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縁の下の力持ちとして「まちゼミ」をサポート――野田商工会議所中小企業相談所長 平井 賢吾さん

取材・文:【第1回】長井 健太(中小企業診断士)・【第2回】西田 基紀(中小企業診断士)

【第1回】「野田まちゼミ」の誕生で変わるまち

2018年4月26日更新(取材日:2018年1月11日)

千葉県内では2番目に早い開催となった「野田まちゼミ」。2014年の第1回を皮切りに、2017年11月には早8回目の開催が実現しました。
今回は、開催エリアの商店主を中心に組織される「野田まちゼミの会」とともに「野田まちゼミ」に取り組む、野田商工会議所中小企業相談所長の平井賢吾氏に、「まちゼミ」開催のきっかけやご自身の役割、中小企業診断士に求めることなどを支援者の立場からお話しいただきました。

講習会の仕組みを網羅する「まちゼミ」

―「まちゼミ」を始めたきっかけを教えてください。

野田商工会議所ではもともと、売上向上や集客力アップといった内容を題材に、「社長塾」というセミナーを開催していました。このように伴走型支援をいち早く実施していましたが、机上の解決ばかりで実践の場がない、という課題がありました。
そこで、「社長塾」の発展形として、「イベント活用術」と題した実践の場を作りました。事前に店の知名度向上やイベント後の集客方法などを計画してもらい、1日で6万5千人ほどが参加する「みこしパレード」にイベント出店をし、後日検証会で振り返りを行うというものです。
こうした取組みを実施している最中に、会員事業所さんから「『まちゼミ』をやりたい」という相談があり、松井洋一郎氏(岡崎まちゼミの会代表・(株)まちづくり岡崎代表取締役)から「まちゼミ」のお話を伺いました。
「まちゼミ」の取組みは、「計画をし、実際にやってみて、お客さんに入ってもらい、最終的に店舗の売上につながる」という流れですが、私たちがやってきた取組みのすべてが、「まちゼミ」でクリアできることに気づきました。しかも、実施後のアンケートで課題を見える化できる上、新規創業のお店にとっては知名度を上げ、お客さんを取り込むきっかけにもなります。そこで、「これまで考えてきたことをすべて網羅できる」ことから、「まちゼミ」を始めました。

―「まちゼミ」の開催にあたって、平井さんや商工会議所の役割はどのようなものでしたか。

「野田まちゼミの会」と商工会議所の役割は、立ち上げ時から自分なりに解釈して線引きをしてきました。他のイベントとは違い、「自分ごととして商店会の方々に参加してほしい」という想いで、「やらされている感」が出ないように役割分担をしています。
あくまで主体は参加店の皆さんで、商工会議所が行う仕事は、参加店募集の案内やチラシづくり、プレスリリースなどの事務的なものです。また、開催後にはアンケート集計も行っています。

アンケートは物語る

―アンケートの内容を教えていただけますか。

年代や職業、居住エリアなどの参加者情報と併せて、事業所ごとの受講者数や満足度、名刺交換・クーポン配布といったアクションの有無などを集計しています。また、講座内容の要望を事業所名と一緒に記入してもらい、次回開催へのヒントも集めています。
アンケート集計は初回から継続して実施しており、過去の実績と比較しながら、反省点や気づいた点を参加者にフィードバックしています。約2週間もかかる大変な作業ですが、効果が見えるのは面白いですね。

―「まちゼミ」を開催されてから、参加者やまちの雰囲気は変わりましたか。

個人的にはだいぶ変わってきたと思います。
まず、交流が深まりました。これまではお互いの商店会に行ったこともなかったという人が、一緒に「まちゼミ」を開催することで、お互いのお店に行くようになったと聞いています。また、商店会の方々が、我々商工会議所の人間に挨拶をしてくれるようにもなりました。「まちゼミ」を通して関係が密になったおかげで、「まちゼミ」以外の話も気軽にできています。
ほかにも、少しずつ常連のお客さんが増えてきました。急激な変化があるわけではありませんが、アンケートではその結果が現れています。野田市内のお店に「ほぼ毎日来ている」、「週1~2回来ている」と回答した人は、第1回では45%程度でしたが、直近の第8回では75%以上を占めるようになりました。

―取組みを進めるにあたって、苦労されたことはありますか。

苦労したのは、役割の切り分けを理解してもらうことです。「まちゼミ」のお話をいただいた際、さっそく来月からやろうという話もありましたが、開催の意図や役割分担の内容を完璧に理解してもらうために、あえて1年の準備期間を設けました。そうすることで、商店会主体という考え方を納得してもらえたと思います。行政や商工会議所が主体で行っている場所もありますが、このおかげでより内容の濃い取組みができていると思います。

(つづく)

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プロフィール

平井 賢吾(ひらい けんご)
1968年千葉県野田市生まれ。野田商工会議所 中小企業相談所長。経営指導員として「野田まちゼミの会」を支援。「第4回全国まちゼミサミット」(愛知県岡崎市)の分科会にて事例発表(「商業界」2017年4月号掲載)。「第1回千葉県まちゼミフォーラムin野田」(2018年9月21日開催)の分科会に登壇予定。