経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

中小企業診断士の活躍の場が広がる「小規模M&A」――アンドビズ株式会社代表取締役社長兼CEO 大山 敬義さん、パートナー事業部登録サポーター 中山 あかねさん

取材・文:【第1回】野田 敦士(中小企業診断士)・【第2回】西本 哲(中小企業診断士)

【第1回】中小企業の事業承継問題を解決する「小規模M&A」という選択肢

2019年2月19日更新(取材日:2018年12月20日)

後継者不足により今後、多くの中小企業・小規模事業者が廃業の危機を迎えるのではないかと懸念されています。
株式会社日本M&Aセンターは2018年4月5日、小規模事業者の事業承継を支援し、地方創生に貢献する会社として、アンドビズ株式会社を設立しました。今回は、アンドビズ株式会社代表取締役兼CEOの大山敬義氏と、関東エリアで当該事業を推進する中山あかね氏に、同社の小規模M&A支援サービスによる事業承継の概要と、中小企業診断士に期待することを伺いました。

「小規模M&A」は事業承継問題の解決手段の一つ

――アンドビズ株式会社を設立された背景や狙いをお聞かせください。

大山:従来のM&Aのやり方では、小規模の会社は放置されてしまう場合がほとんどでしたので、何かできないかとずっと考えてきました。M&Aで相手を探す際は、さまざまなシナジー効果を想定し、この会社とこの会社が一緒になれば良い会社になる、などと専門家が企業分析を行い、1社ずつ提案書を書いて当たっていきます。そのため、仕事の精度は高いのですが、小さな会社ではそのやり方が使えませんでした。
転機になったのは6年前、M&Aの本場・米国で見た「ビズバイセル」というサイトです。驚くことに、そのサイトには当時、「会社を譲りたい」という案件だけで約3万件も掲載されていました。"公の場"にこれほど多くのM&A案件が掲載されているのは、日本ではまったく信じられないことでしたので、非常に大きな衝撃を受けました。
会社はモノではないため、マッチングだけでなく、M&Aの教育を受けた人が斡旋しなければなりません。米国では、不動産の免許をもつ弁護士が斡旋を行っていましたが、日本の場合、そのような方はあまり存在しません。そこで、そのままのモデルではなく、適した人材を一から育てて組織化したいと考え、帰国後に一般社団法人金融財政事情研究会と共同で、「M&Aエキスパート認定制度」という資格制度を作りました。現在、資格保有者は2万人を超え、全国に広がっています。
また、母体の株式会社日本M&Aセンターでは小規模M&Aのマッチングシステムを立ち上げ、約4年間にわたり、秘密保持の問題やトラブルが起きないか、実験を行ってきました。幸いにして大きなトラブルもなく、徐々に成約も出てきましたので、2018年4月にこの部分を切り離し、新会社として当社を設立したのです。

インターネットを活用したM&Aマッチングサービス

――貴社のマッチングサービスの特徴を教えていただけますか。

大山:一番のコンセプトは、安心安全です。現在、M&Aの分野はある種のブームで、多くのサイトが存在しています。それと同時にマーケットが広がり、素人の売り手さんや買い手さんが非常に増えています。これは別に悪いことではないのですが、従来のM&Aのセオリーが通じず、決算書を読めない人も多いため、事故が起こりやすくなっています。こうした事故を未然に防ぐことが、私たちの役割です。安心安全をポリシーとしているため、利用者はしっかりとした身分証明を求められ、わずらわしい面もあるかもしれませんが、この点が当社の最大の特徴だと考えています。
当社の小規模M&Aマッチングサービス「バトンズ」での成約数は現在、174件です。そのうちの約3割は赤字で、55%が債務超過、年商2億円以下が98%です。従来の常識では、赤字、債務超過、極小の3拍子が揃っていると、絶対に誰も買おうとはしませんでしたが、その会社に1つでも魅力があれば、買いたいと思う人は存在するのです。

――インターネットを活用することのメリットは何でしょうか。

大山:インターネットのすばらしい点は、「自分で選べる」、「誰でも選べる」ことです。
従来のM&A案件は、ごく限られた方にしか提案されず、多くの方にとってM&Aは、一生に一度も触れる機会のないものでした。しかし、インターネットの世界ではアクセスするだけで、そこにM&A案件が存在します。逆を言えば、待っているだけではダメで、自らアクションを起こさなければなりません。インターネットにアクセスし、自分にとって最も良い、最もやりたい仕事があるかどうかを熱心に研究することが必要だと考えています。
また、売り手と買い手の数を比べると、売り手の数は約10分の1で、選ばれるのは買い手の方です。先日、「バトンズ」上で最も人気だった案件は、買い希望が120にも上りました。モノであれば在庫がありますが、M&A案件は在庫のない一点モノです。選ばれるためには、自分がどのような人物で、何をどうしたいのかをしっかりとアピールできなければ、永遠に機会は回ってきません。

――小規模M&Aにおいて重要なことは何でしょう。

大山:マーケットが広がっているだけに、何らかの「差を出す」ことが非常に重要です。売り手さんからすると、その差は必ずしもお金ではなく、「高いから売る」という方もそれほど多いわけではありません。自身の事業を譲るとなると、さまざまなほかの要素があるのです。
あるお饅頭屋さんは、事業を譲る際の唯一の条件が「お饅頭の味を変えないでほしい」というものでした。きっと、強い思い入れがあるのでしょう。また、「代々続いてきた屋号を変えないでほしい」という方もいらっしゃいました。
このことからも分かるように、会社をモノと考えている経営者はあまりいません。創業経営者にとっては、モノどころか人生そのものです。彼らが避けたいのは、自身が退いた後に会社がつぶれることと、後継者指名に失敗することで、創業者の思いを継いでくれる人しか、後継者には指名されません。小規模M&Aの世界では、会社のストーリーや思いが重視されると考えています。

(つづく)

【お役立ち情報】

【関連情報】

プロフィール

大山 敬義(おおやま たかよし)
株式会社日本M&Aセンター常務取締役。アンドビズ株式会社代表取締役社長兼CEO。日本M&Aセンターの設立に参画、同社初のM&Aコンサルタントとなる。100件以上のM&A案件の成約実績があり、後継者難による中小企業のM&Aによる事業承継の仲介、コンサルティングおよびグループ内外の企業再編手続きなどを手がけた。

中山 あかね(なかやま あかね)
アンドビズ株式会社パートナー事業部登録サポーター。2017年1月に株式会社日本M&Aセンター、&Biz事業部(当時)に入社。会計事務所や金融機関からの紹介案件を、アンドビズ株式会社が提供する小規模M&Aサービスであるバトンズへ掲載する業務をメインに取り組む。