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山口産業株式会社 山口明宏さん

取材・文:仲村 健太(中小企業診断士)伊藤 隆光(中小企業診断士)

【第3回】地域との関わりを全国へ

取材日:2016年2月1日

前回はMATAGIプロジェクト、レザーサーカスといった取り組みについてお話を伺いました。最終回の第3回目は、地域との関わりについてお聞きします。

墨田区のものづくりに誇りを持ってもらいたい

-「革のまちすみだ」とはどのような取り組みでしょうか。

もともと墨田区は革の産業が栄えた地域でした。それに伴って、靴や鞄などの製造業、卸売業、小売業が発達してきました。現在では皮革産業自体がかなり衰退してしまい、このままでは地域で培ってきたものづくりの技術までもが衰退してしまいかねない。そのような懸念から「革のまちすみだ」を立ち上げました。

「革のまちすみだ」では、流通の改革や技術の承継を通してだけではなく、地域や社会に貢献することによる皮革産業の認知度の向上、ひいては墨田区のものづくりに誇りを持ってもらうことが目的です。具体的にいうと、皮革事業者が作品の発表を行うこと、生産と流通と小売の取引を活発化すること、革製品に興味をもつ若手に対して視察や相談会を実施することです。レザーサーカスやMATAGIプロジェクトにも、その一環として参加しています。

地域に対する認知度の向上としては、墨田区の小学校の社会科見学を受け入れていまして、今年は600人の小学生に見学してもらう予定です。

工場内の説明をしている山口さん
工場内の説明をしている山口さん

革を扱っていると汚いとか臭いといったネガティブなイメージを持たれる方がいらっしゃるのですが、実際に見てもらうことでそうではないということをわかってもらいたいと思っています。革製品を地域のものづくり産業として広めていくためには、実際に住んでいる人が良いと思って広めてくれないと難しいと考えています。地域の小学生に弊社の工場を見学してもらって、自分の家に帰ってから「キレイだったよ」「面白かったよ」と話してくれれば、地域に住んでいる人の見方も変わってきます。

墨田区には17校の小学校があり、社会科見学を実施しているのは10校。もっと多くの小学生、また観光客の方にも、当社の工場を見学してもらいたいと思っております。現在は案内をする時には私が付きっきりになってしまうので、今よりも見学者数を増やすのは難しい状況ですが、これから先を見据えて温めているプランがあります。

「レザーアンバサダー」という制度を設けて、講習を受けた方に当社の工場を案内してもらう仕組みを構築することです。当社のことをある程度理解していただいている方に工場の案内をしてもらうことができれば、私が動ける時だけに限定することもありません。リタイアした地域の方に案内をお願いできれば、地域での交流もふえます。

近くに観光スポットのスカイツリーができたことをチャンスとしてとらえ、利用したいと思います。ゆくゆくは当社の工場を観光資源として、観光客を墨田区に呼び込めればと思っています。

当社の事業を通じて青い地球を守りたい

-自社のことだけではなく業界全体を考えて取り組まれているのですね。

ありがとうございます。当社は「ラセッテーなめしで日本を、世界を幸せにする」というスローガンがありまして、それに則って青い地球を守るために事業を行っています。自社の利益のためだけのことを優先していると、どうしてもスケールが小さくなってしまいます。ちゃんとしたものをつくって、地球に貢献する。

たとえばバングラデシュでは、クロムを使用したなめしを行っているなめし職人が病気になっています。使用したクロムもそのまま川に流していて、大きな問題になっています。なんとか救いたいと思う一方、どうすれば救えるのだろうという悩みがあり、JICAと協力して支援する計画も考えています。

これまで色々とやってきて、年齢的にも一番仕事がやりやすい時期に入ったと感じています。やはり、やりやすい人間が行動しないといけないと思います。

-中小企業診断士にどのようなことを期待しますか。

「革のまちすみだ」の立ち上げ当初は、近くの中小企業センターに何度も通いました。MATAGIプロジェクトは現金の出入りが多くなってきたタイミングで「革のまちすみだ」NPO法人に変更しましたが、その際には中小企業診断士の方にとてもお世話になりました。今でも本当に感謝しています。これからは、全国に当社と同じ技術を持った「なめし加工」工場をつくる予定ですので、その時も色々とお力になってもらいたいと思っています。

(おわり)

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