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中小企業診断士に期待する

山口産業株式会社 山口明宏さん

取材・文:仲村 健太(中小企業診断士)伊藤 隆光(中小企業診断士)

【第2回】持つ人に喜びを、使う人に夢を与える

取材日:2016年2月1日

前回は、独自の「ラセッテーなめし技術」やその取り組みのきっかけについてお伺いしましたが、今回は革加工にとどまらないその独自の活動についてお聞きします。

持つ人に喜びを、使う人に夢を与える

―革加工の本業以外での取り組みをされているのはなぜでしょうか。

昔のモノのない時から、モノそのものが必要な時代を歩んできました。とにかくモノを作らなければという命題のもとでやってきているので、どうしてもモノづくりが先行してしまいます。しかし、今はそこにコトがないといけないと思います。大量生産の時代ではないのでモノを作るというよりもコトづくりから始めた方がいいのです。それが他社よりもブランド力を強くします。そのために30代は人脈を広げて、とにかく人に会いました。

それはお客様だけではなくて、中小企業診断士の方や相談員、東京都中小企業振興公社の方などたくさんの人に教えていただきました。そして、コトづくりと並行して大事なのはヒト、人材育成です。クロムを全く使用しない「ラセッテーなめし技術」を通じて、コトづくり、人材育成に取り組んでいきます。

大盛況のMATAGI展 in ソラマチ
大盛況のMATAGI展 in ソラマチ

―先日発表したMATAGIプロジェクトについて教えてください。

MATAGIプロジェクトはシカやイノシシの獣皮をなめして素材として産地に返すことで、産地活性に繋げる事業です。それは害獣駆除をされている猟師の方からの相談で始まりました。シカやイノシシの皮をなめすのは簡単には出来ませんが、弊社の技術で何とか製品化できる革になめすことが出来ました。そのなめしも全国120箇所以上から受けております。幸いにして弊社の生産力にも余裕がありますので、豚皮加工生産には影響なく、「ラセッテーなめし技術」を活かすことができます。

皮をなめして素材として返しているのですが、猟師の方から「なめしてもらって嬉しいが素材をうまく活用できない」という悩みも聞いています。そこから「なめした革を売れる体制も作ろう!」ということで、ブランド化、販売のネットワークまで広げたレザーサーカスという活動を先日発表させていただきました。そこでも弊社の「ラセッテーなめし技術」を活かして関わらせていただいております。

 産地の「皮」を「革」に

―レザーサーカスはどのような取り組みなのでしょうか。

レザーサーカスは日本全国の産地でとれた“皮”をなめして“革”にして、その製品化やブランド化を実行し、生産者や小売店が新たな消費マーケットを共に創り上げるビジネスネットワークです。MATAGIプロジェクト事業とも連携していて、“いただいた命”を最後まで無駄なく使い切ることで、生産から消費を通じて命をつなぐ大切な社会的役割だと考えています。レザーサーカスはあくまでもネットワークとして機能して、各々のレザーブランドは独立して動けるようにしています。

たとえば、知床の蝦夷鹿の猟師さんと、九州のものづくりの企業がこのネットワークに入っていれば、「売りたい、買いたいという情報」がいくらでも共有できるということです。間に流通が入らないので余分なマージンが発生しないということがお互いのメリットとして享受できます。既成概念にとらわれることはなく、革が欲しければいつでも提供できる、というマーケットプレイスになっていけば良いと思っていて、現にさまざまな方面から企画書がたくさん届いているという状況です。

さまざまな動物の革の特徴を説明している山口さん
さまざまな動物の革の特徴を説明している山口さん

―レザーサーカスは革の流通に大きな変化をもたらす存在となるのでしょうか。

そういう側面もあるかもしれません。しかし、当社は既存の流通と共存することを目指しています。実際にレザーサーカスで取り扱う皮革はシカやイノシシなどの獣害被害がある動物のものに限定しております。また、その上でやる気がある人を引き上げられるような仕組みを考えています。我々は「フェラーリ戦法」と呼んでいるのですが、良いものを丁寧に生産して、なくなった場合には生産できるまでお待ちいただく。考え方はシンプルですよね。価値を高めるためには大量生産、大量消費はありえないのです。そのためには、どうでも良いものは作りません。革でなくてはいけない製品に拘っていきます。

(つづく)

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