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中小企業診断士の広場

診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

株式会社同友館会長 山田富男さんからのメッセージ

文:株式会社同友館編集部

【第1回】期待される中小企業診断士の出版活動

取材日:2009年5月1日

100年に1度の不況、という言葉が飛び交う昨今、中小企業診断士の活動にも少しずつ変化がみられます。本来業務のコンサルティング以外に、「出版活動」を行うケースが増えているのです。そのメリットと、出版物を取り巻く現状について、株式会社同友館会長の山田富男さんにお聞きしました。

山田富男さん

コンサルタントの著作物が増えている

近ごろ、中小企業診断士(以下、診断士)をはじめとしたいわゆる「プロコン」の著作物が増えています。「コンサルタントの...」といった書名も多く目につくようになりました。これは、社会の動きが複雑で、先の見通しが不透明な今、豊富な経験とすぐれた洞察力を持つコンサルタントによる情報発信に、世の中が期待している証拠だと言えるでしょう。

株式会社同友館は1959年、月刊『企業診断』の発行・発売を機に創業し、以来50年にわたり、診断士を主要執筆メンバーとして出版活動を続けてきました。ここでは、編集者の立場から、書籍を出版したいと考えている診断士の方のために、その要領を簡単にまとめてみます。

書籍出版のメリット

書籍は、執筆の動機によって大きく2つに分かれます。 1つは、自分の経験や知識をまとめて世の中に伝えるもの、もう1つは、読者に役立つよう、自分の経験や知識から焦点を絞ってアドバイスするものです。前者は自費出版の場合が多く、後者の多い市販書籍の場合はテーマの選択がもっとも重要になります。スタート地点を誤ったがために、ムダ骨折りになるケースも多くみられるので、注意が必要です。

では、執筆のメリットとは何でしょうか。診断士にとって、市販書籍はクライアント企業への宣伝、あるいはクライアント獲得の有力なツールになります。また、研修会の講師などの機会が増えるのも事実でしょう。しかし、何より重要なのは、知識やノウハウを公開して有形・無形の反響を得た結果、さらに学び、前進するモチベーションを高められることだと思われます。

出版流通市場の変化

月刊『企業診断』

市場には、年間約8万点、毎日300点近くの新刊書籍が出回っています。10年前に比べ、20%近い増加です。一方で、総売上金額は20%近く減少し、1点あたりの実売部数も急速に減っているのが実情です。それだけに、専門書・実務書を手がける多くの出版社は、売上維持のために絶えず質のよい原稿を探し続けていると言ってよいでしょう。

近年、書店数が激減するなか、大型チェーン書店を中心にPOSによる自動発注システムが普及しています。新刊の委託精算期限は原則4か月ですが、実際のところ取次店は書店に対し、1か月後には全額を請求しています。つまり、書店は動きの悪い本を長くは置きたがらない、というわけです。動きをよくする、つまり読者の目を惹くには、テーマや書名がもっとも重要になります。

また、Amazonをはじめとするネット通販の急成長もあります。リアル市場と異なり、長期にわたって流通するネット市場で重要なのは、「検索ニーズに対応するキーワードの選択」、「内容のよさによる口コミ」、「販売に対する著者の各種フォロー」です。

以上を踏まえ、次回は出版社に書籍出版を提案する際の注意事項について述べたいと思います。

(つづく)

山田 富男(やまだ とみお)/1953年(株)同文舘出版入社、1959年(株)同友館創業に参画し、取締役出版部長、1989年代表取締役社長、2006年より会長(現職)。その間、56年間にわたって編集職に従事し、1,000点を超える書籍の出版を手がける。

会社名 株式会社同友館(かぶしきがいしゃ どうゆうかん)
所在地 東京都文京区本郷6-16-2 BR本郷5ビル2F
代表取締役社長 脇坂 康弘

小社は月刊『企業診断』を柱に、企業経営の各部門にわたる理論書、実務書、経済産業省・中小企業庁年度版等の刊行を領域としてまいりました。近年では、投資関係、児童・福祉関係等の分野にも進出し、さらなるラインナップの充実に努めています。