことがありますか? セレンディピティとは、偶然の幸運に出会う能力・偶然の幸運をつかむ能力のことを指します。

棚からぼた餅が落ちてきた人をうらやましいと思っているだけでは、幸運はつかめません。"棚にぼた餅がおいてある"と見抜く力や"棚の下に行こう"という行動が大切なわけです。本著にも、『棚からぼた餅が落ちてくるためには、「ぼた餅がある」と自分が信じられる「棚の下=環境」に身を置かないと落ちてはこないものです』(本著から引用)と書かれています。

ビジネスチャンスをつかむ

ビジネスの世界でも、セレンディピティな事例は数多くあります。例えば、本著ではポスト・イットの事例を挙げています。強力な接着剤を作ろうとしたところ、すぐはがれてなんどでも使える接着剤が偶然出来てしまいます。それは当初の目的からすれば失敗作ですが、逆にポスト・イットという世界的な商品に結びつきます。まさに偶然の幸運をつかまえたわけです。

セレンディピティが高い人は、ビジネスチャンスをつかむのが得意な人ということができます。それにはまず、"チャンスがある"と思うことが大切です。ポスト・イットの例でも分かるように、失敗の中にもチャンスがあります。お客様からのクレームの中にもチャンスがあります。日常不便に思っていることの中にもチャンスがあります。どこにでもチャンスがあるのです。

「うちの店は場所が悪いから......」「社員の能力が低くて......」「忙しくて経営のことを考える時間がない」などとネガティブな考えをしていては、せっかくのチャンスを逃してしまうかもしれません。どんなに忙しくても"心の余裕"を持つことが、チャンスをつかむのに必要です。

幸運をつかむためには、"行動する"ことも大切な要素です。"幸運の女神に後ろ髪はない"とよくいいます。チャンスを見つけてもそれをつかもうとしなければ、幸運はつかめません。ポスト・イットの事例では、はがれる接着剤が商品化されるまで11年かかったそうです。困難な製造装置の開発、思わしくない市場調査結果にめげず、最終的には世界的なヒット商品につながります。失敗を恐れず前向きに行動することで、幸運をつかみましょう。

セレンディップの三王子

セレンディピティという言葉は、もともと「セレンディップの三王子」というおとぎ話がきっかけとなって作られた言葉です。セレンディップ(現在のスリランカ)の三人の王子が修行のため身分を隠して旅に出ます。途中らくだを探しているキャラバン隊の隊長に出会います。王子たちは、そのらくだを直接見ていないのに、「片目ではないですか」「歯が抜けていませんか」などと特徴を言い当てていきます。

王子たちは、なぜ見てもいないらくだの特徴を言い当てることができたのでしょうか?それは、道の片側の草ばかり食べられていたことから「片目ではないか」と考え、噛み残した草が残っていたので「歯が抜けている」と気づいたのです。普通の人が気づかないところにも、何かヒントがあるわけです。

ビジネスの世界でも、同じことが言えます。成功している経営者・ビジネスマンは、見落としがちなチャンスに気づいています。実際に「チャンスがいっぱいあり過ぎてどうしよう」という贅沢な悩みをしている人もいるのです。

「一所懸命頑張っているのに、なかなかうまくいかない」という人は、どこかでチャンスを逃しているのかもしれません。チャンスがあることを信じ、前向きに取り組むことで、思わぬ幸運をつかむことができるかもしれません。"偶然の幸運"は、あなたが見つけてくれるのをきっと待っています。

『「幸福な偶然」(セレンディピティ)をつかまえる』

『「幸福な偶然」(セレンディピティ)をつかまえる』

日野原重明(聖路加国際病院理事長)[著]
四六判上製・221ページ
定価:1260円(税込)
光文社刊 http://www.kobunsha.com/