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データ分析の積み重ねが「まちゼミ」を深める――自転車コーキ屋 濱中 康輝さん

取材・文:【第1回】大樂 正孝(中小企業診断士)・【第2回】丸田 良廣(中小企業診断士)

【第1回】試行錯誤で高める「まちゼミ」の魅力

2018年5月15日更新(取材日:2018年1月29日)

2012年7月、都内初となる「まちゼミ」が青梅市内で始まりました。以来、回数を重ねて、2018年2月の開催が第12回となっています。青梅商店街は、「まちゼミ」を都内で最も積極的に推進している商店街の1つです。
今回は、その中心となって活動されている自転車コーキ屋の濱中康輝さんに、「まちゼミ」が事業者および商店街にもたらすものと中小企業診断士に期待することを伺いました。

「まちゼミ」が人を連れて来てくれる

―青梅商店街は都内でいち早く「まちゼミ」に取り組まれましたが、そのきっかけを教えてください。

青梅商工会議所が地域活性化の一環として持ちかけたのがきっかけです。「まちに人が来ない」とよくいわれますが、何かアクションを起こしているかというと、実は何も起こしていません。
若い事業者は、SNSなどインターネット上の情報に頼って個々に集客をしますので、商店街として来街者のお住まいや来街理由は、実はわかっていません。本来は商店街が、「まず商店街に人を呼ぼう」と結託すべきなのですが、古くからの商店も多く、世代間での考え方の違いも手伝って、協調性が乏しいのが実情です。各々が別のことをした結果、大型施設に人が取られてしまい、商店街全体としては何もせずに負けている状態でした。
そのような中、「まちゼミ」の性質自体が、「店の前までは人を連れて来てくれるもの」ならば、その後は「各々の商売のやり方で店内に引き込むことができるのでは?」と何人かが気づき、商工会議所とともに取組みを始めました。

自転車コーキ屋の濱中康輝氏。あふれる笑顔がとても魅力的で、周りを元気にする

自転車コーキ屋の濱中康輝氏。あふれる笑顔がとても魅力的で、周りを元気にする

試行錯誤の繰り返しが継続につながる

―最初はどのくらいの規模から始めたのですか。

初回は77講座と、特別に多いわけではありませんでしたが、2回目で約150講座と格段に増えました。それを最盛期に、その後は70~80講座程度に落ち着きます。
初期段階で「まちゼミ」を始められた松井洋一郎氏(岡崎まちゼミの会代表)にご講演をいただき、「『まちゼミ』とはこのようなものです。商売については、自分たちでしてください」という旨のお話を聞きました。また、都内で初めてということもあり、他地域事例を共有する「まちゼミサミット」の西多摩版を青梅市で開催しました。
そうした取組みなどにより、事業者の「まちゼミ」に対する理解が深まり、真に想いを持つ事業者に参加が絞られたと思います。さらに、勉強会や反省会をやるべきとの声にもつながりました。この部分は、青梅商工会議所が各店に足を運び、地道に動いてくれた成果です。

―開催回数や時期はどのようにされたのでしょうか。

ペース的には年2回、夏冬に開催しています。ただし、冬は個人事業主が書類作成などで多忙です。お客様が良いタイミングですと商店主が忙しく、その逆もあります。年3回で期間を短く、あるいは年1回で期間を空けて開催時期を長く、など方法はさまざまあると思いますが、まだこれという打開策はありません。

―具体的には、どのようなことから取り組まれましたか。

最初は、恥ずかしながら「まちゼミ」のことはまったくわかりませんでした。「店主が講師となる? 自転車屋で?」と、感想はそれだけでしたから(笑)。
「店主が講師となり、お客様と触れ合うことが『まちゼミ』です」といわれても、いま一つピンと来ません。そこで、最初の「まちゼミ」のネタは、「わかりやすくパンク修理を」としたのですが、後から考えたら講座のお題になるだけで、実際の商売にはつながりません。
その反省から、次回のネタは「自分でやるメンテナンス」と少し深くしたところ、受講者数は減ってしまいました。受講者は主婦や高齢者が中心なので、スポーツをテーマとするのは難しい――そう判断し、コラボを持ちかけてくれたシフォンケーキ屋さん、レンタサイクル屋さんと一緒に企業コラボを行ったところ、その後のリピーターにつながる「まちゼミ」として大当たりしました。
毎回、さまざまな切り口で取り組み、都度結果をデータとしてまとめ、反省点と改善策を毎回作って商工会議所とも共有し、次につなげていきました。

「まちゼミ」がもたらす地域の信頼

―回を重ねて、「まちゼミ」を楽しみにされるお客様は増えましたか。

そうですね。いまご参加いただいているお客様の多くは、1ヵ所だけでなく講座をはしごされています。
「まちゼミフリーク」とお呼びしているこうしたお客様は、情報発信にも意欲的です。たとえば、「先週はチーズづくりに、今週は出汁を取りに行ったのだけれど、次はどこに行ったほうが良い?」などと声をかけてくださり、それをお客様同士で共有されています。またお店側も、「ここへ行ってみては?」と次のお店を紹介するだけでなく、紹介したお店の店主にそのお客様のことを電話でお伝えします。
すると、行った先でも「コーキさんから聞いていますよ」という話になります。お店同士のつながりがわかるとお客様も安心し、地域の信頼性が高まるのです。

(つづく)

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プロフィール

濱中 康輝(はまなか こうき)
東京都青梅市出身。東京都青梅市の「自転車コーキ屋」代表で、東京サイクルデザイン専門学校兼任講師も務める。愛車はSPECIALIZED/S-works STAMJUMPER-FSR。自転車以外の趣味は、写真・釣り・グラス集め・鞄集め。
【ホームページ】http://kokibikeshop.web.fc2.com/
【公式ブログ】http://kokibikeshop.blog92.fc2.com/