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株式会社同友館会長 山田富男さんからのメッセージ

文:株式会社同友館編集部

【第3回】執筆をする際の注意

取材日:2009年5月1日

最終回となる今回は、執筆をする際に必要な心構えについて、より深くまで掘り下げていただきました。今までは執筆を考えたことがなかった方も、これを読めば執筆への意欲をかき立てられるかもしれません。

編集部

編集者との付き合い

著者にとって、どの出版社にオファーするかは非常に重要です。一般に、出版社には"得意分野"があります。その点で、出版社を選択する作業は、その分野における経験が豊富な編集者を選択する作業でもあるわけです。

著者と編集者との出会いは、"縁"です。相性がよいと、次々にすばらしい本が生まれます。もし"縁"に恵まれない場合は、先輩診断士に相談して、どんどん編集者とのネットワークを広げていってください。

主な読者対象を設定する

執筆にとりかかる前に、読者対象を設定する必要があります。これによって、文章のレベル、文体、用語・用字、項目、図表の多寡などが決まります。業種・業態、職位、年齢、性別など、編集者と徹底的に議論して決めましょう。経験上、「誰にでも読んでもらいたい」本がもっとも失敗しやすいものです。

組み体裁のアウトラインを決める

読者対象によって、判型、縦組み・横組みの別、1頁の文字数などの組み体裁が変わってきます。基本的には、文字はワード、図表はエクセルを使用し、予定文字数を横組みで打っていけばよいでしょう。ただし、2頁ごとに1項目を立てるような体裁の場合は、あらかじめ字数を決めておく必要があります。

原稿の書き方

本の内容は、「縦糸」と「横糸」から構成されます。「縦糸」では、テーマに基づいて全体の流れを考えます。ただし、近年の読者は全部を読み通さず、知りたい項目だけを読む傾向が強いので、序章から終章まで読むことを前提にした書き方は避けたほうがよいでしょう。

次に、全体の流れに沿って、「横糸」である項目を決めていきます。項目ごとに区切り、わかりやすい文章を簡潔に、ときには関連する知識や事例、エピソードなどを交えると、なお読みやすいでしょう。書きにくい項目は後回しにし、書きやすい項目から書き進めていくと効率的です。

文体、用語・用字など

前述のとおり、読者対象によって「である」調か「です・ます」調かを選択します。初心者向けの本では、接続詞や難解な名詞などは、できるだけひらがなにしましょう。

また、文章と話し言葉は異なります。コーチングや研修会講師などで話し慣れた診断士の文章には、「主語がない」、「フレーズが長い」、「改行が少ない」などの共通した欠点がみられるので、注意が必要です。

その他

株式会社同友館外観

著者・出版社双方の権利・義務が記載された出版契約書には、必ず調印したいところです。書名や定価、部数などの細目、装丁・オビなどの外装は、最終段階で編集者と協議して決めます。ただし、出版物の採算は出版社が負うものなので、最終決定権は出版社にあることを念頭に置いておきましょう。どうしても譲れないのであれば、自費出版をお勧めします。

なお、自費出版の場合は、条件を付して出版社にオファーし、金額と市販の有無を比較しながら決めていく方法が一般的です。

全3回にわたって、出版業界における一般論に、編集者としての経験を加味した内容をお話しさせていただきました。もちろん、ここに記した内容が「正解」で、それ以外が「不正解」というわけではありません。まずは、筆を執ってみることです。熱意ある診断士の皆さんが、書籍執筆にチャレンジする際の一助となれば、はなはだ幸いです。

(おわり)

山田 富男(やまだ とみお)/1953年(株)同文舘出版入社、1959年(株)同友館創業に参画し、取締役出版部長、1989年代表取締役社長、2006年より会長(現職)。その間、56年間にわたって編集職に従事し、1,000点を超える書籍の出版を手がける。

会社名 株式会社同友館(かぶしきがいしゃ どうゆうかん)
所在地 東京都文京区本郷6-16-2 BR本郷5ビル2F
代表取締役社長 脇坂 康弘

小社は月刊『企業診断』を柱に、企業経営の各部門にわたる理論書、実務書、経済産業省・中小企業庁年度版等の刊行を領域としてまいりました。近年では、投資関係、児童・福祉関係等の分野にも進出し、さらなるラインナップの充実に努めています。