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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

東日本大震災後の支援現場から―株式会社東日本大震災事業者再生支援機構 高橋尚志さん

取材・文:平井 彩子(中小企業診断士)

【第3回】中小企業診断士の活用

2017年12月21日更新(取材日:2017年9月20日)

東日本大震災後の支援現場で、日々活動を続けていらっしゃる高橋氏にお話を伺う本シリーズ。最終回となる第3回は、支援の中で中小企業診断士に求められること、また、自らも診断士資格をお持ちの目線から、中小企業診断士の活用や期待することなどについてお話しいただきました。

診断士資格取得を目指す職員

―御社の中でも、中小企業診断士の勉強をしている方がいらっしゃるようですが、どのように資格を役立てようと思われているのでしょうか?

仕事柄、再生の知識を深めるためですね。ここで仕事をしていくうえで、これまで金融機関で学んできた知識だけで十分なのかと、迷っている場合が多いように感じます。
私自身は30歳くらいのときにその思いを抱きましたが、将来どのように生きていくかという先を見据えて悩んでいる者もいるようです。自信を持ってここに来て、これまでとの違いに打ちひしがれ、何か勉強をしたいという思いが、診断士資格に結びつくケースは多いですよね。

―本機構と金融機関ではどのような文化の違いがあるのでしょうか?

金融機関では一般的に、自分がやりたいことをすべてできるわけではありませんが、本機構はかなり風通しが良く、上に対して何でも言うことができます。
また、非常に大きな裁量が現場に与えられています。各班の担当部長など上の人間が良いと判断すれば、基本的には全役員とも否定はしません。ですから、その下にいる部下たちは自分の意向がそのまま通り、仕事に面白みがあるのです。そこにプラスして欲が出てくるため、診断士資格を取得してキャリアアップを考える者も増えるのだと思います。

支援の変化と中小企業診断士の活用

―中小企業診断士に求められること、求めたいことはどのようなことでしょう?

個人的な見解としては、第2回でお話しました「殿軍(しんがり)」のひと言に尽きます。中小事業者さんの支援をするためにこの気持ち、気概を持つことができれば、もっと良い支援ができるのではないかと思っています。

―想いを持って取り組むことは大事ですね。

「魂を入れないと絶対にうまくいかない」とは、私自身も言われてきました。文章一つをとってもそうです。決して体裁が整っているものを求めているわけではなく、この事業者さんに対して本当に必要なことは何か、と考えることですよね。

―再生だけでなく、別の切り口でのご支援をする方もいらっしゃいます。

業況が順調な先のご支援をしている中小企業診断士も結構いますね。良い事業者さんをさらにジャンプアップさせるための支援ができるというのは、すごいことだと思います。
今後、どのようにビジネスを伸ばしていけば良いかで悩んでいる事業者さんは多いですが、そこに対する戦略の立案や参謀的な役割で入っている方々は、私たちの支援スタイルとはまた違い、すごいなと思っています。現在は復興が進むとともに、そのような支援ニーズも増えているところです。

―どちらの支援でも、親身になって寄り添う支援が必要ですね。

はい。私が見る限り、優秀な中小企業診断士は、経営者自身に考えさせるヒントを与えることが上手な場合が多いですね。「たとえば、こういう場合だとこうなりますよね」とか、「こういうふうになったらどうしましょう」などと、親身になって話をしていく。まさしくコーチングで、素晴らしい支援スタイルだと思います。自身が会社の責任を取れるわけではないことをしっかりと理解したうえで、的確なアドバイスをしていくのですから、言葉の重みも変わってきます。
中小企業診断士の良いところは、多岐にわたって勉強をしているため、発想の豊かな人が多い点です。経営者の視野を広げたり、畑違いの方々をマッチングさせたりなど、面白い活動をしている方もたくさんいらっしゃいます。
私自身、視野が狭いと感じたこともあります。ある事業者さんで、工場が津波に流され再建するとなったときに、どのようなレイアウトを考えるかで苦労しました。普段からそういった視点で物事を見たことがなかったんですね。しかし、中小企業診断士であれば、視野を広く持ち、ゼロから考えられるようにしなければならないと考えさせられました。

―最後に、読者の皆さんにひと言お願いします。

被災事業者さんにはぜひ、世の中でキラリと光るような商品を作る事業者さんになってほしいと思っていて、そのご支援をしたいと思っています。社長だけでなく、そこに勤めている従業員やその家族を守るために、できるだけ多くのお手伝いを続けていきたいです。
私自身、診断士資格を取得したからこそ、自分の行きたい方向に行けたのだと思います。被災事業者さんに対して幅広い支援メニューの提案ができているのも、資格のおかげでしょう。本機構の活用もそうですが、多くの事業者さんが中小企業診断士をもっと活用し、業績を伸ばしていってほしいと思っています。

(おわり)

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プロフィール

高橋 尚志(たかはし なおし)
1976年秋田県生まれ。中小企業診断士。(株)北都銀行(本店:秋田市)入行後、群馬県中小企業再生支援協議会へ転じ、2012年(株)東日本大震災事業者再生支援機構入社。過大な債務に苦しむ中小企業への事業再生を通じ、その事業と従業員を守りたいという想いで再生支援に携わっている。