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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

株式会社パペラトレーダス代表取締役 西村朋恵さんに聞く

取材・文:柴田昌行(中小企業診断士)

【第2回】会社経営の難しさと中小企業診断士との出会い

取材日:2011年8月24日

創業から20年近く、順風満帆だった西村氏の会社経営ですが、リーマンショックと円高で苦戦を強いられます。そんな中で出会ったのが、中小企業診断士でした。今回は、中小企業診断士との出会いとそのかかわりについてお話しいただきます。

「心の闇をすべて話してください」

― 中小企業診断士との出会いを教えてください。

西村朋恵さん
西村朋恵 さん

実は、数年前のリーマンショックによる世界同時不況と円高で、中古車輸出業界全体の売上が落ち込み、大変な打撃を受けました。さすがに当社も無傷ではいられず、事業規模を縮小せざるを得ませんでした。経営者として給与を下げたり、長年働いた社員に会社を去ってもらったりといった意思決定をしなければならないのは、身を切られるようにつらいことでした。できることなら、絶対にそのようなことはしたくなかったのですが、事業存続のためには仕方のない判断でした。

会社が急成長している頃は、社員がいきいきと働いてくれ、社内はいつも明るかったのですが、業績の落ち込みとともに、ギスギスした雰囲気に変わってしまいました。共同経営者であるシェイクも私も、営業などの前向きなアクションは得意なのですが、組織を守るためのリスク管理などは苦手で、どのように対処すればよいか、とても悩みました。そうしたこともあり、リストラのプロセスで、組織内にいくつかのトラブルが発生してしまったのです。そのトラブルを解決するために、弁護士の無料相談をお願いしようと東京商工会議所を訪れたのが、中小企業診断士を知ったきっかけです。

そこでは、商工会議所の担当者が、とても親身に相談に乗ってくださいました。私が人事に関して悩みを抱えていると伝えると、弁護士の無料相談以外に、専門家派遣(エキスパート・バンク)という制度を紹介してくださったのです。その制度は、専門家を無料で3回まで派遣していただけるもので、人事・労務がご専門の中小企業診断士の先生を会社に派遣していただき、指導を受けました。これが、中小企業診断士との初めての接点でした。その資格の存在を知ったのは、商工会議所の担当者が熱心に相談に乗ってくださったおかげです。

― 実際に中小企業診断士と接した感想をお聞かせくださいますか。

その方は、斉藤博先生という大変素晴らしい先生でした。最初のヒアリングで、私がとても悩んでいることをお伝えすると、「西村さんの心の闇をすべて話してください」と優しく言われました。そこで、私が悩みを洗いざらいお話ししたのですが、その際に、「社長はすごいです。これまでとても頑張ってこられたのですね」と声をかけてくれたのです。経営者って、あまり周囲にほめられることがないじゃないですか。ですから、そのひと言でとても気持ちが楽になったことを覚えています。経営者は孤独で、誰にも話せない悩みもあります。それまでは、悩みは1人で抱えるしかありませんでしたが、その場で中小企業診断士の方に話せたのがありがたかったですね。

そして2回目の打ち合わせでは、初回に私が話したことをすべてレポートにまとめてきてくださいました。そのうえで、社員1人ひとりの現状と成長への道筋をわかりやすく示してくださったのです。結局、商工会議所の3回の専門家派遣だけでは物足りなくて、継続的にご指導をお願いしました。

中小企業診断士は、コンサルタント会社の方とは違う

― 中小企業診断士に相談して、気持ちが楽になったのですね。

中小企業診断士も参加した営業会議
中小企業診断士も参加した営業会議

はい。さらに、(社)中小企業診断協会東京支部の実務従事制度を利用して、インドレストランの経営診断もしていただきました。そこで、店舗のファサードの改善をご提案いただいたのですが、それを実行することで、レストランの収益を改善できました。そのほかにも、営業メンバーに対して教育研修を実施していただいたり、金融機関に提出する資金繰り計画の作成をお手伝いいただいたり、さらにはホームページの修正を相談させていただいたりと、複数の中小企業診断士の先生に、さまざまな分野でかかわっていただいています。

― テーマによって、複数の中小企業診断士が携わっていると。

そうしたかかわりの中で感じたことですが、「中小企業診断士は、いわゆるコンサルタント会社の方とは違う」と感じています。国が認めたコンサルタントの唯一の国家資格で、一定の品質が担保されているのが大きいですし、信頼性も高いと言えるのではないでしょうか。少なくとも、私がかかわってきた中小企業診断士は、人間的に素晴らしい人ばかりです。

いままでの会社経営の中で、3社くらいの民間コンサルタント会社に仕事を依頼したことがありました。でも、高い値段をお支払いした割には、結果的にこちらが期待することは実現できませんでした。いまになって思うのですが、通常のコンサルタント会社はパッケージ化されていて、決まったサービスを提供するという場合が多く、個々の企業の状況に応じたカスタマイズがなかなかできないように思います。一方で中小企業診断士ならば、こちらの要望や状況に合わせて、個別に対応してもらえます。そうした点も、中小企業診断士に仕事をお願いする利点だと思っています。

社員の横領が発覚

― 中小企業診断士とのかかわりで、特に印象的な出来事はありますか。

プロフェッショナルの10ヵ条
社員研修でまとめた「パペラ
プロフェッショナルの10ヵ条」

お恥ずかしい話ですが、数年前にある社員の横領が発覚したことがありました。私の管理が甘かったのもあったのですが、会社の月次の試算表と実際の現金の流れがどうしても合わなくて、よくよく調べた結果、ある社員が横領をしているのではないかという結論に至ったのです。

とても信頼していた社員に裏切られたショックで、私は落ち込むとともに混乱し、問題をどのように処理したらよいか、途方に暮れてしまいました。その際にかかわってくださった中小企業診断士は、私の心理的なサポートはもちろん、横領した社員との面談で事実関係を明らかにし、発覚後の処理なども行ってくださいました。もし、あのときに発覚していなければ、被害はとんでもない金額になっていたかもしれません。現場レベルでかかわっていただき、本当にありがたかったですね。

あまり比較するのもどうかとは思いますが、同時期に相談した税理士や弁護士の先生には、この問題に積極的にかかわっていただけなかったので、余計に中小企業診断士の関与をありがたく感じました。その際に思ったのですが、他の士業の先生に比べて中小企業診断士の先生は、企業に対して親身になり、深くかかわってくださるサービス精神にあふれた方が多いように感じます。

― 現在は、中小企業診断士はどのようにかかわっているのですか。

会社の方向性の相談という大きな部分から、営業メンバーの進捗管理などの日常的な細かい部分まで、また組織運営に関する相談、社員に対する定期的な勉強会の運営、銀行との交渉をはじめ金融面での相談など、本当に多岐にわたって支援していただいています。抱えている課題を相談すると、必ず納得できる答えが返ってくるのです。

(つづく)

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西村 朋恵(にしむら ともえ)
株式会社パペラトレーダス代表取締役。青山学院大学で英語を学び、ロンドンに留学後、学生時代に車の貿易事業を開始し、1991年に法人化。夫であり、共同代表でもあるシェイク・カイザー氏とともに、会社を経営中。現在は経営者であるとともに、2児の母であり、中小企業診断士受験生でもある。

会社名 株式会社パペラトレーダス
設立 1991年3月
代表取締役 西村朋恵
所在地 東京都豊島区高田3-20-11
TEL 03-5979-6271