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川崎市経済労働局

取材・文:園田 晋平(中小企業診断士)

【第2回】川崎モデルを推進する行政機関内の中小企業診断士

取材日:2013年8月1日

徹底した現場主義で多くの成果を上げている、川崎モデルの中小製造業支援。前回は、その礎を作った伊藤経済労働局長にお話をうかがいました。今回は、自らも中小企業診断士であり、日頃から迅速な行動力とコーディネート力で川崎モデルを推進し、地元企業からも絶大な信頼と支持を集める経済労働局企画課の木村課長補佐に、川崎モデルの特徴や中小企業診断士として実践していることをうかがいました。

川崎モデルの推進役

― 木村さんと言えば、川崎モデルの中心的存在として、市内の多くの中小企業経営者から信頼を得ており、市役所職員という立場で、中小企業診断士の使命をフルに発揮されている印象です。

木村佳司課長補佐
木村 佳司 課長補佐

木村:私は、都内の信用金庫を経て中途採用で川崎市役所に転職し、そこで中小企業診断士資格を取得する機会を得ました。それから約15年にわたり、一貫して経済労働局で中小企業支援に携わり、毎日のように地元企業の訪問を積み重ねてきました。また、中小企業大学校時代に築いた全国的な人脈や、長年の業務経験で築いた国や他地域の支援機関などとのつながりを活かして、地元企業のみならず、企業、大学、支援機関のネットワークづくりを進めました。こうした人とのつながりの中で、コーディネートに取り組み続けた結果、川崎モデルの土台となる「顔の見えるネットワーク」が形づくられたわけです。

― 前回、伊藤局長からは現場主義というフレーズが出ましたが、あらためて川崎モデルの特徴をお聞かせください。

木村:現場主義ということでまず挙げたいのが、「出張キャラバン隊」という取組みです。市内の中小企業を直接訪問して、公的支援策の紹介や活用提案、技術や経営課題に関するアドバイス支援を行うもので、2005年に発足しました。現場に出向くことによって、公的支援策の情報が利用者である中小企業に届いていないことを痛感するなど、見えなかったことが見えてきました。また、国や県の機関、コーディネータなど、あらゆる専門性や強みを持ったメンバーで企業訪問を行うため、個々の企業の課題に現場で即時に対応できます。

― 現場からはやはり、得られることが多いのですね。

木村:企業訪問活動が、常に私たちの中小企業支援の軸足です。企業関係者との信頼関係や人的ネットワーク、そして何よりコーディネートを行うために不可欠な情報が得られ、自身の引き出しが増えるのが大きいですね。

コーディネートと言えば、大学などの試作開発ニーズと中小製造業の専門的な技術をコーディネートするのも、産学連携支援の川崎モデルです。川崎市内に集積している中小製造業が、大学などの研究活動で必要となる実験機器や部材などの試作開発をサポートするもので、これまでに数多くの具体的成果が生まれています。これも、市や産業振興財団の職員が、数多くの大学や研究機関に何度も足を運んだ結果、信頼を得て実現しました。

― 川崎市と言えば工場集積地のイメージがありますが、研究開発拠点も多いようですね。

木村:そのとおりです。川崎市は、従業者に占める学術・研究開発機関従業者数の割合が全国トップレベルですが、それに加えて、市外の大企業や大学・研究機関まで広げ、オープンイノベーションの取組みを積極的に進めています。さらには、地域の金融機関まで巻き込んだ「産・学・官・金ネットワーク」も構築されています。

「川崎ものづくりブランド」認定制度で市内中小製造業をバックアップ

― そのほかの特徴的な取組みをお聞かせください。

木村:川崎市内の中小製造業が生み出した優れた工業製品や技術を認定する「川崎ものづくりブランド」という事業があります。中小製造業の優れた製品や技術の販路拡大を支援するのが目的で、新聞などメディアでの情報発信、展示会やイベントでのPRのほか、商工会議所や産業振興財団のネットワーク・支援メニューを使って、販路開拓などをサポートします。さらに、一定の要件を満たせば、市役所が随意契約で購入できる仕組みも作っています。川崎ものづくりブランドでは、中小企業からのエントリーを待つよりも、職員やコーディネータが、出張キャラバン隊などで企業訪問をしながら、素晴らしい製品や技術を自ら発掘し、ブランドに認定されれば徹底的に応援していくのが特徴です。

― 木村さんに川崎モデルについてお話しいただくと、エピソードが尽きませんね。では、木村さんが市役所職員として、また中小企業診断士として実践されていることをお聞かせください。

木村:やはり中小企業診断士は、中小企業の役に立ち、いかに喜んでいただけるかを常に考え、誠意を持って行動していくことに尽きると思います。私は市役所職員という立場で、国や県も含めた公的支援策を有効に活用していただくことで、中小企業の発展に最善を尽くすことを常に考えています。

たとえば、さまざまな支援事業の利用件数だけを稼ぐのは企業のためではないと思っています。企業の幸せとは何かを考え、個々の企業にとって本当に必要で、有益な施策やサービスを紹介すること、そして紹介後も、可能な限り応援していく行動力とサービス精神こそが、中小企業支援では重要だと考えています。最近は特に、コーディネート力をさらに高めていくことを意識しています。

(つづく)

機関名 川崎市経済労働局
所在地 川崎市川崎区宮本町1番地
TEL 044-200-2111(代表)
ホームページ http://www.city.kawasaki.jp/280/soshiki_list.html