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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

宮坂醸造株式会社執行役員 マーケティング部長・地域活性化担当 杉浦孝則さんに聞く

取材・文:鈴木 佳文(中小企業診断士)

【第1回】6次産業を超える夢の取組みに邁進

取材日:2011年7月4日

営業力を武器にさまざまな逆境を乗り越え、企業の枠を超えた事業を進める宮坂醸造株式会社執行役員 マーケティング部長・地域活性化担当の杉浦孝則さん。杉浦さんを中心にした活動で、宮坂醸造株式会社は2010年の「フードアクション・ニッポン・アワード」において、2部門で入賞しました。また杉浦さんは、農林水産省管轄の6次産業化プランナーとしての活動も始め、コンサルティングも手がけています。さらには、大豆自給率200%の夢を胸に燃やしながら、全国を飛び回っています。まずは、その取組みについてうかがいました。

企業家精神で、ピンチをチャンスに変える

― 簡単にご経歴を教えてください。

杉浦孝則さん
杉浦孝則 さん

私はサラリーマンというより、経営者の感覚で仕事をしています。26歳のときに、セブン-イレブン・ジャパンと専用クッキーギフトの開発を仕掛けた販社、株式会社ピタルドール六本木を設立しました。その後、株式会社銀座シェルシェを立ち上げ、菓子ギフト事業を拡大していきました。たまたま、宮坂醸造の先代経営者が大学の先輩だったんです。食品加工全般に事業を広げたいという思いに共感して、宮坂醸造株式会社に入社したのが、43歳のときです。

― すごいですね。1つの会社では、世界が狭いんじゃないですか。

営業力には自信がありますから、どこの世界でも食べていけるとは思います。でも、いまはご縁があってこの会社にいますからね。少しでも会社の利益につながる仕組みを立ち上げていきたいと思っています。

― 企業勤務の視点で考えると、かなり異端の部類に入るんじゃないですか。

そのとおりです。ある意味、うとまれていますね(苦笑)。でもそうは言っても、自由に活動させてもらっています。周囲は、いろいろと大変だと思いますよ。特に、私を支えてくれているマーケティング部のメンバーには、とても感謝しています。

― 苦々しい思いがありつつも自由が許されるのは、社長の懐が大きいとも言えそうですね。

はい、社長には感謝しています。これまで、さまざまなピンチがありましたが、不思議と乗り切ってきました。いまもスタートは苦しいですが、新たな収益事業として仕組みを確立し、育てていきます。ピンチに見えても、企業家としてさまざまな取組みをしていると、チャンスに変わりますよ。

大豆自給率200%の夢に向かって

― でもなぜ、大豆なんですか。

子供たちに授業
子供たちに授業

会社が扱っている商品が「味噌」ということもあって、原料である大豆の確保は重要な課題の1つです。いま、大豆の自給率は、総需要の6%しかありません。これから必ず食糧難の時代がやってきますから、日本にとっても食料自給率を上げることは、喫緊の課題だと考えています。その中で、私たち味噌メーカーが貢献できるとすれば、大豆普及率を上げることだと思うんです。事業的観点でも、本年度から国が最大級のバックアップ体制に入ったこともあり、国産大豆関連産業は大成長産業になり得ると確信しています。

― 宇宙大豆を軸に展開している食育の動きがありますね。

大豆100粒運動を展開されている辰巳芳子先生と出会ったのが、重要な転機です。当社が7年後に控える創業350周年に向けた取組みを検討していたときにご縁をいただいたのですが、いろんな意味で衝撃的な出会いでしたね。いま、行っている活動の中心には、辰巳先生の言葉があります。ここを話し出すと、長いですよ(笑)

― 農林水産省からの推挙があって、6次産業アドバイザーに登録されたんですよね。

そうです。社内調整が大変でしたが、長期間の研修を受けて登録しました。私のような立場の人間はほとんどいませんでしたから、容認してくれた会社には本当に感謝しています。研修には、中小企業診断士やコンサルタントも来ていましたが、私のような実務家は少ない印象がありました。

― 中小企業診断士も参加していたのですね。杉浦さんから見て中小企業診断士は、このような取組みにどのようにかかわればよいと思われますか。

私は実務家ですから、直接現地に赴いたり、積極的に営業先を開拓したりと、ある意味で泥臭い関係を築いています。各地でできたこのような関係は、私の宝物です。私は、東京の巨大な購買力を背景に、子どもを中心にした生産者・加工者・販売者の絆をつくることで、大豆の自給率を200%にまで上げることを目標に活動しています。中小企業診断士の先生方にも、現場に立脚した泥臭い支援をしてほしいですね。

― 中小企業診断士の話題が出たところで、次回は中小企業診断士に対するイメージについて、もう少し突っ込んでうかがいたいと思います。

(つづく)

圃場にて

杉浦 孝則(すぎうら たかのり)
宮坂醸造株式会社執行役員 マーケティング部長・地域活性化担当
(株)ピタルドール六本木を設立。(株)セブン-イレブン・ジャパン(株)と専用クッキーギフトを開発。その後、(株)銀座シェルシェを設立し、菓子ギフト事業を拡大。
大学の先輩が経営者というご縁で、食品加工全般に事業展開を広げる構想が一致し、宮坂醸造(株)に入社。創業350周年事業に向けた新規事業の企画、開発、販売に着手。辰巳芳子先生と出会い、大豆自給率の低さに着目。事業展開の中心的テーマを大豆とし、自給率向上、味噌文化の普及活動を開始。現在は、みそソムリエの資格を取得。小学校で味噌「仕込み教室」を実施するかたわら、「具沢山の味噌汁普及」の伝道を行う。農林水産省認定の6次産業推進化プランナーとして登録。現在は大豆の自給率向上や味噌の普及活動を中心に、広く地域活性化事業の応援活動を行っている。
【ホームページ】
宮坂醸造株式会社 http://www.miyasaka-jozo.com/
み子ちゃんおじさんのブログ http://ameblo.jp/mikochan-ojisan/