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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

日本経営診断学会 岡田匡令会長に聞く

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第3回】中小企業診断士の活躍分野は広がっていく

取材日:2009年12月14日

インタビューの最終回となる今回は、士業を取り巻く環境が厳しくなる中、中小企業診断士ならではの強みを、岡田会長の視点から分析していただきました。

士業の環境変化

― 士業の環境も、どんどん変化しています。

岡田 匡令 氏

たしかに、士業の環境は、昔より厳しくなっています。税理士の中には、「月2~3万円の顧問料も払ってくれない」と嘆いている方がいますし、弁護士も数が増えて厳しくなっています。たとえば弁護士の世界では、昔は"居候弁護士"、いわゆる"イソ弁"といって、報酬を受け取りながらベテラン弁護士("ボス弁")のもとで学んでいました。その後は、"ノキ弁"の時代です。報酬はもらえませんが、事務所の一角(軒先)を借りて、弁護士業務を営むことができました。

― その後はどうなったのですか。

だんだん環境が厳しくなり、軒先ですら無料では借りられなくなったため、有料で場所を借りて、弁護士実務を行うようになりました。さらに最近では、弁護士の数が増え、有料で場所を借りるのも難しい時代になってきました。若手弁護士は、弁護士の不足している地方に共同法律事務所をつくって、活動したりしています。

― 士業の環境は、相当厳しいようですね。中小企業診断士はどうでしょうか。

一匹オオカミの中小企業診断士では、なかなか難しいですね。集団化して、大きな仕事を受けるようにするといいと思います。中小企業診断協会の支部単位で活動しても、いいでしょうね。単に行政の仕事を受けるだけではなく、自分たちで提案し、仕事を創り出す。ソーシャルイノベーターとして行動してほしいと思います。

試験に合格した後は、先輩の中小企業診断士としっかりつながりを持ちましょう。ひと口に中小企業診断士といっても、それぞれが専門家ですから、チームで連携してコンサルティング活動をする場合があります。日頃から先輩の中小企業診断士と連携しておけば、チームメンバーとして報酬をもらいながら学べます。メンバーから、「あいつの仕事は大丈夫だ」と思ってもらえれば、次の仕事の依頼にもつながります。

「経営の視点」を持っているのが、中小企業診断士の強み

― たしかにチームで活動すれば、活動範囲も広がりますね。

中小企業診断士の活躍の場は、中小企業支援だけではないんです。たとえば、自分が指導している中小企業が成長して、大企業になることもある。「中小企業の支援」に限定する必要はないんです。いっそ、資格名から「中小企業」をとって、「診断士」としてしまってもいいと思います。活動範囲を狭くしてしまったら、うまくいきません。

― 中小企業支援だけが活動分野ではないのですね。

中小企業診断士の活動分野は、「企業の診断」だけではありません。たとえば、最近提唱しているのが、「制度の診断」です。一例を挙げれば、「年金制度」の診断です。現状の年金制度の問題点や、新たな制度の欠落点などが診断でわかる。「新しい制度で問題が起こらないか」を中小企業診断士が精査できるんです。世の中には、いろいろな制度があります。まずは、「中小企業診断士制度」そのものを診断してみてもいいでしょう。

日本経営診断学会の中では、「消費者診断」、「食の診断」なども提唱されています。「消費者診断」とは、消費者そのものの診断です。消費者の視点で診断するのとは違います。たとえば、「なぜ衝動買いをするのか」でもいいし、「なぜお店に入らないのか」でもいい。消費者そのものを診断するわけです。「食の診断」も大切です。現在、食に関して統合的な仕組みができていません。行政的にも、安全管理の仕組みができているとは言えません。経営診断の手法は、食の分野でも活用できるんです。

― そう考えると、活動範囲はどんどん広がりますね。

岡田 匡令 氏

地域の診断でも、NPOやNGOの診断でもいい。実際に、「行政診断」や「地域活性化診断」というのは行われています。中小企業診断士の仕事は、「企業の診断」だけではないんです。経営の視点で、行政や地域を見直す。「経営の視点」を持っているのが、中小企業診断士の強みなんです。

日本経営診断学会も、昔は「企業の経営診断」に関する学会だったんです。でも今は、企業以外の経営診断もします。行政・地域・非営利組織・制度などを、診断していきます。日本経営診断学会も、中小企業診断士も、活躍できる場が広がっているんです。前にも述べましたが、中小企業診断士には、ソーシャルイノベーターとして、どんどん活躍していただきたいですね。

(おわり)

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組織名 日本経営診断学会
(英文名:Japan Management Diagnosis Association:JMDA)
会長 岡田匡令(おかだ まさのり)(淑徳大学教授)
創立 1968年
ホームページ 日本経営診断学会
http://www.shindangakkai.jp/