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診断士に向けた熱いメッセージ

中小企業診断士に期待する

長野市中心市街地活性化協議会タウンマネージャー 越原照夫さんに聞く

取材・文:村橋保春

【第1回】まちづくり長野が推し進めるまちづくりとは

取材日:2008年9月9日

今回、「中小企業診断士に期待する」のコーナーにご登場いただきますのは、株式会社まちづくり長野のタウンマネージャーの越原照夫さんです。長野市は中心市街地活性化に関して、全国的に注目されており、多くのご関係者が見学やお話を聞きに訪れています。平成18年に改正された中心市街地活性化法では、「選択と集中」という民間企業の経営概念を積極的に取り入れて地域の活性化の推進を求めていますが、越原さんは大手流通企業で数多くの実績を積み、そうした経験をまちづくりに遺憾なく発揮されておられます。
本日は、地域振興、まちづくりにおいてマネジメントの観点を中心にお話をお伺いしたいと考えています。

注目されるまちづくり長野

― まず、越原さんが関わっておられるまちづくり事業についてお教え願えますか?

越原照夫さん

長野市は今でこそ中心市街地活性化のお手本として捉えていただいておりますが、中心市街地の状況が一度底を打ったことからお話しするのが適当かと思います。

中心市街地活性化法は平成10年に制定され、長野市は平成11年には同法に基づく基本計画を策定しています。中心市街地活性化に関してはもともと問題意識の高い自治体です。しかし、平成12年には長野そごう、ダイエー長野店という中心市街地の核となる百貨店、大型量販店が閉店してしまい、大変厳しい状況に追い込まれました。

その当時は、地域衰退の代表格として長野市が取り扱われることもしばしばでした。
 平成14年に長野市がダイエー長野店跡(土地・建物)を取得、翌平成15年に商工会議所、民間企業、商店街等の出資により株式会社まちづくり長野を設立して、当社が同店舗跡を「もんぜんぷら座」として再生し、TOMATO食品館をオープンいたしました。大型店の撤退で沈み込んだ地域が、新たな活性化に向けて大きな一歩を踏み出した年といえます。同社は平成16年には長野市からの出資を受け3セク特定会社となるとともに、TMOとしての認定も受けることとなりました。

平成17年には中心商店街に位置する十数個棟の蔵を活用して新たな商業施設「ぱてぃお大門 蔵楽庭(くらにわ)」をオープンさせました。善光寺参道としての歴史を持つ町並みにおいて、蔵の再生によりまちの再生を目指しました。

JR長野駅前から善光寺までの距離は2km弱で、休みなく歩くには少しきつい道のりです。「ぱてぃお大門 蔵楽庭」はお客様にお休みいただける場所としても位置づけ、多くの方に街なかを回遊いただければと考えています。長野そごう跡は平成18年に再開発事業として「トイーゴ」(業務・商業・公共施設)が開業し、「もんぜんぷら座」も上層階にコールセンターが入居し全館活用することとなりました。こうして着実に中心市街地の賑わいは戻ってきていると考えます。

ぱてぃお大門

まちづくりには、関係者相互の協働意欲と適切な役割分担が必要です。まずは行政・民間・まちづくり機関相互が適切なパートナーシップをもつことが重要です。同社は長野商工会議所を中心に設立し、長野市からの出資も受け、株主数は企業者、NPO、個人などを含め93人であり、代表者は商工会議所会頭が就任しています。次に、活性化事業の口火は行政とまちづくり会社が執り行うことが大切です。

活性化の要、柱となる事業、長野市では「もんぜんぷら座」、「トイーゴ」、「ぱてぃお大門 蔵楽庭」などを行政とまちづくり会社が共同して取り組みました。空洞化が深刻な地域には賑わい再創出の核となる施設や機能を設けること、そして実施機関やスケジュールを明確にして、民間事業を誘導することに心がける必要があります。こうして行政、まちづくり会社、民間事業者の各種事業が矢継ぎ早に実施されることにより、中心市街地における事業効果と連携波及効果を高めることが可能となります。 長野市の中心市街地活性化事業はこうした考え方に基づき実施してきました。同社は活性化の要となる事業で、行政や民間が直接取り組みにくい事業について、第三セクターまちづくり会社の特徴、つまり合意形成の組立や補助金対象などの特徴を強みとして、積極的に取り組んできました。

中心市街地におけるハード整備もかなり進んできましたので、ソフト部門についても力を入れ始めています。商店街共通商品券「ながの小判」を発行し、長野まちなかパーキングとして共通駐車サービス券事業にも取り組んでいます。今年(平成20年)は空きビルを活用して起業家支援施設を開設しました。

改正中心市街地活性化法に基づく基本計画もいち早い認定を受けました。同計画にも続き、今後とも着実に、経営概念を活かしたまちづくりを進めていきます。今後とも、まちづくりの先進都市として、全国から注目いただき、期待に応えることができるようにがんばっていきたいと思います。

(つづく)

越原 照夫さん/長野市中心市街地活性化協議会タウンマネージャー

越原 照夫(こしはら てるお)
平成13年1月ジャスコ株式会社(現イオン株式会社)を退職後、長野商工会議所が設立したTMOに設立時から参加。

長野市の大型空き店舗等活性化事業の具現化等、全国のまちづくりの先進事例にも関与。現在長野市中心市街地活性化協議会タウンマネージャーとして、長野市のまちづくりを推進。