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中小企業診断士の広場

診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

パーソナルスタイリスト・久野梨沙さんに聞く

取材・文:株式会社同友館編集部

【第3回】中小企業診断士に望むこと

取材日:2010年5月21日

久野梨沙さんにお話を伺う最終回。今回は、中小企業診断士の皆さんに望むことを、アパレル業界のご出身ならではの視点から、お話しいただきました。

仕事とプライベートは「切り分けない」

久野梨沙さん

― 中小企業診断士の皆さんへのメッセージをいただく前に、せっかくのインタビューの機会なので、2、3お聞かせください。
各種メディアでご活躍中の久野さんですから、毎日お忙しいことと思いますが、オンとオフは切り分けていらっしゃいますか。

正直言って、あまり休む時間はないと言うか...(笑)。私は、仕事とプライベートをあまり区別しないタイプのようです。

たとえば、旅先のレストランでも、接客が気になって、ついつい観察してしまう。そういうときは、完全に仕事目線になるので、境界があいまいですね。

― ストレスを感じることはありませんか。

それはありません。基本的に仕事が好きなので、「仕事をするな」と言われると、何をしていいかわからないんです。

また、仮に休もうとして休めなかったら、それが逆にストレスになってしまう。「あぁ、今日も結局、仕事をしちゃった...」と。だから、今はもう、「好きなだけ、仕事してやる!」と開き直っています(笑)。

― 睡眠時間も、あまりとれない状態でしょうか。

平日は、平均3、4時間ですね。でも、私の体が便利だと思うのは、あまり無理がきかないんです。本当にダメなときは寝続けて、帳尻を合わせる(笑)。だいたい2週間に1度、10時間くらい寝て、睡眠借金を返しています。

― では、オフの時間はどのように過ごしていらっしゃるのでしょう。

私、本当にびっくりするほど、仕事以外のことは続かないんです。しいて趣味をあげれば、冬場のスノーボードくらいでしょうかね。でも、最近は行けていません。あとは、お酒を飲みに行くことくらいしか...。すみません、おじさんみたいですね(笑)。

アパレル業界と中小企業診断士

― では、アパレル業界の現状と、中小企業診断士はどのようにかかわっていけばよいか、お考えをお聞かせください。

久野梨沙さん

アパレル業界は従来、異業種とあまりかかわらない、非常に閉鎖的な業界でした。しかし、インターネット販売が一般的になった今、ようやく重い腰を上げて、通信業界と提携し、販売サイトをつくり始めた、という状況です。

個人的には、もっと外の風を取り入れ、コラボレーションを進めたほうがいい、と思っています。中小企業診断士の皆さんには、どんどんこの世界に入ってきて、業界ならではの慣習や"古さ"を変えていただきたい。

もちろん、よい"古さ"もありますが、そのあたりは、この業界に長くいると、わからなくなってしまうんですね。"古さ"が、今のアパレル業界の不振につながっているのも、事実です。そういった意味でも、外から指摘してくださる皆さんの存在は、非常に大きいと思います。

― アパレル業界について学んでいくために、おすすめの方法はありますか。

私も大学卒業後、何も経験がないままMDに配属され、非常にとまどいました。何十年ものキャリアがある先輩に指示を出さなくてはいけないのに、専門知識が足りなかった私は、何を軸にすべきか、必死に考えました。そしてその結果、「消費者のプロになること以外、道はない」と思い至ったのです。

自分が、ひたすら消費者の立場に立つこと。それが唯一、彼らに勝てる方法でした。キャリアがある人はどうしても、純粋な消費者目線に立てないもの。しかし実際は、そこがいちばん知りたいところなんです。

たとえば、「うちのショップは、入りやすい店構えにしているつもりだが、本当に入りやすいのか?」、「雑誌に広告を出したが、この雑誌は本当にターゲットが読んでいるのか?」。そういったことを、私が見極めよう、と思いました。

中途半端に専門分野を勉強しても、到底プロにはかないませんし、そのような役目も求められていません。中小企業診断士の皆さんにも、「消費者のプロ」としてかかわっていただければ、とてもありがたいですね。

― なるほど。消費者のプロなら、道がみえそうですね。
 では、アパレル業界の今後の見通しについては、どう思われますか。

あくまで私見ですが、基本的なマーケットは、下げ止まりのままだと思います。劇的な売上回復は、期待できないでしょう。

今の時代、洋服は娯楽でしかありません。「タンスに○○が足りないから、買いに行く」ということはほぼない。皆さん、ジーンズも1本は持っているでしょうし、シャツも必要な数はそろっているでしょう。

勝負どころは、プラスアルファの財布を開かせるかどうか、になります。パイは変わらないわけですから、財布を開かせるのがじょうずな会社は伸びていくし、そうでない会社は縮んでいくと思います。

― 視点を変えて、経営者としての久野さんなら、中小企業診断士にどのようなアドバイスを望みますか。

いちばん知りたいのは、サービスを受ける方の意見ですね。パーソナルスタイリングを知らない方が、弊社のサイトをみてどう思うか、また、実際にスタイリングを受けてどう思うか。

アパレル業界に対してと同様、こちらの専門領域に入ってアドバイスをいただくより、外側から客観的なアドバイスをいただけたほうが、ありがたく感じます。

― それにはやはり、最低限の知識や事前準備が必要でしょうか。

そうですね。でも、現在のトレンドに関する知識などは、必要ありません。それだけなら、専門のセミナーに行けばいい。

中小企業診断士の皆さんには、経営を診ていただくのですから、「このビジネスは、ここが障壁になるだろう」といったご意見や、他業種でもよいので、成功事例を教えていただきたい、と思います。

― ありがとうございます。
 では、最後になりますが、久野さんご自身の今後の展望をお聞かせください。

私は、1人でも多くの方にファッションを楽しんでもらいたい、という思いで、起業当初からやってまいりました。その思いは、いつまでも変わらないでしょう。今後も、パーソナルスタイリングはもちろん、それ以外のお仕事でも、ファッションの楽しさを伝えられることであれば、どんどんチャレンジしていきたい、と思っています。

― 秋には、初めての書籍も出版されますよね。

はい。ビジネスマンのための実用書ですから、ファッション誌の棚に並ぶものではありません。長く皆さんのお役に立てる書籍として、ファッションに興味がない人にこそ、読んでいただきたいですね。そして、ファッションの素晴らしさに気づいていただけたら、とても嬉しく思います。

― 本日は長時間、ありがとうございました。ますますのご活躍を期待しています。

(おわり)

久野 梨沙(ひさの りさ)
株式会社フォースタイル代表取締役。中央大学にて認知心理学を研究後、大手アパレルメーカーで企画を担当。現在はパーソナルスタイリスト、セミナー講師、ファッションライターとして活動中。心理学の知識を活かし、内面の魅力まで引き出すスタイリングに定評がある。

会社名 株式会社フォースタイル
設立 2007年6月
代表取締役 久野梨沙
所在地 東京都世田谷区上北沢3-5-3
TEL 03-6316-6705