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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

大田原市副市長・永山 林(ながやま はやし)さん

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第2回】地域から日本を元気にする

取材日:2013年2月18日

大田原市議会の承認を経て、2012年7月に株式会社大田原ツーリズムが設立されました。今後、同社は農業体験、自然体験、歴史・文化体験など幅広い体験プログラムの提供、大田原市の特産品を使った商品開発・販売を行っていく予定です。
 今回は、グリーンツーリズム事業の未来像と、藤井大介社長(中小企業診断士)への期待をお話しいただきます。後半では藤井社長ご本人にも登場いただき、グリーンツーリズム事業計画作成と、中小企業診断士との関係についてうかがいます。

大田原グリーンツーリズムから八溝山グリーンツーリズムへ

― グリーンツーリズム事業の今後の展開を教えてください。

事業のスタートがもっとも大変です。軌道に乗るまで頑張れば、次の展開が見えてきます。たとえば、大田原市のグリーンツーリズムが、周辺市町村を巻き込んでさらに広がっていく可能性もあります。

― 大田原市だけのグリーンツーリズムにとどまらないということですね。

定住自立圏イメージ図
定住自立圏イメージ図(クリックで拡大)
総務省ホームページより

総務省が提唱している定住自立圏構想をご存じでしょうか? 市町村が連携・協力して、必要な生活機能を確保し、人口定住を促進する政策です。ゴミ焼却場の問題やし尿処理など、小さな市町村単位ではできないことがあります。大田原市が中心市となり、那須塩原市・那須町・那珂川町・茨城県大子町・福島県塙町、矢祭町、棚倉町を巻き込んで推進しています。ちょうど八溝山(やみぞさん)周辺を取り囲むようにある市町村の連携ですので、「八溝山周辺地域定住自立圏構想」と呼んでいます。

― 話が大きくなってきましたね。

先日、8市町村の長が大田原市に集まり、研究会の報告書を承認しました。これから具体的な連携に向けて、話し合いを進めていく予定です。3県をまたいでの定住自立圏構想は、全国でも初めての試みです。

― グリーンツーリズムも、周辺市町村に広がっていく可能性があるということですね。

まずは、大田原市でグリーンツーリズム事業を成功させることです。そうすれば、他の市町村から「自分たちも連携したい」という声が出てくるでしょうし、より広域でグリーンツーリズムを展開することができます。栃木県内の那須塩原市・那須町・那珂川町はもちろん、茨城県や福島県の町とも連携・協力できるわけです。

他市町村にも出資をしてもらって、さらに地域が発展していけば良い。事業名称も、「大田原グリーンツーリズム」から「八溝山グリーンツーリズム」に変わるかもしれません。藤井社長の手腕に期待しています。

藤井社長(中小企業診断士)への期待

― 藤井社長への期待をお聞かせください。


永山 林・大田原市副市長

たとえば大田原市には、那須赤十字病院があります。地域の診療所とインターネットで結んで、医療分野で連携を進めることが可能です。

「期待」というひと言では表現し尽くせないほど、期待しています。すべての能力を発揮して、大田原ツーリズムを成功させてほしい。日本の田舎の代表であるこの地域を活性化してほしいです。

都会の子どもたちが大田原グリーンツーリズムを体験すれば、とても良い教育になります。田舎のじいちゃん・ばあちゃんが生きた教育をしてくれて、それが、日本を強くすることにもつながります。

― 期待は大きいですね。

藤井社長は意気込みが違います。もともとは安定した会社で働いていたのに、それを辞めてなぜ農業活性化に取り組み始めたのか? それは、「日本の農業が、このままではダメになってしまう」という思いからです。自身のお金儲けとは、まったく違う話なのです。

藤井社長は、この事業を失敗したら、すべてを失うと言っても過言ではありません。これまでに積み重ねてきた実績や信頼を失い、「中小企業診断士として二流・三流ですね」と言われかねない。だから、社長自身も真剣なんです。私も藤井社長を信じて、心中しても良いという気持ちで取り組んでいます。

― 本日はお忙しい中、熱い思いを語っていただき、ありがとうございました。この記事を読んで、「大田原グリーンツーリズムに参加したい」という方もきっと出てくると思います。改めまして、ありがとうございました。

グリーンツーリズム事業計画作成の裏側

最後に、大田原市グリーンツーリズム事業を推進する藤井大介社長に、事業計画作成の裏側をお話しいただきました。

― 大田原グリーンツーリズムにかかわったきっかけを教えてください。

藤井大介さん
藤井大介・(株)大田原ツーリズム
代表取締役社長、中小企業診断士

大田原グリーンツーリズムでは、PPP(Public Private Partnership)というスキームがとられました。簡単に言うと、民間事業者が計画段階から参加する方式です。スピード感を持って、低コストで事業を推進していきます。プロポーザルの公募式で、私が経営する(株)ファーム・アンド・ファーム・カンパニーが受託しました。

― そこから、具体的な計画づくりを行っていったのですね。

もともと当社では、農業関連の事業やグリーンツーリズムの支援を行っていましたが、今回の事業を行うにあたって、全国のグリーンツーリズム事業を視察しました。資金面やビジネスモデル、人員体制まで詳しく教えてもらったりしました。もちろん、実際に農泊や農作業も体験しました。

― 他地域のグリーンツーリズムを調査したのですね。通常、資金面や人員体制まで教えてもらえるものなのですか。

最初は、表面的なことしか教えてもらえません。でも、こちらが本気になって中身まで踏み込んでいくと、相手も「本気なんだな」と感じてくれます。そして、収入・費用など、泥臭い部分まで教えてくれるのです。そこまで踏み込んで調査をしたからこそ、説得力のある事業計画が作れるわけです。

たとえば、グリーンツーリズム事業の成功要因の1つに、マスコミを巻き込んだ人員体制づくりがあるとわかりました。事業を推進するには、マスコミにかかわってもらう必要があるのです。株式会社大田原ツーリズムの場合は、とちぎテレビやエフエム栃木から社外取締役を迎えています。他地域の成功事例から学んだ体制づくりです。

― 他地域の成功事例を分析し、大田原グリーンツーリズム事業に活かしているわけですね。

グリーンツーリズム事業を議会に承認してもらうためには、しっかりとした事業計画が必要です。他地域の事例を学び、中小企業診断士の手法を使って事業計画を練り上げました。

― 中小企業診断士の手法が役立ったのですか。

はい。グリーンツーリズム事業計画づくりで、中小企業診断士の手法が役立ちました。診断士受験生におなじみのSWOT分析も使っています。これまで中小企業診断士として、開業支援や再生支援をやってきたため、事業計画の作り方はわかっていましたが、それをグリーンツーリズム事業の計画書作成に活用したのです。

外部環境分析・内部環境分析・ターゲット設定・市場性分析・差別化戦略・資金計画など、中小企業診断士が経営支援で使っている手法が、非常に役立ちました。

― 本日はお忙しい中、ありがとうございました。

(おわり)

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会社名 株式会社大田原ツーリズム
代表取締役会長 永山 林(大田原市副市長)
代表取締役社長 藤井大介(中小企業診断士)
所在地 栃木県大田原市本町1丁目3-3 総合文化会館2階
TEL 0287-47-6759
ホームページ http://ohtawaragt.blog.fc2.com/