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お菓子教室&食育コミュニティ キッチンスタジオ「横浜ミサリングファクトリー」代表・松本美佐さん

取材・文:平井 彩子(中小企業診断士)

【第1回】一生続けられる仕事を探して

取材日:2015年5月25日

松本美佐さんは、横浜にあるお菓子教室「横浜ミサリングファクトリー」の代表です。2002年に全国初の子ども専門のお菓子教室を、会社員として平日に働きながらスタートし、2007年にお菓子教室と焼き菓子販売の店として起業。起業前から、支援機関や中小企業診断士を上手に活用し、「神奈川県コミュニティビジネス創業実現モデル事業支援対象事業者」、「横浜市チャレンジコミュニティビジネス支援事業 助成対象プラン選定」などの支援を獲得するだけでなく、日々の経営の相談に中小企業診断士を活用されています。

第1回では、起業のきっかけから中小企業診断士への相談内容についてお話しいただきました。

一生続けられる仕事をしたい

―起業のきっかけは何でしょう。

30代中頃に離婚をしまして、1人で働いて子供を育てていくために一生続けられる仕事を始めようと思いました。しかし、子供が当時5歳くらいで、手のかかる時期ということもあり、なかなか仕事に就けなかったのです。


派遣社員としてIT関連のイントラネット管理の仕事はしていましたが、コンピュータではなくて人と接する仕事がいいなと、食の道で仕事を探し始めました。元々は製菓材料メーカーの商品開発の仕事をしていたこともあり、その方向で就職先を探していましたが、やはり厳しかったです。

―なぜ子供向けのお菓子教室を開催することになったのですか。

フードコーディネーターの学校に通っていたときに、先生に「子供にお菓子でも教えたらいいじゃない」と言われ、当初は教えるという仕事はしたくありませんでしたし、子供相手というのもあまり興味がなかったのですが、いざ何ができるかといったら、他になかったのです。たまたま近くに地区センターというものが新しくでき、調理室が空いているのでそこで週末にやってみようと、子供向けのお菓子教室を始めたのが最初です。


派遣で働きながら、週末に教室を始めてみたら、これが意外に面白かった。子供にお菓子の作り方を教えるだけではなく、生活全般の知恵などを含め、幅広く教えていくことが面白かったのです。「これがこの子たちの役に立つのだ」と気づき始め、仕事にできるかもしれないというところから起業を考え始めました。

働きながらの起業準備

―起業のために、まず何を始めましたか。

お菓子を作ることは小さい頃から好きだったのですが、我流だったのです。趣味の教室ではなく、ちゃんとした技術を教えられる教室でなければ差別化ができないと思いましたし、お菓子教室は世の中にたくさんありますから、また、子供だけ教えていてもビジネスとして成り立たないので、大人も教えられる教室にしようと、「イル・プルー・シュル・ラ・セーヌ」というフランス菓子の教室に通い始め、本科の2年終了時に開業しました。また、民間で開催している起業スクールにも通いました。

―派遣で働きながらの準備は大変そうですね。

結構大変でしたが、地区センターでのお菓子教室は、通算5年くらい続きました。結構それが人気で、一番多い時には月に4回くらい開催していました。その間に技術を身につけ、お金を貯めて準備しました。


学校は2年間だったので、その2年経った時点で起業すると決めていました。年賀状には毎年、「今準備をしています」「来年必ず始めます」と書いて自分を追い込みました。それをしなければ自分を動かせなかったのです。

―事業計画はどのように立てられましたか。

お菓子の販売と教室運営で3年計画を作りました。商品開発の仕事をしていたため、コスト計算はわかりましたので、数字を出すことができたのはよかったです。

中小企業診断士との出会い

―地区センターでのお菓子教室の経験から、生徒さんの見込みがあったのでしょうか。

その目論見は外れたのです。なかなか思った通りにはいかないものですね。

―そこで専門家に相談したのですね。

思ったように集客がうまくいかず、IDEC(公益財団法人横浜企業経営支援財団)に相談をしました。IDECにはエキスパート面談制度というものがあり、同じ目線で相談に乗ってくれる女性の中小企業診断士を紹介してくれました。その方と話していくうちに、自分が何も知らないところから起業したことに気付きました。「経営」というものがわかっていなかったのですね。

横浜ミサリングファクトリー
横浜ミサリングファクトリー

―集客方法はどのように変化させていったのでしょう。

最初はチラシをまいたりタウンニュースに載せたりしたのですが費用対効果が低い。そこで広告は一切止め、インターネットに絞りました。地区センターでお菓子教室を開いていた時代からドメインを取得しており、派遣で仕事をしていたときにITには強くなっていましたので、ホームページ制作もSEOも自分で行いました。派遣時代の経験が活かせましたね。


今は皆インターネットで検索しますから、「お菓子教室」「横浜」「神奈川」で探せば必ずうちが出てくるようになりました。これは大きな強みですね。

―価格設定についても中小企業診断士に相談されているようですね。

ここ数年で教室の単価を上げていきました。最初は勇気がなく安い金額を設定していましたし、お休みの時の代金も取らなかったのです。その辺りについても中小企業診断士に相談に乗ってもらい、お休みでもきちんとキャンセル料をもらったほうがいいと言われました。


お金のことは、どうしても経営者本人は抵抗がありますので、「どうして来ないのにお金をもらっちゃうの?」などと思っていたのですが、専門家の先生が言うのだからと思い切って決断しました。値上げもキャセンル料も自分ひとりでは決断できなかったことですね。相談してよかったです。

―現在8周年ということですが、軌道に乗るまではどれくらいかかりましたか。

余裕ができ始めたのはここ2年くらいです。それまでの6年間は厳しい状態でした。

資金がショートしそうになり、借入をしようと思ったときも中小企業診断士に相談に乗ってもらいました。普通に借りようと思っても借りられないものなのですね。そんなことも知らなかったですから。

(つづく)

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