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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

日本経営診断学会 岡田匡令会長に聞く

取材・文:福島 正人(中小企業診断士)

【第2回】奥が深いコンサルタントの世界

取材日:2009年12月14日

日本経営診断学会の岡田匡令(おかだ まさのり)会長にお話をうかがう第2回目。今回は、岡田会長からみたコンサルタントの世界について、語っていただきました。

資格取得後も実力を磨く

― 中小企業診断士資格を取っても、独立して活動するにはハードルがあります。

岡田 匡令 氏

中小企業診断士試験というのは、あくまで試験です。たとえば2次試験は、やや抽象的な解答になりがちです。コンサルティング実務で、抽象的な提案をしてもうまくいきません。試験に受かってからは、実務的な内容も勉強していく必要があります。企業に勤めている中小企業診断士は、社内改善でもいいのです。他社のコンサルティングではなく、自分の勤めている会社のコンサルティングを行えば、実力をつけることができます。

― なるほど。最初は、自分の勤務している会社で実力を磨くわけですね。

会社の悪いところを指摘するだけでは、コンサルタントとして報酬をいただけるようにはなりません。悪い部分をどのように治療するか、治療法をアドバイスすることが大切なんです。たとえば、病院に行って、医者から「あなたは病気だ」と言われたとき、それで終わりでは治療になりません。コンサルタントも病気を指摘するだけではなく、「どのように治療するか」という治療法を提示することが大切なんです。

― そうして実力を磨いて、独立すればいいのですね。独立すると、企業経営者との関係も重要になってきます。

コンサルタントは、経営者の御用聞きではダメなんです。経営者の言われたとおりではいけません。言われたとおりで済むような優れた経営者であれば、コンサルタントは必要ないんです。

コンサルタントは、その事業の経験者ではありません。そのため、第三者として客観的にみることができます。一方、経営者は、自分の経験や思い込みで経営している場合も多いので、一般社会や消費者の考えとズレてしまっていることもあります。すると、経営がうまくいかなくなる。コンサルタントは、経営者に示唆する必要があるんです。

コンサルタントの提案は、経営者の経験・価値観・イメージの外にあることが多いので、最初は、「経営者がコンサルタントの提案を理解できない」こともあります。そこに経営者が気づけば、経営はよくなっていきます。

経営者に成果を実感させる

― コンサルタントが提案しても、相手がなかなか受け入れてくれないという話はよく聞きます。

岡田 匡令 氏

たとえば、ある方向性に会社が向かっているとします。その方向が悪くても、「方向転換してください」と言ったのでは、受け入れてもらえない。まだ結果がみえてないので、「なぜ方向転換するのか」を納得してもらえないんです。そういう意味でも、途中で方向転換するのは難しい。

そんなときは、方向転換せず、あえて悪化の方向に進ませることもありえます。そうすれば、うまくいかなくて、「このままではダメだ。何とかしなくては......」と相手が実感できます。悪くしながら、逆の意識を生み出すわけです。反転への大きな推進力、つまりリバウンドさせることができるのです。

― 方向転換させるタイミングも大切なのですね。

タイミングを見極めることも、コンサルタントのテクニックの1つです。「悪いものは悪い」という自覚を持たせることが必要なんです。経営の実体は、みえない部分が多い。売上や利益などの表面的な数字はみえるけれど、実体がみえているわけではない。だからコンサルタントというのは、立体感を持って経営の実体をみる必要があります。経営者の動きによって、どのように実体が変化するのかを把握する。そういう技量が、コンサルタントには必要です。実体を把握できれば、どこを動かせば経営がよくなるかがわかるんです。

― コンサルタントの世界は、奥が深いですね。

コンサルタントは、経営者に成果を実感させることも大切です。商品の陳列を変えたり、客動線を変えてみたりする。その結果、お客様が入り始めると、「このコンサルタントの言っていることは間違いない」と納得してもらえる。コンサルタントに対する信頼感がないと、コンサルティングはうまくいかないんです。

(つづく)

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組織名 日本経営診断学会
(英文名:Japan Management Diagnosis Association:JMDA)
会長 岡田匡令(おかだ まさのり)(淑徳大学教授)
創立 1968年
ホームページ 日本経営診断学会
http://www.shindangakkai.jp/