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中央大学大学院公共政策研究科委員長 細野 助博さんに聞く

取材・文:村橋保春

【第4回】大学が地域を動かす

取材日:2008年10月2日

大学は地域と何をやるか

「それいけ!たまレンジャー!!」の様子

今年は環境教育の一環で、地産地消についても手がけているんですよ。

東京エックスという豚がいるんです。知っていますか。

― 名前は聞いたことがあります。東京のブランドなのですね。

東京エックスというのは多摩地域で生育している豚です。その企業に、豚を半分に切って、骨付きの枝肉の状態で、小学校に持ってきてもらい、目の前で捌いてもらって、焼いて子供たちに食べさせる。地産地消ですから、農家の方に多摩の夏野菜を無料で持ってきてもらって、多摩の製麺業者さんには焼そばを無料で持ってきてもらって、多摩の醸造業者さんにはソースを無料で持ってきてもらって、全部ただを原則にしているのです。そして多摩にはいろんな産物があるんだとみなが驚きます。

― 何でもそろいますね。

多摩地区は、東京の中にあって農耕に使用する耕地の全体の79%ほどを占めています。圧倒的ですね。おそらく野菜は2,30%ぐらいを供給しているんでしょうね。

つまり、多摩を地産地消、環境にやさしいといった切り口で考えると、これはひとつの絵になりますね。

そうそう、このパンフレットを見てください。

― (体験型環境教育プロジェクトのダイジェスト版報告書のご提示をいただく)「それいけ!たまレンジャー!!」ですか。

これは小学校3、4年生に体験学習をさせたものなんです。3、4年生というのが肝心ですね。1、2年生は幼稚園のおたまじゃくしの尻尾が取れていない。その点3、4年生はしっかりし始め、一番いい時ですね。

結構暑い日に行なったので、2、3人倒れてしまいましたけどね。

― きつさも子供たちにとってはいい経験ですね。先生も参加されたのですか。

私は隊長ですから、しっかり参加してますよ。

― 報告書の中で、先生が開催の挨拶をされている写真が載っていますね。隊長ですね。

2日間の授業なのですが、2日間しっかり終了すると、隊長の私から終了証を渡します。

子供たちへの参加者募集は、学生が学校に出向いて募集してきました。小学校の先生方の参加は自由としましたが、ご参加される先生もおられました。

報告書としてまとめて、小学校などに配ります。そうするとこれを見たこどもたちが次は参加したいと考える。こうしてネットワークがどんどん広がっていきます。

― こうして先生にお話を伺うと、大変申し訳ありませんが、これまで多摩地区を単に23区に隣接している地域としてとられていましたが、しっかりと確立した地域なのだなあと感じました。

「第二新卒チャレンジ」の様子

産学官連携のいい点をもうひとつお話します。

大学を出て企業に就職したものの、3年間で3割4歩程度の若者が辞めてしまうんです。いわゆる第二新卒です。ネットワーク多摩では、再チャレンジをするための学び直しをさせるんです。 大学も一般企業も免許を持っていませんから、職業の斡旋はできません。しかし、私達の加盟機関には免許を持っているところがあるので、大学のOB会と組んで第二新卒を集め、メンタリティのカウンセリングをし、社会人としての基礎力を再度学んでもらう。そして、多摩で活躍する会社の経営者に来てもらって、第二新卒と起業をマッチングさせる。ここでの条件は、正社員でないとマッチングさせないことにしています。

私自身もサラリーマンを5年ほど経験した後、再度大学院に入り直して、学問の道を進んだわけですから、第二新卒の人たちには私も君たちの先輩なんだよといって励ましているんです。

― 先生からそういった言葉をいただけると、少し気分が落ち込んでいた人たちもがんばる気を起こされると思います。なされていることが、いずれも、とても力強いですね。

合宿を行なうこともやっています。

第二新卒といっても、いろいろなレベルに人達がいます。多摩地域にある「大学セミナーハウス」などを使って、力をつけてもらいたいと思ってやっています。

人材というのは新鮮野菜と同じです。時間との勝負。ですから最初にカウンセリングをして、その人ごとにふさわしいメニューを考えて実施します。

― こうしてお話を伺うと、単に大学に関わる危機感ばかりではなく、多摩地区の魅力づくりに努められているように感じました。

まさに魅力づくりです。人づくりといってもいいでしょう。多摩地区の魅力を向上させることが、ひいては大学にとってもいい環境が生まれてくるわけです。

(つづく)

細野 助博さん/中央大学大学院公共政策研究科委員長、同大学総合政策学部教授

細野 助博(ほその すけひろ)/中央大学大学院公共政策研究科委員長、同大学総合政策学部教授として、専門分野である公共政策、都市政策を中心に研究。
所属学会は、日本公共政策学会元会長、多摩ニュータウン学会会長、日本計画行政学会常務理事、公共選択学会理事等。公的役職につきましても、財務省財政制度等審議会たばこ等事業分科会長代理、元八王子市教育委員、(財)流通システム開発センター理事、(社)学術・文化・産業ネットワーク多摩専務理事、ほか多数の要職を歴任。主要著書として、『科学技術の公共政策』、『中心市街地の成功方程式』、『政策統計「公共政策」の分析ツール』、『実践 コミュニティービジネス』、『スマートコミュニティ』など著書多数。