経営コンサルタントの国家資格”中小企業診断士”の情報が満載です。 中小企業診断士の広場

中小企業診断士の広場

診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

現代版忍びのすゝめ 野人流忍術主宰・甚川浩志さん

取材・文:海老原 雅人(中小企業診断士)仲村 健太(中小企業診断士)

【第2回】日本化の考え方と可能性

取材日:2016年1月18日

第2回は、野人流忍術を通して見た日本化の考え方と可能性についてお話をうかがいました。

日本と外国の考え方の違い

―世界でも忍者は有名ですよね。

忍者と聞くと、日本人やアメリカ人はエンターテインメントのアニメキャラクターのイメージになっていることが多いです。日本では多くのマンガやアニメ、アメリカでも忍者の亀のキャラクターがいます(笑)。

ところが、その他の地域では少し違うのです。ヨーロッパや中東、アジアから見ると、忍者は文化なのですね。それは、手裏剣を投げるといった奇想天外なものではなく、現実の忍びはどのような考え方なのか、実はその中に日本文化の大事なものがあると考えられています。

―それを外国人は学びに来るのですか。

そうです。武士道をいろいろと学んだ結果、最終的に忍術にたどり着いたという勉強熱心な方もいます。日本には武士道という考え方がありながら、それを厳格に守る世の中ではなかったから、うまく回ってきたのだと思います。あのように堅苦しいもので世の中を全部回そうと思ったら、苦しくて仕方ありません。そこで、昔は「武士道と忍術」の関係が、「本音と建て前」のようになっていたのではないかと思います。

忍術の研修では、「礼を尽くして隙を見せず」という概念を教えます。根底には、相手に対して敵や味方といったレッテルを貼らないという考えがあります。状況や運命によって、敵にもなれば味方にもなるため、最初からどちらと決めつけず、どちらにも転ぶかもしれないと考えるのです。本音と建て前だったり、寛容と島国根性と言われたり…。しかし、これらはまさしくリスクマネジメントの考え方です。

―外国人は、この日本文化の曖昧さのどこに惹かれるのでしょうか。

武術の技など日本文化を伝える要素が詰まっています。たとえば、「捌く」とか「往なす」です。海外の格闘技は「制す」ですが、それとはまったく異なる概念です。スッとかわして、相手の力加減によって捌く方向を変える。そのような感じで技をかけられると、「ああ、これだ!」と感涙する外国人もいますよ。精神的な「捌き」と「往なし」の動きができると、武術以外でも活用が可能になります。

意見が対立したときの会議の進行や、ファシリテーションのやり方も同じです。ディベートは「制す」考え方ですので、相手の悪いところを指摘して封じ込めますが、「捌く」はコーチングなどに近いですよね。
思考回路をそこに切り替えていくと、しなやかな動きができるようになっていきます。ビジネス上の問題に当たったときに、どのようにしなやかに対応するか。普通の人が「困ったな」と思うことでも、「ちょうど良かった」と言えるようなしなやかさ。このあたりが、説明すると難しいのですが、外国人が日本文化に惹かれるところなのかもしれません。

「忍」とは刃を心で律すると書く
「忍」とは刃を心で律すると書く

忍者体験を通じた超マネジメント

―甚川さんの忍術体験プログラム・修行プログラムはどのような形態なのですか。

現代忍者にはまず3つのEがあります。「Entertainment(娯楽)」「Experience(体験)」「Education(教育・啓発)」です。Entertainmentには、私はあえてあまり手を出しません。ほとんどの人が、「忍者」といえばここを手がけるでしょうから、プレーヤーも多いですし、そもそも自分はこの分野の経験も技も持っていませんので、手がけるのはExperience、Educationです。

ここでは日本文化と忍術の関係を研究し、現代に活用できるように伝えていきます。忍者事業を立ち上げるに当たって、ベンチマークしているのはイギリス海軍発祥のOBS(アウトワード・バウンド・スクール)や、同じイギリスの斥候部隊発祥のボーイスカウトです。OBSにしてもボーイスカウトにしても、元々は軍用の技術ですが、戦うことだけでなく、生きることに役立つ内容がたくさん詰まっています。まさに「総合生存術」である忍者の技術と同じ考え方です。

OBSやボーイスカウトは、日本でも教育プログラムとして普及しています。しかし、これらは海外の考え方をベースにしており、どうせなら日本発のものを作りたいと思い、海外発のノウハウも活用しつつ、日本文化の持つ「和」の思考や礼法、忍術の極意である心理術・組織術・情報術・不測事態対処法などを盛り込みました。それが忍者体験プログラム・修行プログラムの原点です。

忍者体験
忍者体験

―甚川さんの教室の世界観は、ぜひいろいろな人に知ってもらいたいですね。

そうなのです。そのためには、もう少しやっていかなくてはならないこともありますし、やりたいこともあります。中小企業診断士と一緒にやっていきたいこともあるのです。このあたりは次回お話しします。

(つづく)

【お役立ち情報】

【関連情報】