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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

長野市中心市街地活性化協議会タウンマネージャー 越原照夫さんに聞く

取材・文:村橋保春

【第3回】まちづくりに期待される中小企業診断士の役割

取材日:2008年9月9日

中小企業診断士とまちづくり

―全国で数多くまちづくりに取り組んでおられますが、なかなか成果が上がってこない現状があります。マネージャーが果たす役割の重要さと困難さを実感し、それゆえ、長野のような活躍が全国各所で起こってこないのだと考えました。
 それでは、まちづくりに関して中小企業診断士はどのような役割を担うことかできるか、お伺いしたいと思います。中小企業診断士は経営という観点をきちんと持っていると思います。  また、多岐に渡る課題の解決についても、中小企業診断士が力を発揮する分野と考えます。こうした観点に立つと、中小企業診断士がまちづくりに期待される役割は大きいとも考えます。いかがでしょうか。

越原照夫さん

私自身の経験から話しを始めたいと思います。 私が企業に勤めていたときの経験のなかでタウンマネージャーとして最も役立っていることは、クルマの販売会社を作った経験だといえます。すべて自前で会社を作れというのが勤め先からの命題でした。会社設立に関わる定款作り、商業登記手続き、人を雇い入れるので労働法に関わる検討をしっかり行いました。

本来は、司法書士や社会保険労務士などに依頼する内容だと思います。また、事業計画も立てました。会社設立ですから、初期投資計画とそのための資金調達、実際に事業実施による事業収支計画と資金回収、開業は1店舗でスタートしますが、その後どのように店舗数を増やし成長戦略を進めていくか、など、すべてを全部自分自身で行いました。あらゆることについて、単に自分がわかったつもりのレベルではいけません。会社の経営に反映させ実践するということは、しっかり間違いなく理解するとともに、経営に問題が発生しないようにいろいろの状況にも対応できる応用力も求められます。

マネジメントに関しても大いに感じ入ったことがあります。たとえば、スーパーのような小売業とディーラーのような販売業の違いです。スーパーは、具体的なお客様を想定して販売するというより、ある商品群を一定のボリュームのお客様のグループに売るといった考え方をとります。このため、従業員に対して今週はある商品群を、たとえばトマトや牛肉といった商品群をいくら売るといった目標を設定すると、従業員はその目標に従って自発的に動いてくれます。

店頭で多くの経験を重ねており、そうした経験を応用させることが比較的容易だからです。しかし、カーディーラーは、個別の特性を持った一人ひとりのお客様に対して、それぞれにあった車種を的確に売り込んでいかなければなりません。もちろん経験を活かす部分はありますが、基本的にはそれぞれ新しい取組方を考える必要があり、マネージャーとしては具体的に支持することが求められるようになります。

つまり、求められるマネジメント方法は大変多様であり、どれだけ多くのマネジメント方法を備えており、課題ごとにふさわしいマネジメント方法を提供できるかが、マネージャーの良し悪しを決定付けるといえます。クルマの販売会社を立ち上げたときには、この違いが十分に理解することができず苦労しました。しかし、試行錯誤を繰り返し、経営を推進していくことで、同じように夢やロマンを語ることのできるメンバーが増えてきました。開業当初は従業員の入れ替わりが多かったのですが、従業員が安定すると会社自体も安定する。企業の立ち上げから軌道に乗せるプロセスとはこれなのだと感じました。

まちづくりの関係者も同様でしょうが、中小企業経営者が苦労しているところ、悩んでいるところに、どのように問題解決の方法を提供できるかが、中小企業診断士に対して最も求められているところだと思います。中小企業診断士の方は若くして資格を取った方もおられるでしょうが、それまでの経験を活かすことができればできるほど有効な問題解決の方法を提示することができるようになると思います。

まちづくり、中小企業で最も悩んでいるのはいかに利益を生むかです。税務や労務管理、法務などは専門の資格者がおり、問題解決の方法もある程度決まっています。利益を生むことは、経営の根幹であり、これを解決してくれる人はあまりいません。現状を分析するだけでなく、その分析内容に基づき、次にどのようなアクションを起こせばよいか、そこまできちんとコンサルティングすることが求められます。これらは、私の事業経験から痛感していることです。

越原照夫さん

中小企業診断士の仕事、コンサルティングの仕事は人の話すことをしっかり聞くことではないでしょうか。まちづくりや企業経営に携わる方が話す中に、問題解決の方向性、結論があると思います。小売業に従事した経験からすると、大切なのは、お客様の気持ちになる、もっといえばそのお客様に成り切ることです。そうすることにより、お客様の満足度が高まり、その高まる方法こそが求められる問題解決の方法だといえます。

まちづくりはひとつの専門分野だけでは問題解決できない、また単なるノウハウスキルの適用だけでは問題解決できないことはご理解いただけたと思います。こうした観点から考えると、総合性を持つ中小企業診断士の方がまちづくりに積極的に関わっていただけることは大いに期待されるところです。ぜひ、中小企業診断士の皆さんがまちづくりにも参画していただけることを期待しております。

― 越原さん、長時間にわたりインタビューにお答えいただきまことにありがとうございます。まちづくりにとどまらず、広く経営、マネジメントの関する重要な考え方についても意義深いお話をお聞かせいただいたと考えております。まことにありがとうございました。

(おわり)

越原 照夫さん/長野市中心市街地活性化協議会タウンマネージャー

越原 照夫(こしはら てるお)
平成13年1月ジャスコ株式会社(現イオン株式会社)を退職後、長野商工会議所が設立したTMOに設立時から参加。

長野市の大型空き店舗等活性化事業の具現化等、全国のまちづくりの先進事例にも関与。現在長野市中心市街地活性化協議会タウンマネージャーとして、長野市のまちづくりを推進。