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中央大学大学院公共政策研究科委員長 細野 助博さんに聞く

取材・文:村橋保春

【第2回】ネットワーク多摩について

取材日:2008年10月2日

中心市街地活性化のあり方を考え、計画を作るにあたり、内閣府などが自治体を指導することはふさわしいことだと思います。ただし、例えば中心市街地というものをどのように捉えるか、人口で考えてみて、いろんな使途が中心市街地だと思ってくれる状況になっているのか。コンパクトシティといっているが、あるところまでは車で来てもらって、そこで高密度に集積した都市サービスを受けられるような仕組みにしないと持たないと思います。

コンパクトシティというのは大きな商圏を持っていて、その中でコンパクトにならないと支えきれない。持続可能性のあるコンパクトシティであるためには、車で集客が十分にできる一大商圏を背景に持たなければならない。そうすると地域の核となる都市でないと、コンパクトシティは維持できなくなるわけです。

単に中心市街地がぎゅっと固まっていればいいと考えることは問題であると、理解しなければなりませんね。

地域連携を実践する

― これまでの中心市街地があまりうまくいっていないことについても、先生のお話を伺うと問題点と解決の方向性が見えてきますね。

私がなぜこうした話をしたか。

実はネットワーク多摩(社団法人 学術・文化・産業ネットワーク多摩)についてお話をしたいと考えたからです。

土地の面積でいうと、東京23区を1とすると、多摩地区は2なのです。人口はこの比率が逆になります。23区が8百万人、多摩地区が4百万人。人口密度でいうと、多摩地区は23区の四分の一となります。密度が薄いわけですから、ネットワークをきちんと整えないとばらばらになってします。

こうした状況は23区と多摩地区の都市間競争と捉えることができます。そして、大学もそうした都市間競争に巻き込まれてしまっているわけです。都心の大学と多摩にあるわが大学を同時に受かった受験生がいるとします。どちらにいきますか。そのとき、都心の大学を選ぶ、これは合理的といえます。ですから、多摩地区にあるわれわれはプラスアルファーを示さないといけないわけです。

そうすると、多摩といった場合に何が比較優位なのだろうか。都市的サービスでも、交通の利便性でもない。交通などは放射状に整備されているため、都心とのアクセスは便利ですが、多摩地区内での移動は整っていない。

多摩地区にとって優位なのは、環境や土地ですね。それとものづくりの事業所がとっても多い。13万社くらいあるのです。それも国内ではあまり有名でないのだけれども、NASAですとかそうした世界では超がつくほど有名な会社がいっぱいあるのです。こういった企業などを活かさなければならない。

それと多摩地区には80大学、100キャンパスといっていいと思うのですが、これだけ大学があるのに集積のメリットを出していない。相互に行き交うには交通の利便性が悪いということもあります。しかし、これまで大学を取り巻く環境は右肩上がりで、あまり努力をしなくても良かったのですね。あるいは自分の大学だけを考えればよかった。

ところが若者が少なくなり、大学を取り巻く環境は右肩下がりになる。右肩下がりになると競争が激化する。この競争は、23区と多摩地区との競争であり、多摩地区の大学としても何とか勝たなければならない。そのために大学連携をしようと考えるようになりました。

大学だけの連携でいいのか。若者をとどめておきたい自治体もあります。よって、自治体も連携に乗ってくる。しかも、若い人材を取りたいと考えるものづくりの企業は、同じく連携に乗ってくる。そこで産官学の連携というものを考えるようになったわけですね。

― そうしてネットワーク多摩ができたわけですね。

ネットワーク多摩ホームページ

どのように作ったかというと、1979年の多摩学長会議にさかのぼります。これは多摩地区の学長さんが2年に一回集まってお酒を飲む会ですね。集まって、にぎやかにして、さっと分かれる。これだけだともったいないなあ思うようになったんですね。

ちょうど、中央大学で多摩学長会議をするとき、集まってくる学長さん達をけしかけて地域に貢献することを宣言させるようにしました。その証人も必要なので、多摩地区の自治体の首長さんたちにも会議に集まっていただいて証人になってもらった。そうしてできたのがこのネットワーク多摩なのです。

今では加盟しているのが88機関になります。(2008年10月:取材実施時点)

<参考>

ネットワーク多摩に関する詳細は、以下のサイトでご参照ください。
社団法人 学術・文化・産業ネットワーク多摩ホームページ
http://www.nw-tama.jp/

(つづく)

細野 助博さん/中央大学大学院公共政策研究科委員長、同大学総合政策学部教授

細野 助博(ほその すけひろ)/中央大学大学院公共政策研究科委員長、同大学総合政策学部教授として、専門分野である公共政策、都市政策を中心に研究。
所属学会は、日本公共政策学会元会長、多摩ニュータウン学会会長、日本計画行政学会常務理事、公共選択学会理事等。公的役職につきましても、財務省財政制度等審議会たばこ等事業分科会長代理、元八王子市教育委員、(財)流通システム開発センター理事、(社)学術・文化・産業ネットワーク多摩専務理事、ほか多数の要職を歴任。主要著書として、『科学技術の公共政策』、『中心市街地の成功方程式』、『政策統計「公共政策」の分析ツール』、『実践 コミュニティービジネス』、『スマートコミュニティ』など著書多数。