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縁の下の力持ちとして「まちゼミ」をサポート――野田商工会議所中小企業相談所長 平井 賢吾さん

取材・文:【第1回】長井 健太(中小企業診断士)・【第2回】西田 基紀(中小企業診断士)

【第2回】「まちゼミ」は地域活性化の取組みの集大成

2018年5月8日更新(取材日:2018年1月11日)

今回は、野田商工会議所中小企業相談所長の平井賢吾氏にお話を伺っています。第2回は、野田商工会議所独自の取組みや、中小企業診断士への期待についてお話しいただきました。

良い施策を取り入れつつ、PDCAを通じてアレンジするのが野田流

―まちゼミに関する独自の取組みがあれば、教えてください。

独自の取組みは3つあります。1つ目はまちゼミチラシのポスティングです。当初は新聞にまちゼミチラシを同封して1回目にアンケートを取り、DMを希望される方の住所と名前を収集して送っていました。ところが、新住民の多いエリアではあまり新聞を取っていないため、情報が行き届きません。そこで、別途ポスティングを行ったところ、「まちゼミ」に新住民の参加が増えたのです。
また、ポスティングやDMに同封する個店のチラシには、「まちゼミ」とは関係なく、商売に直結するクーポンなどを入れても良いという運用にしていますが、野田市が後援する「まちゼミ」は他の媒体よりも信用性が高く、通常の個店のチラシよりも見てもらえるため、広告効果が大きく、売上につながっています。
2つ目はインバウンド対策です。年間10万人もの外国人が訪れるため、外国人をターゲットにした講座を開きました。
野田市の訪日外国人数は、千葉県内で成田や浦安に次ぐ3位ですが、まったくといって良いほど対策がとられておらず、せっかくの機会を逸していました。そこで、「まちゼミ」を通してインバウンド対策を図りましたが、初回は失敗でした。日本文化の体験というコト軸のアプローチは良かったものの、開催内容がうまく伝わらず、十分な集客ができなかったため、次回からは英訳を見直す予定です。また、集客を人任せにせず、訪日客と実際に交流することで、口コミサイトにPRしてもらうような活動も行っていきます。
3つ目は地域のイベントと「まちゼミ」の同時開催です。イベントを行って来場者・来街者は年々増えていくものの、開催期間中のお店の売上につながっていない点が課題でした。イベントでは露店で買い物をする一方で、個店ではなかなか買い物をしません。しかも、商店会としての出店などの対応でお店を閉めることもあるため、売上につながらなかったのです。
そこで昨年、あえてイベント期間に「まちゼミ」を開催したところ、大成功でした。相乗効果で「まちゼミ」の受講者も増えた上、受講者全体の約2割がイベント初来場でした。

―中小企業診断士には、どのようなことを期待されますか。

私たちは、ケースによっては特定の中小企業診断士の方に依頼することもありますが、申し出を拒んだことはありません。確かに、「何でもできます」という人は信用できませんが、得意なことを具体的に言っていただければ、ミラサポなどを通じてマッチングするケースは多々あります。会員を助ける手段となるため、常にさまざまな中小企業診断士の方のお話を聞く体制をとっています。
「まちゼミ」については、実際に個々のお店に入り込んで、チラシの作り方や接客、店舗レイアウトなど各店舗の相談に乗ってもらえればと思います。日頃のサービスレベルの向上につながる上、こうした取組みが定着していけば、「まちゼミ」はさらに進化するでしょう。そして、経営革新計画や補助金申請などを通して、新しい商品開発やビジネスの立ち上げにつなげていただきたいです。
注意していただきたいのは、店主当人が課題に気づき、自発的に相談することが大切だという点です。中小企業診断士の方が、一方的に問題点を指摘したり責めたりしても解決にはつながらず、持続しません。

―今後は、どのよう形で「まちゼミ」に取り組んでいこうとお考えですか。

まずは継続していくことですね。その中で、若い人たちを運営の中に取り込んでいきたい。現状は、「個店の活性化」から「地域の魅力向上」まで足を踏み入れたところですが、今後は「空き店舗対策」、「未来のまちづくり」につなげていきたいと考えています。
これは、愛知県岡崎市で「まちゼミの会」から「まちづくり会社」を作った流れなのですが、野田市でもまちづくり会社を作りたいという機運が高まっています。実際にはまだその段階ではないため、急がないようにと抑えている状況ですが。現状、「まちゼミ」の参加店舗は半分に満たないため、もう少し参加店舗が増えて商店街全体が賛同し、協力的で自らがやる気にならない限りは成功しないと思っています。

―最後に、平井さんにとって「まちゼミ」とは何でしょうか。

これまで商工会議所で行ってきた講習会の仕組みの集大成ですね。経営指導もできますし、創業スクールの受け皿にもなりますし、「社長塾」の進化版にもなっています。すべてを網羅している上に、これで終わりというわけではなく、今後もまだまだ進化するところが奥深い。本当に面白い仕組みだと思います。

(おわり)

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プロフィール

平井 賢吾(ひらい けんご)
1968年千葉県野田市生まれ。野田商工会議所 中小企業相談所長。経営指導員として「野田まちゼミの会」を支援。「第4回全国まちゼミサミット」(愛知県岡崎市)の分科会にて事例発表(「商業界」2017年4月号掲載)。「第1回千葉県まちゼミフォーラムin野田」(2018年9月21日開催)の分科会に登壇予定。