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山口産業株式会社 山口明宏さん

取材・文:仲村 健太(中小企業診断士)伊藤 隆光(中小企業診断士)

【第1回】“日本を世界を幸せにしたい”

取材日:2016年2月1日

独自の「ラセッテーなめし技術」を通じて、野生動物と真摯に向き合うMATAGIプロジェクトや工場見学会など製造加工メーカーの枠を超えた活動に取り組む山口産業株式会社の山口明宏さんにお話しをお聞きしました。

独自の「ラセッテーなめし技術」を通じて、“日本を世界を幸せにしたい”

―なぜ山口産業株式会社はこのような幅広い取り組みをされているのでしょうか。

現在の取り組みに至るまでの会社の歴史があります。山口産業は祖父が1938(昭和13)年に創業し、現会長の父が1962(昭和37)年に会社設立をしております。したがって、創業78年の会社になります。山口産業は豚の皮革の加工をしておりますが、78年もやってこられたのはここの地域の産地形成の強みがあったからです。このまわりに多くの加工業者が集積しています。

豚や牛は我々が食べる食肉として供給されますが、皮までは食べませんので廃棄するよりはなめしてもらった方がということで原材料が潤沢に手に入りました。食肉加工場から運ばれてきた毛がついたままの豚の皮は、各加工者に割り振られて加工します。そして加工の際には脂が出てきますので、その脂も墨田区にあるライオンや花王に買い取ってもらい石鹸に加工されます。そういった形でここに産地形成をしてきた強みが“今まで”はありました。

高度経済成長もあり、会社同士が支え合ってなんとかやってこられました。需要も浅草の靴屋さんをはじめ、メーカーさん、靴屋さんが日本でものづくりをしていましたので事業を継続できました。今はだいぶ冷え込んでいますが。 会社として継続はしてきていますが、20年前とリーマンショックの時と二度、危機的な状況がありました。それを乗り越える中で、メーカーの枠を超えて派生したサービス業務を開始したり、現在のような幅広い取り組みをしたりしているのです。

独自技術について語る山口さん
独自技術について語る山口さん

―独自の「ラセッテーなめし技術」はいつ頃から取り組まれているのですか。

最初の取り組むきっかけは、25年以上前にヨーロッパのパリで行われたレザーフェアでした。そこに視察に行った会長が、ヨーロッパの「エコロジーななめし」の取り組みを見て、「今後、うちもやっていこう」と始まりました。

他社との差別化として「ラセッテーなめし技術」をクローズアップしたのは、リーマンショック前です。リーマンショックの半年前にこの業界の大手である問屋業の会社が倒産したのです。その現場を目撃し、日本の靴業界は厳しくなる、大量生産の時代も終わりだ、うちも方向転換しなくてはと思いました。しかし、そういう時に長い歴史があると方向転換が難しいのです。良い時を知っているので、「良いものを作っていけば売れる、また良くなる」と信じてしまうのです。その時は、東京都中小企業振興公社の中小企業診断士の先生にも相談したりしながら、大量生産の売上至上主義から利益至上主義に変えていきました。

変えていくにあたっては無料経営相談や専門家派遣を利用させてもらいました。中小企業診断士の先生や相談員、専門家の方に「利益のゴール点をどう設けたらよいか」「ゴール点から遡って利益率をどのくらいにして、生産面はこのぐらい、そうすると製品単価はこのぐらいにしないといけない」とアドバイスをいただきました。その半年間に対策をうったおかげで、他社とは違う「ラセッテーなめし技術」をクローズアップし、差別化できました。

1990(平成2)年から環境問題対応の革の研究開発を始めて、1997(平成9)年には東京都創造法にも第573号に認定してもらい、そして昨年にはすべての生産量をエコロジーななめしに切り替えが出来ました。当社のオリジナルとして取り組み始めて25年目です。日本中、世界中の同業者の9割で採用されているなめし方は「クロムなめし」です。「クロムなめし」は、化学薬品を使うので素材の発色性も良く、スペックもすべて揃います。だた、クロム自体が有害なので、当社はその代替として植物タンニンという人にも環境にも優しいエコロジーなものを使ってなめしています。

ラセッテーなめし革が選ばれたTHE Wonder 500の盾
ラセッテーなめし革が選ばれたTHE Wonder 500の盾

(つづく)

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